昨年は「無所属のまま全休」の選手がマイナーリーグ契約から開幕ロースターに入る
3月26日、「7番・DH」として出場したミゲル・サノー(ロサンゼルス・エンジェルス)は、1打席目にジェームズ・パクストン(ロサンゼルス・ドジャース)からホームランを打った。
祝砲、といったところだ。ジ・アスレティックのサム・ブラムらによると、この試合の前に、ロン・ワシントン監督は、サノーの開幕ロースター入りについて、そうなると認めたという。
2022年まで、サノーは、ミネソタ・ツインズに在籍していた。2015~21年の7シーズンに打ったホームランは、161本を数える。2016~17年は2シーズン続けて25本塁打以上。2019年は34本のホームランを打ち、史上初の30本塁打クインテット――昨年、アトランタ・ブレーブスに2組目が誕生――の一人となり、2021年も30本塁打を記録した。
だが、3年3000万ドルの契約最終年だった2022年は、左膝の怪我に泣かされ、出場は20試合にとどまり、ホームランは1本だけ。シーズン終了後、ツインズに年俸1400万ドル(解約金275万ドル)の球団オプションを破棄され、FAになった。
そのまま、昨年は、どの球団とも契約せずに過ごした。そして、母国のドミニカン・ウィンター・リーグでプレーした後、マイナーリーグ契約でエンジェルスに入団した。MLB.comのレット・ボーリンジャーによると、健康を維持するため、体重を58ポンド(約26.3kg)減らしたという。
現在の立場は、代打に加え、一塁、三塁、DHの控え、といったところだろう。けれども、そこから、併用の準レギュラーあるいはレギュラーとなる可能性も、皆無ではない。今春の23試合は打率.204と出塁率.295ながら、4本塁打はエンジェルスで最も多い。
経緯は異なるものの、全休から復活を期すスラッガーは、サノーだけではない。リース・ホスキンス(ミルウォーキー・ブルワーズ)もそうだ。こちらは、2022年までフィラデルフィア・フィリーズでプレーし、6シーズンに148本塁打。サノーと同じく、シーズン25本塁打以上は4度あり、最多のシーズンと2番目に多いシーズンの本数も共通する。2018年に34本のホームランを打ち、2022年は30本塁打を記録した。
1年前、ホスキンスは、開幕直前の試合で、守備の際に左膝の前十字靭帯を損傷した。昨年はマイナーリーグでもプレーできず、FAとなった今オフ、ブルワーズにレギュラーの一塁手として迎えられ、2年3400万ドルの契約を手にした。今春のスタッツは、サノーとよく似ていて、14試合で打率.195と出塁率.298を記録し、4本のホームランを打っている。
なお、全休の翌年に30本塁打以上は、過去に何人かいる。その直近は、2021年のミッチ・ハニガー(シアトル・マリナーズ)だ。2019年6月、自打球によって睾丸が破裂したハニガーは、そこでシーズンを終え、2020年も復帰できなかったが、2021年は39本のホームランを打ち、自己最多を13本も更新した。
昨オフ、マリナーズからFAになったハニガーは、サンフランシスコ・ジャイアンツと3年4350万ドルの契約を交わした。そして、今年1月のトレードにより、マリナーズへ戻った。ちなみに、今春は、16試合で打率.385と出塁率.442、5本塁打を記録している。