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Adobeが公開した、人工知能でイケてるセルフィーを作るデモ

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
Adobe MAX 2016基調講演に立つシャンタヌ・ナラヤンCEO(筆者撮影)

クリエイティブソフトウェアとデジタルマーケティングソリューションを扱うAdobeの研究グループであるAdobe Researchは、人工知能「Adobe Sensei」とディープラーニングを活用し、セルフィー写真を見栄えのするポートレートに加工する技術のデモビデオを公開しました。

Adobeによると、良いポートレート写真の秘訣は、

・正しい遠近法

・適切なデバイス

・編集技術

が必要だとしています。しかしスマートフォンでは、被写界深度の浅い(背景がボケた)写真を撮影できない他、オートフォーカスではないインカメラも多く、特に遠近法の効果をシャッター1つで実現するには至りません。

そこで、人工知能とディープラーニングを駆使して、スマートフォンのセルフィーを、優れたポートレート写真に加工できるようになるとしています。

ちなみに、ベースとなっているアプリは、モバイルアプリ「Photoshop Fix」でしょう。すでにPhotoshop Fixでは、顔を自動的に検出して、顔の輪郭や広角を自由に編集できるほか、画面をなぞって背景をぼかす処理をかけることができます。

こうした処理を自動化したり、プロのポートレート写真の雰囲気をワンタップで再現することができるようになることが期待できます。

モバイルアプリとAdobe Sensei

Adobeにとって、モバイルアプリは、戦略上非常に重要な、ユーザーの裾野を広げるための入口になっています。

Adobeはそれ以前の、高額のクリエイティブアプリの売り切り型のモデルから、全てのアプリを利用できるCreative Cloudが月額2900円、Photoshop・Lightroomが利用できるフォトプランが月額980円という、購読型のモデルへと移行しました。

モバイルアプリは、Adobe IDの新規作成において、大きな役割を果たしつつあります。そのモバイルアプリは、本格的な作業がしにくい分、Adobe Senseiやディープラーニングによるクリエイティブ分野の自動化の効果を実感しやすい面もあります。

Adobe Senseiは、クリエイティブに強い人工知能として、Creative Cloudや、マーケティング・広告などを内包する顧客体験を作り出すExperience Cloudにも活用されますが、モバイルアプリでのAdobe Senseiの活躍は、人工知能のすごさを身近に感じることができる「表舞台」といえるでしょう。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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