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【ラグビーW杯】日本代表、攻撃のキーマンの一人SH日和佐が語る、前回W杯と南アフリカ戦の戦い方

斉藤健仁スポーツライター
SH日和佐、BK14人の中でW杯を経験している3人のうちの1人(撮影:斉藤健仁)

9月11日、ラグビー日本代表は、いよいよラグビーワールドカップ(W杯)の初戦・南アフリカ代表(19日)戦の開催地であるイングランド・ブライトンに入った。12日の公式会見後、「アタッキングラグビー」を掲げる日本代表の攻撃のキーマンの一人である、SH日和佐篤(サントリーサンゴリアス)に話を聞いた。

――9月5日のジョージア代表戦は、後半22分から出場し、勝利(13-10)に貢献しました。

日和佐 トライが欲しいときに取れましたね! (SO小野)晃征とのコンビは長いことやっているので合っていると思います。

――ついにW杯初戦となる南アフリカ代表戦の開催地、ブライトンに着きました。

日和佐 今はリラックスしています。南アフリカ代表は映像を見る限り、強いなと思います。どう日本のラグビーをするか。もちろん、勝ちに行くつもりですが、どう次につなげるか、ですね。

――エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、南アフリカ代表戦では、あまりキックでタッチに蹴らず、「ボール・イン・プレーを増やしたい」と言っています。

日和佐 自分たちの強みを出すためにはそうしないといけない。相手の強みは、セットプレーとモール、そして、こちらがペナルティーをしたらショット。スロー、スロー、スローです。エディー(・ジョーンズHC)さんが言うように、ボール・イン・プレーを増やして、ボールを動かして相手をバテさせたい。

また南アフリカ代表は、日本代表戦をウォーミングアップくらいにしか思っていないかもしれないけど、そこに隙が生じると思います。主導権を握って、先制パンチを食らわして、どう相手をパニックに陥れるか、だと思います。

――南アフリカ代表には、サントリーサンゴリアスのチームメイトSHフーリー・デュプレア、FLスカルク・バーガーもいます。

日和佐 2人とも試合に出てきてくれたら嬉しいですが、嫌ですね(苦笑)。相手の9番の選手(=フーリー)の嫌がるプレーはわかっています。個人でどうこうというより、チームでどうプレッシャーをかけるか。良い練習ができています。

――BKは14人いますが、W杯経験者は日和佐選手含めて3人だけです。SO小野征晃(サントリー)は前々回大会、日和佐選手とSH田中史朗(パナソニックワイルドナイツ)の2人は前回大会も出場しています。

日和佐 そうですね。前回大会はフランス戦では良い試合をしましたが、ニュージーランド戦ではボコボコにされました。トンガ代表戦は「絶対、勝ちたい!」と思って臨みましたが、先制パンチを食らって構えてしまって負けた。カナダ代表戦は3戦目を踏まえて、後半5分で8点差、「勝ったわ」と思いました。ただ一瞬の緩みで、(8点差になった後のプレーで)ファーストフェイズでトライを取られた。3点差の中でどう戦うかというところで、ペナルティーを与えてしまって同点にされてしまった。

(前回大会は)個人的にも、自分が、自分がという感じでしたね。テストマッチもそうですが、W杯は一瞬の気の緩みで得点を取られたり、ひっくり返されたりしてしまう。そこに注意していきたい。

――それでは、W杯経験者として、初めて出場する選手に、何を伝えていきたいと思っていますか?

日和佐 会場の雰囲気とかわかっていないと思うので、パニックにならなければいいなと思います。キックオフを逆算して、ルーティンをして、いつも通りのことをやれば、いつも通りに試合に入れると思います。

また、今、ナキ(NO8アマナキ・レレィ・マフィ選手)と同部屋ですが、ちょっとナーバスになりかけているかな。サポートしていきたいと思います。

――W杯では、特に、どんなプレーをしたいですか?

日和佐 ゲームスピードを上げることです。そこがフミさん(田中選手)とは違うところだし、自分の持ち味だと思っています。また試合に出たときに、それは自分の責任だと思うので、そこで勝負したい。

――FLリーチ マイケル主将が「フィットネスは、前回大会はダメでしたけど、今大会は自信があります」と言っていました。

日和佐 今大会は大丈夫です。後半20分からの「JP※タイム」は自分たちの時間帯だと思っていますし、トライを取りたいときに取りたい。最後の20分が勝負だと思います。

※JP=日本代表を4年間、鍛え上げてきたストレングス&コンディショニングコーティネーターのジョン・プライヤー氏のイニシャル&愛称

――ジョーンズHCは、W杯終了後に、日本代表のヘッドコーチを辞めることを表明。日和佐選手はサントリーで2年間、日本代表で4年間、計6年間、ジョーンズHCの下でプレーしています。

日和佐 そうですね。ただエディーさんどうこうと言うよりも、プレーするのは選手ですし、選手がどうプレーするか、です。エディーさんは、また戻ってくるかもしれませんが、最後は一緒に喜びたいと思います!

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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