“欧州組のみ”の日本と対照的? “オール国内組”の韓国A代表とU-23代表が試合をするワケ
日本代表は今日9日にカメルーン代表、13日にコートジボワール代表とオランダで国際親善試合を行う。
それも欧州組だけで代表メンバーが構成されたこともあり、注目の久保建英(ビジャレアル)や南野拓実(リバプール)などがどのようなプレーを見せてくれるのかと楽しみにしているファンも多いことだろう。
お隣の韓国でも9日と12日に久しぶりに代表メンバーが姿を見せる。だが、国際親善試合ではなく「2020ハナ銀行カップ」という“イベントマッチ”が国内で開催される。
ここで韓国A代表と来年の東京五輪でメダル獲得を目指すU-23韓国代表が対戦することになった。
オランダ遠征に向かった日本代表とはかなり対照的だ。
韓国代表は新型コロナウイルスの感染が拡大してから、まったく練習ができておらず、試合も昨年12月18日に行われた「EAFF E-1サッカー選手権」の日本戦以降、一度も行われていない。
もちろん国内で試合を行うため、招集された23人のメンバーはすべてKリーグの選手だ。
欧州などの海外から国内への移動は、入国制限措置や2週間の自主隔離などを考えると現実的ではなく、FWソン・フンミン(トットナム)やMFイ・ガンイン(バレンシア)など、本来なら声がかかるメンバーは当然いない。
海外組が呼べない状況や遠征も難しく、すぐにでも代表チームが実戦を行うには、こうした形で試合を開催するしか他に方法がなかったとも言える。
パウロ・ベント監督はメンバー発表の記者会見でこう語っていた。
「現状では世界的にすべての代表チームが苦労していると思う。新型コロナによって状況が変わり、多くの国が代表選手の選出に難しさを感じている。確実性がない中でもしっかりチームを運営していく必要がある」
“国内組のみ”は新戦力を発掘する機会
スター選手の不在で注目度は劣るが、一方で国内組にとっては代表入りをアピールするチャンス。それにベント監督からすれば2022年カタール・ワールドカップ(W杯)出場に向けて、新たな戦力を発掘する貴重な機会でもある。
というのも、10月と11月に予定されていた2022年カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選は2021年に延期となったが、現在もコロナ禍で状況の変化が著しいため、仮にアジア予選が再開したとしても、メンバーの招集が思うようにいかないケースが予想される。
延期した日程を消化しきれなかった場合、もしかしたら一定の期間を設けて、一国の同じスタジアムでW杯出場を決めるアジア予選が行われることも考えられる。
スポーツ専門サイト「MBCスポーツプラスニュース」は「(W杯アジア)予選が後ろ倒しになればなるほど、新戦力の発掘の機会は減る」と伝えているが、確かに日程が詰まれば、ある程度は既存の戦力を使うほうが無難なのは明白だ。
そういう意味でも、韓国での今回のイベントマッチは、W杯出場に向けた重要な実戦の場なのだ。
元Jリーガーも多数選出
今回、日本に馴染みのある選手が韓国代表に初選出され、注目を浴びている。元アビスパ福岡のウォン・ドゥジェだ。
今年1月のU-23アジア選手権に出場し、ボランチで攻守をつなぐ役割を果たして優勝に貢献。大会MVPも獲得している。
今季はKリーグ1にデビューし、首位を走る蔚山現代の主力へと成長。中盤の底で試合の流れを読む能力に長けており、代表ではMFキ・ソンヨン(FCソウル)が長らくこなしていたポジションを埋める選手として期待されている。
ベント監督も「センターバックやディフェンシブハーフとしての能力が高い」と評価しているが、適役なのかどうかの判断は今回の試合でのパフォーマンスにかかっているだろう。
他にも元北海道コンサドーレ札幌のGKク・ソンユン(大邱FC)、元鹿島アントラーズのDFチョン・スンヒョン(蔚山現代)、元FC東京のMFナ・サンホがA代表に選出されている。
特に札幌のファンは、ク・ソンユンの名前を久しぶりに聞いたという人もいるだろう。ロシアW杯に出場したGKチョ・ヒョヌ(蔚山現代)とのポジション争いに勝てるか見ものだ。
また、今年のU-23アジア選手権で韓国代表のキャプテンを務めた元V・ファーレン長崎のDFイ・サンミン(ソウルイーランドFC)は、U-23代表に選出され「競争するうえでいい機会。自分をアピールするチャンスになる」と意気込んでいる。
こうした元Jリーガーの韓国人選手たちが、代表でポジションを勝ち取ることができるのかにも注目しておきたい。