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キャリア初の世界トップ100入りをした尾崎里紗。日本女子テニス“1994年組”の大本命が上を目指す

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
トップ100入りを果たし今後の活躍が期待される尾崎里紗(写真/神 仁司)
トップ100入りを果たし今後の活躍が期待される尾崎里紗(写真/神 仁司)

ITF東京大会(賞金総額10万ドル)にあたる「安藤証券オープンテニス 東京 2016」(11月8日~13日本戦、東京:有明コロシアム・有明テニスの森公園)の1回戦で、第7シードの尾崎里紗(WTAランキング94位、11月7日付け、以下同)が、イペク・ソリュ(トルコ、151位)を4-6、6-0、6-4で逆転勝ちを収めて、2回戦進出を決めた。

「今日は、風もあり、初戦ということもあって、すごく難しかったんですけど、疲労がある中、ファイナルセットにもつれても、しっかり勝つことができたのはやっぱりよかったと思います。優勝した後の1回戦というのは、結構難しいので、その中で勝ててよかった」

こう振り返った尾崎は、東京へ来る前に、オーストラリア遠征に出て、ITFベンディゴ大会(賞金総額5万ドル)とITFキャンベラ大会(賞金総額5万ドル)で、2週連続優勝を果たした。両大会共に、第1シードとしてプレーしてしっかり勝ちきった。

「自分が第1シードで、みんな自分よりランキングが下なので、絶対2週優勝すると決めて行ったので、その中で我慢してプレーできた。フォアのクロスが良くなってきて、ネットプレーもからめてできた」

2週連続優勝によって、尾崎のWTAランキングは117位から94位に上昇し、自身初となる世界のトップ100入りを果たした。

「私的にはやっとという感じがある。いけそうでいけなかった年が多かった。ホッとしている部分と、嬉しい部分もあります」

また、ランキング上昇によって、2017年1月16日からメルボルンで開幕する、テニス4大メジャーの初戦であるオーストラリアンオープンの本戦ストレートインが、ほぼ確実となった。22歳の尾崎にとっては、嬉しいグランドスラムデビューとなる。

「予選をもう戦わなくていいんだという気持ちはありますね(笑)。オーストラリアンオープンは好きな会場ですし、好きなコートサーフェスなので、すごく楽しみです」

日本テニス界には、“1994年組”という言葉があり、1994年生まれには才能が豊かな日本女子選手が多い。ライバルが多い中で、尾崎は、16歳以下と18歳以下のシングルスで全日本ジュニアタイトルを獲得していた。

プロになってからは、同じく“1994年組”の日比野菜緒が、2015年にWTAツアーのシングルスで優勝したり、加藤未唯と穂積絵莉が、2016年にダブルスでWTAツアーの優勝をしたりして、彼女らと比較すると、尾崎は大きな結果を残せないでいた。

だが、もともとセンスがある尾崎だけに、歩みは少し遅かったが、まじめな彼女らしく着実に力をつけて、ランキングを上げてきた。

「100位以内をキープしつつさらに上がるには、WTAで勝てないといけないです。ただ、今のテニスでは、グンと上がっていけないと実感しているので、今シーズンが終わって一度休んでから、しっかりフィジカルや技術面も上げていけたらと考えています」

日本女子テニスの“1994年組”の大本命といえる尾崎は、「来年、WTAで優勝したいな」と大きな目標をかかげる。彼女が、2017年シーズンにどんな飛躍を成し遂げるのか、非常に楽しみだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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