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女子テニスの注目株・尾崎里紗が、マイアミ本戦初出場&初勝利。コーチとトレーナーのチームワークも光る!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
マイアミオープン本戦初出場で、見事初勝利をつかんだ尾崎里紗(写真/神 仁司)
マイアミオープン本戦初出場で、見事初勝利をつかんだ尾崎里紗(写真/神 仁司)

マイアミオープンで初めて予選を勝ち上がった尾崎里紗(WTAランキング87位、3月20日付け、以下同)が、1回戦で、ルイーサ・チリコ(63位、アメリカ)を3-6、7-5、6-1で破って、本戦初出場で見事初勝利をつかんだ。

「ドローを見て勝つチャンスはあると思っていたので、そのぶん力みというか、勝ちたいという気持ちが強すぎて、今までだったら(ラケットが)振り切れなかったりしました。けど、今日は、わりと振り切れていたし、自分の展開にもっていけたパターンが多かった。こういう大きな大会で、チャンスと思った時にしっかり勝てたのがよかったと思います」

このように振り返った尾崎は、第1セットを取られた後、第2セットは何度もブレークチャンスがありながらもサービスブレークできず我慢の展開が続いた。

「最近ブレークポイントを取れないのが多いので、ちょっとイライラした。頑張って切り替えた。一本一本集中して、挽回しようと心がけていました」

結局、第2セットは5回目のセットポイントを尾崎がもぎ取って、セットオールにした。その後尾崎は、チリコのプレーとコンディションを観察しながら、徐々に試合の流れを自分に引き寄せていった。

「(チリコは)今あまりフィジカル的によくなそうで、ちょっとポッチャリしていて。スライスで低いところを打たせたり、スピンで(コートの)外に走らせたりして、最後の方は(チリコがボールを)追えなくなっていた」

マイアミオープンは、女子ワールドテニスWTAツアーで、1年に4大会しかないプレミアマンダトリーのグレードで、世界4大メジャーのグランドスラムに次ぐハイレベルな大会だが、尾崎にとっては、プレミアマンダトリー大会での初勝利となった。

「今年の全豪で勝てなくて、大きな大会で勝つ難しさをその時に感じた。マンダトリーで予選を突破して、1回戦も勝てたのは自信につながります」

尾崎の勝利を支えた川原コーチ(左)と北村トレーナー(中央)(写真/神 仁司)
尾崎の勝利を支えた川原コーチ(左)と北村トレーナー(中央)(写真/神 仁司)

尾崎に帯同している川原努コーチは、次のように彼女のプレーを評価した。

「今シーズンここまで里紗は、勝ちたい気持ちが強すぎて、勝つテニスにつながらなかったんです。だから体が硬くなって、ラケットを振るのを怖がっていた感じでした。そのことについてずっと話し合ってきました。勝ち負け、ボールが入るか入らないか、というのが彼女の頭に常にあるので、それをやめよう、と。それでマイアミで結果が出て、里紗もやれると思えるようになって、自信をつかんでいい方向にきているかな。もっと上を目指してほしい」

また、2時間6分に及んだフルセットの逆転勝ちを支えたのは、尾崎の向上してきたフィジカルで、尾崎自身も手ごたえを感じている。

「体幹トレーニングをしているので、前より体の軸がぶれないで、安定感が増した。(フィジカルが)良くなっている実感はすごくあります。私は、特に粘るタイプなので、何球でもできるという自信がつけば、自分のプレーに活かすことができます」

昨年末から北村珠美トレーナーに見てもらっている尾崎は、テニスによい影響を与える動き方を学びながら改善を図っている。北村トレーナーは、尾崎の体とじっくり向き合っている。

「(サイドに振られた時に)モモの前を使って止まると、疲れが出やすくなって、けいれんにつながるので、なるべくももの裏やお尻を使って止まった方が効率よく動けます。現在、尾崎さんは55%クリアできているので、止まり方は前より良くなったし、筋肉痛の場所がモモの裏に出るようになった」

2回戦で尾崎は、第16シードのキキ・バーテンズ(21位、オランダ)と対戦する。

「キキはすごい打つけど、崩れる時もあるので、自分のスピンのボールで組み立てれば、少ないかもしれないけど、チャンスはあると思う。弱点を突くというか相手をよく見て、プレー中にいろいろ考えてできたらと思います」

今の尾崎は、挑戦者として向かっていき自分の力を出し切ることができれば、3回戦進出を果たすことができるはずだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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