藤原さくら、ますます華やぐ「ずっと見ていたい」
「Sakura Fujiwara Tour 2024」東京公演を5月19日(NHKホール)に控え、シンガー・ソングライター、藤原さくらの活動が華やぎをみせている。
肩書に宿る熱意
アルバムのPRを兼ねて同10日に出演した『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)では、番組の“お約束”である眼鏡をかけ、俳優としても存在感を示し続ける藤原らしく、終始、凛とした表情を通した。
印象的だったのは、「シンガー・ソングライターの…」という紹介文。文字どおり、曲作りに真摯に取り組み、音楽をこよなく愛する歌い手であるという自負が彼女にはあるし、ファンもそれをよく理解しているからこそのシンガー・ソングライターという肩書に、華奢な姿とは異なる彼女の骨太さや芯の強さ、力強さを感じた。
シュール&リアル、あらゆる世界観にマッチ
出身の福岡から高校卒業後に上京し、多才なサウンドプロデューサーらと出会いながら真摯に音楽と向き合い、ポール・マッカートニーをこよなく愛する表現者。それが藤原さくらだ。
『全力!脱力タイムズ』では、同日のゲストであった「オリエンタルラジオ」の藤森慎吾が楽屋から出てこない…という“設定”にも、藤原は柔軟に対応。藤森の楽屋にギターを抱えて突入し、「テツandトモ」の『なんでだろう』のメロディーにのせ、持ち味のブルージーな歌声で藤森へのメッセージを歌いきった。
また、4月10日から期間限定発売された『マクドナルド』の「ベーコンポテトパイ」のテレビCMで、チャーミングかつ可憐な彼女の姿を確認した視聴者も多いだろう。
井上陽水の往年の名曲『夢の中へ』を歌い、ベーコンポテトパイをハフハフしながら食べる藤原。サクサクのパイ生地から溢れ出すスモーキーなベーコンやクリーミーなフィリングが醸し出す同品の絶妙なハーモニーは、まさに藤原の歌声とマッチしていた。
女性視聴者が思わず感情移入
映像で彼女のアップを見て、2022年1月期の清原果耶主演による連続ドラマ『ファイトソング』(TBS系)を思い出した方もいらっしゃるのではないか。
藤原が演じたのは、花枝(清原)と慎吾(菊池風磨)の幼なじみ、凛役だった。
花枝と春樹(間宮祥太朗)、そして慎吾が繰り広げる“三角関係”に、藤原演じる凛はまるでかすっておらず、そればかりか、自身が思いを寄せる慎吾は、妹分である花枝のことが好き…という状況。そんな中、千々に乱れる想いを押し殺し、強がって“お姉ちゃん”的役割をまっとうする凛に対し、女性視聴者の多くが感情移入して話題となった。
脚本を担当したのは、連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)や、「ギャラクシー賞」、「日本民間放送連盟賞」などに輝いた2023年4月期の『日曜の夜ぐらいは…』(朝日放送テレビ・テレビ朝日系)など、健気な女性を描かせたら右に出る者はいない脚本家・岡田惠和氏。同氏と藤原のキャラクターとは、この上ない相性の良さだった。
女性のホンネの代弁者
また、2023年7月期の『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)では、主人公・向井悟(赤楚衛二)の妹役であり、武田元気(岡山天音)の妻である麻美役を演じたが、同作でもその演技力でSNSを大いに沸かせた。
強がっているだけなのに「君は一人でも生きていける」と判断するような世の男どもに、「藤原さくらちゃんの演技を見て!」「理解してよ」と女性視聴者は感じていたのではないか。
「使ってみたい」し「欠かせない」
そして、森田剛主演で、橋本愛、高良健吾、浜野謙太、中島歩、渋川清彦、眞島秀和、小日向文世、安田顕…といったドラマファンが愛する“曲者”だらけのキャストと共に、藤原が出演した2023年8月14日のNHKスペシャル枠で放送された『アナウンサーたちの戦争』。大反響を呼んだ同作は今年8月、映画として劇場で公開されることが発表された。
“俳優・藤原さくら”は、間違いなく存在感を発揮している。脚本家や演出家が「使ってみたい」し、作品に「欠かせない」人物となっているのだろう。
もちろん、シンガー・ソングライターとしても輝き続けており、4月3日にリリースされた通算5枚目となるニューアルバム『wood mood』の評判もすこぶるいい。「森の中に入って行き、そこから抜け、光が差していくイメージが頭の中にあった」と方向性を語る藤原。その言葉どおり、歌詞の中には、光にまつわる言葉が多数登場する。
2016年4月期“月9”の『ラヴソング』(フジテレビ系)でヒロインを務めてから8年。約100人が参加したオーディションで、「ヒロイン・佐野さくらがそこにいた!」と審査員らに言わしめた藤原さくら。その歌唱力、表現力、感受性はさらに磨きがかかり今春、「シンガー・ソングライター」「俳優」として間違いなく華やいでいる。
個人的には、歌も演技も両方ずっと見ていたい。藤原さくらに大注目だ。