小雪の“秘書”で竹野内豊の“部下”、前原滉の時代到来!
いよいよ、9月26日(木)午後9時に最終回を迎える木曜ドラマ『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)。ここに来て、一気に本筋に関わってきた感があるキャストが、受験コーディネーター・九条彩香(小雪)の秘書・永峰泳児役を演じる前原滉(まえはら・こう)である。
―竹野内豊の“部下”として話題に
前原について、「あぁ、あの俳優」と多くの視聴者が確認できるのは、2021年から放送されているタクシーアプリ(タクシー配車サービス)「GO」のテレビCMでの竹野内豊の部下役ではないか。
道端でタクシーを拾うべく手を挙げ、同様に手を挙げているビジネスマンと小競り合いを繰り広げる部長・竹野内の様子に「何してんスか」と呆れつつ、「GO」の利用を促すのが、しっかり者の部下・前原だ。
「じゃあ、お前ならどうする?」「どうする?GOする」のコピーでおなじみの同CMは、すでに3年も続く人気シリーズ。専門誌の好感度調査でも常に上位にランクインしている。
前原が出演する同CMは他にも、接待後にタクシーが3台必要となり、部長・竹野内が夜の街に飛び出すが1台も拾えずクタクタになったのに対し、アプリで3台同時に呼ぶことに成功し、「よくやった!」と抱擁される「接待」篇。そして、偶然乗り合わせたタクシーのドライバーが部長の幼なじみ(吉田羊)だった「アプリドライバー募集」篇などがある。
―ゲスト出演からメインキャストへ
筆者はこのCMで前原の魅力にハマり、即、検索。以来“推し俳優”の筆頭なのである。
“推し”の世界においては、いつどこで見つけたかというタイミングが早ければ早い古参ファンであるほど周囲に自慢できる…ということを考えると、私は遅いほうなのかもしれない。「GO」のCM後、前原の魅力をしっかりインプットできたのは、2022年7月期のドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系)なのだから。
言い訳をさせてもらえば、それまでの前原は、全話通しで出演しているドラマは少なく、出演回を記したプロフィールでは、「第〇話」とか、「〇月〇日~〇月〇日まで」と、つまりはゲストとして出演するものが圧倒的だった。
それが『ユニコーン…』では、主演の永野芽郁やビジネスパートナーの杉野遥亮と共に、教育系アプリ開発のスタートアップ企業を創業したメンバーの1人という立ち位置。杉野とは大学時代の同級生という設定ゆえ、永野、杉野、前原の3人で画面に居るシーンも多く、初回から最終回までメインキャストとして出演していたのである。
―「こういう男子、いた、いた!」
そして、今年7月期には2本のドラマに出演。
1つが、冒頭で述べた秘書役を演じている『スカイキャッスル』である。最終回を前にした第7話(19日放送)のラストでは、落下事故に絡む目撃者が「見つかりました」と答えて視聴者を驚かせるなど、影のキーマンとして活躍している。
もう1つが、複数のドラマ評論家が「No.1」として挙げた、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(読売テレビ・日本テレビ系)。こちらは三番手で出演し、枝松脛男(木村昂)の“バイトの後輩”金子充役を演じた。
いわゆる“イケメン”とは異なる味のある風貌。人間味溢れる台詞をもらい、実年齢よりも若さを感じさせる役が本当に上手い。オフィスやキャンパス、バイト先などに「こういう男子、いた、いた!」と言いたくなるようなキャラクターを持つ前原滉の時代が、到来しつつあると言っていいだろう。
―常に画面に出ている印象
細かいことを言えば、2023年10月期『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日系)で松岡茉優の別居中のダメ夫を演じているのも観ていたし、今年3月、『テレビ報道記者~ニュースをつないだ女たち』(日本テレビ開局70年スペシャルドラマ)で報道局の記者を演じているのも観た。
前原を追いかけているのではなく、観ようと思ってチャンネルを合わせた話題のドラマに、ひょっこり出ている印象だ。
―占い結果に戸惑い「34歳から…」
『…~ニュースをつないだ女たち』のスタッフに、「前原滉の大ファン」「ピッタリの役だった」「後輩役が本当に似合う」とLINEをしたところ、「いいですよね~、私も同感です。ああ見えて31歳。御本人、新人記者役に戸惑っていらっしゃいました」との返信をもらった。
戸惑うといえば、前述の「GO」のCMのメイキング映像で前原は、占いで「34歳から忙しくなります」「キャスティングの仕事も増えていきます」と言われる一幕も。キャスティングプロデューサーをすることになるのか…と戸惑いながらも、役柄よりもややハイトーンで竹野内や吉田らと話す前原はチャーミングな人柄が滲み出ており、CM同様、“部下力”が光っていた。
―見事なキャスティングで主演!
そんな彼が、12月20日公開の映画『ありきたりな言葉じゃなくて』に主演する。
同作は、筆者も長年仕事を共にしてきた「テレビ朝日映像」(テレビ朝日のグループ会社で報道情報番組やバラエティ番組など数多くの番組を手がけている)によるもの。
リリースには、「映画プロジェクトを発足させ、65年の歴史の中で初めて長編オリジナル映画の制作に挑戦」と記され、主役については「ワイドショーのスタッフとして毎日徹夜でナレーション原稿を書き散らす構成作家」とあるではないか。まさに、筆者も経験のある仕事にスポットライトが当たる上、「主演・前原滉」の文字を見て思わず小躍りしてしまった。
仲間の放送作家の顔を浮かべると、前原に似たルックスの男性が何人も思い浮かぶ。なんという見事なキャスティングだろうか。
ワイドショーの作家を経て、先輩の売れっ子脚本家の推薦によって、念願の脚本家デビューが決まり、「脚本家」の肩書を手に入れ、浮かれた気持ちでいる主人公の前に“彼女”が現れて……という物語。
同作のスタッフに前原の人柄を聞いたところ、「肝心なシーンの日は集中されているので、あえて顔を合わせないようにしていると、そのシーン終わりで、『きょう、ちゃんと挨拶していませんでしたね』と前原さんの方から声をかけてくださったことが忘れられません。いい役者さんであると同時に、とにかく愛される人柄なんです。主演していただいて本当に良かった」と。主演映画の現場でも、人間力が際立っていたのだろう。
―早くも、その時が来た
11月20日の誕生日で32歳。中学時代、市の優秀選手に選ばれたサッカーが特技ゆえ、動きが軽やかでスタイルが良く、実はスーツがとても似合う。筆者の周りの業界人の間でも頻繁に彼の名前が出るようになっている。
占い師から言われた34歳よりも前に、前原滉の時代が到来したようだ。