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歌手、モデル、華道家、多才すぎる當間ローズの現在地

山田美保子放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー
(写真:すべて事務所提供)

 8月14日、『涙~世界のどこかで瞬間(いま)~』を日本語とポルトガル語でリバイバル・カバー。デジタルシングルとしてリリースするのが、當間(とうま)ローズ、31歳だ。

 同曲はもともと、アーティスト・プロデューサーのYUKIKO.K氏が2007年、韓国アーティスト、元「SoRi」のKENNYのために作ったもの。

 今回、慈善活動や花にまつわる活動を通じて定着しつつある、「心に寄り添う人」という當間のイメージにピッタリだという周囲の人々の後押しにより、リバイバル・カバーすることが決定したという。カップリング曲は『Namida~Em algum lugar do mundo~』だ。

―あらゆる肩書を持つ男

 それにしても、「多才」という言葉はこの人のためにあるのではないかと思う。

 ブラジル人の母と、イタリア系日本人の父を持つ彼。歌手、モデル、華道家でありながら、『陶あん』四代目当主・土渕善亜貴氏に弟子入りして陶芸の腕を磨き、乗馬も得意。

 日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語と4か国語を話すクワトロリンガルでもある。

 そして近年のリリースには、文化的活動が相次いでいる。2022年、京都市の東福寺光明院で開催された個展は、「ロスフラワー」をアレンジしたものだった。ロスフラワーとは、美しく咲いているのに検品基準を満たさず規格外となったり、店舗で売れ残ったり、結婚式や各種イベントなどに使用され、ごくわずかな時間で役目を終えて廃棄されてしまう花のことだ。

 「SDGs=持続可能な社会づくり」という考え方は、メディアで多く取り上げられたりしていることから、少しずつ広まっている。

 それに加えて、コロナ禍でさまざまなイベントが中止・縮小されてしまい、花の需要が落ち込んでその廃棄量が急増したことからロスフラワーが注目され、インターネットを中心に、一般ユーザーにも多く購入される流れができつつある。

―信念を持ったロスフラワー推し

 実は筆者は當間から、ロスフラワーの深紅のバラを手渡しされる光栄に恵まれた経験がある。

 今年1月に行われた「第31回たかの友梨エステティックシンデレラ大会2024」の審査員を一緒に務めた際、終演後、當間が共演者の楽屋を回り、ラッピングされたロスフラワーのバラを1輪ずつ渡していた。その際、ロスフラワーについてやギフトにこめた想いを穏やかな口調で説明してくれて、心から納得した。

 その数日後、今度は30本近いロスフラワーによる深紅のバラの大きな花束を抱えた當間と会う機会があった。某有名人の誕生日パーティーだったのだが、そうした場でもロスフラワーを利用している當間。

 ちなみに、もらったバラを自宅で花瓶に挿したところ、冬場とはいえ10日近くもきれいに咲いていた。個人的にも、ロスフラワーを利用してみたいと心から思った。

―溢れる地元愛

 當間と花との美しき関係はさらに続き、「浜名湖花博2024」(6月閉幕)のガーデンパーク会場で特別展示された、當間のフラワーアレンジやドライ盆栽などの作品は、国の重要文化財にも指定されている静岡・湖西市の本興寺に展示され、個展はその後も京都や東京で開催される予定だ。

 ブラジル生まれだが、3歳から湖西市で育ったことから、同市の故郷大使や「薔薇色のプロジェクト」代表として、ロスフラワーのアレンジを特別支援学校に届けるボランティア活動を続けている。地元の花にまつわるイベントには、必ず當間の姿があると言っても過言ではないのである。

 こうした活動が認められ、「オリンピック東京2020」では、静岡県代表第一聖火ランナーにも選ばれている。

―人気者への階段を駆け上がる

 モデル活動は17歳からで、「東京コレクション」をはじめ、数々のランウェイにブランドモデルとして出演。FMやしの実では『當間ローズ I am Latino』のDJを務めている。

 そして2020年、彼の知名度を劇的にあげたのが、婚活サバイバル番組『バチェロレッテ・ジャパン』への出演。鍛え上げられた185cmのボディと甘いマスク、さらに紳士的な言動の数々で女性たちを虜に。番組中に作詞・作曲した『I fell in love』も話題となり、同シリーズの象徴的な存在として現在も活躍を続けているのだ。

―NHKからの信頼

 特筆すべきは、NHKに愛されていること。『ちきゅうラジオ』(ラジオ第1)の土曜担当MCであり、『うまいッ!』(総合)の食材ハンター、『阿佐ヶ谷アパートメント』(同)メンバー、『ハートネットTV フクチッチ』(Eテレ)、そして2019年の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(総合)にも出演していた。

 さらに、あいみょんの『チカ』のMVでも存在感をみせるなど、その活動はさらに幅広く、多才を極めている。

 8月9日からの東京公演から、愛知、大阪、東京凱旋まで約2ヵ月にわたって上演されるミュージカル『新テニスの王子様』では、スペイン代表のアントニオ・ダ・メダノレ役で出演。そして、14日の新曲リリースへと続く。

―ご指名の理由に納得

 各方面から“ご指名”を受ける理由を近しいスタッフは次のように話す。

 「派手な見た目に反して、実に真面目で、心優しくて、非常に常識人なので、どこへ行っても関わった方たちからの評判がすこぶるいいのです。自分の身の周りのことや、自分がやるべきことを率先してやってくれるので仕事も速い。自分は長年、多くのタレントさんを見てきましたが、彼は芸能界では珍しいタイプかもしれません。そして何より日本人よりも日本の文化が大好きなんです。訪日旅行者が好む“ベタ”な日本文化ではなく、まだあまり知られていない日本の伝統を広めていきたいという想いが強いので、そうした活動はこの先さらに増えると思います」。

 八面六臂の活躍をしている當間ローズに注目だ。

放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー

1957年、東京生まれ。初等部から16年間、青山学院に学ぶ。青山学院大学文学部日本文学科卒業後、TBSラジオ954キャスタードライバー、リポーターを経て、放送作家・コラムニストになる。日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」、フジテレビ系「ノンストップ!」などの構成のほか、「女性セブン」「サンデー毎日」「デイリースポーツ」「日経MJ」「sippo」「25ans」などでコラムを連載。「ドデスカ+(プラス)ドデプラ」(名古屋テレビ)などに、コメンテーターとしてレギュラー出演している。

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