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3年間に90セーブのクローザーがいるのに、3年間に103セーブのクローザーと大型契約。必要なのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョシュ・ヘイダー Jul 21, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ヒューストン・アストロズに、ジョシュ・ヘイダーが加わるようだ。ESPNのジェフ・パッサンらが、5年9500万ドルの契約で合意、と報じている。

 これまで、総額9000万ドル以上の契約を手にしたリリーバーは、エドウィン・ディアズ(ニューヨーク・メッツ)しかいなかった。昨オフ、ディアズは、ニューヨーク・メッツと5年1億200万ドルの契約を交わした。ディアズの契約には繰り延べ払いがあるので、金銭の価値はヘイダーの契約が上、という見方もできる。

 2023年のアストロズには、55試合以上に登板した投手が6人いた。彼らのうち、ヘクター・ネリスフィル・メイトンライン・スタニックは、FAになっている。その上、夏にシカゴ・ホワイトソックスから獲得したケンドール・グレイブマン――両チームで計68登板――は、今月、右肩の手術を受けた。2024年は全休の見込みだ。

 もっとも、この状況を鑑みても、大枚を叩いてヘイダーを手に入れる必要はない気もする。過去3シーズンに、ヘイダーは計103セーブを挙げているが、アストロズには計90セーブのライアン・プレスリーがいる。それぞれのセーブは、このスパンにおいて、3番目と5番目に多い。

 プレスリーにつなぐセットアッパーであれば、総額も年平均額も、ヘイダーの半額以下で済んだはずだ。FA市場にはロバート・スティーブンソンが出ているし、ネリスを呼び戻す方法もある。

 だが、アストロズは、ヘイダーを迎え入れた。プレスリーは、ブライアン・アブレイユらとともにセットアッパーとして投げ、ヘイダーにつなぐことになるだろう。

 その理由は、プレスリーにあるのかもしれない。2023年を前半と後半に分けると、後半は前年より悪化している。2.52→5.19の防御率だけではない。例えば、スタットキャストによると、ハード・ヒット率――初速95マイル以上の打球の割合――は、40.0%→48.8%と上昇している。一時的なものではなく、年齢による衰えということもあり得る。2024年のシーズン年齢(6月30日時点)は35歳。一方、ヘイダーは30歳だ。

 リリーバーの契約総額については、年頭にこちらで書いた。

「リリーバーの契約総額ランキング。ヘイダーが1億ドル以上の契約を手にすれば、リリーフ投手史上2人目」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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