3年間に90セーブのクローザーがいるのに、3年間に103セーブのクローザーと大型契約。必要なのか
ヒューストン・アストロズに、ジョシュ・ヘイダーが加わるようだ。ESPNのジェフ・パッサンらが、5年9500万ドルの契約で合意、と報じている。
これまで、総額9000万ドル以上の契約を手にしたリリーバーは、エドウィン・ディアズ(ニューヨーク・メッツ)しかいなかった。昨オフ、ディアズは、ニューヨーク・メッツと5年1億200万ドルの契約を交わした。ディアズの契約には繰り延べ払いがあるので、金銭の価値はヘイダーの契約が上、という見方もできる。
2023年のアストロズには、55試合以上に登板した投手が6人いた。彼らのうち、ヘクター・ネリス、フィル・メイトン、ライン・スタニックは、FAになっている。その上、夏にシカゴ・ホワイトソックスから獲得したケンドール・グレイブマン――両チームで計68登板――は、今月、右肩の手術を受けた。2024年は全休の見込みだ。
もっとも、この状況を鑑みても、大枚を叩いてヘイダーを手に入れる必要はない気もする。過去3シーズンに、ヘイダーは計103セーブを挙げているが、アストロズには計90セーブのライアン・プレスリーがいる。それぞれのセーブは、このスパンにおいて、3番目と5番目に多い。
プレスリーにつなぐセットアッパーであれば、総額も年平均額も、ヘイダーの半額以下で済んだはずだ。FA市場にはロバート・スティーブンソンが出ているし、ネリスを呼び戻す方法もある。
だが、アストロズは、ヘイダーを迎え入れた。プレスリーは、ブライアン・アブレイユらとともにセットアッパーとして投げ、ヘイダーにつなぐことになるだろう。
その理由は、プレスリーにあるのかもしれない。2023年を前半と後半に分けると、後半は前年より悪化している。2.52→5.19の防御率だけではない。例えば、スタットキャストによると、ハード・ヒット率――初速95マイル以上の打球の割合――は、40.0%→48.8%と上昇している。一時的なものではなく、年齢による衰えということもあり得る。2024年のシーズン年齢(6月30日時点)は35歳。一方、ヘイダーは30歳だ。
リリーバーの契約総額については、年頭にこちらで書いた。