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FAの一塁手トップ2は、ここ3年に平均40.0本塁打と平均31.7本塁打。契約を交わすなら…

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリスチャン・ウォーカー Apr 18, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフのFA市場には、ここ3シーズンに計90本以上のホームランを打った一塁手が2人出ている。ピート・アロンゾ(前ニューヨーク・メッツ)とクリスチャン・ウォーカー(前アリゾナ・ダイヤモンドバックス)がそうだ。彼らは、ポジションに加え、右打者ということも共通する。

 アロンゾは、2022~24年に計120本塁打を記録した。このスパンのシーズン平均は、40.0本だ。ウォーカーは、計95本塁打、平均31.7本。トータルと平均だけでなく、3シーズンとも、本数はアロンゾのほうが多かった。2022年が40本と36本、2023年が46本と33本、2024年は34本と26本だ。

 この3シーズンのトータル出塁率は、ほとんど変わらない。.333と.332だ。四球率も同様。まったく同じではないものの、どちらも、9.9%を記録している。

 来シーズンの年齢(6月30日時点)は、アロンゾが30歳、ウォーカーは34歳だ。守備は、ウォーカーのほうが優れる。ゴールドグラブと守備のうまさは、必ずしも一致しないが、ウォーカーは、ここ3シーズンともゴールドグラブを受賞している。2022年と2023年は、フィールディング・バイブル・アウォードも手にした。ちなみに、2024年は、マット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)が選出されている。

 アロンゾは、パワーでウォーカーを凌ぎ、4歳若い。出塁率と四球率には差がなく、守備はウォーカーに敵わないが、アロンゾも拙守というほどではない。2人とも、クオリファイング・オファーを申し出られている。

 ただ、FA市場で人気を博すのは、アロンゾとは限らない。

 契約を交わすには、アロンゾのほうが大枚を要するはずだ。どの球団も、補強ポイントは、一塁だけではない。また、年齢は下ながら、契約年数が長くなる分、リスクはアロンゾが上、という見方もできる。

 アロンゾを手に入れられなかった場合の「プランB」と考えるのではなく、最初からウォーカーを迎え入れようとする球団もあるに違いない。

 なお、メジャーリーグ1年目の2019年に53本塁打のアロンゾと違い、ウォーカーは遅咲きだ。最初の4シーズン、2014~15年と2017~18年は、計61試合で6本塁打。2016年のメジャーリーグ出場はなく、AAAでプレーした。2019年に28歳で29本塁打とブレイクし、不振に終わった2021年を経て、再びパワーを発揮している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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