きょうだいの子育てにおける平等と公平とは?~元保育士パパが教える【きょうだいの子育て】
親にとって子どもは宝物です。2人以上の子どもがいれば、どの子に対しても同じように愛情を注ぐでしょう。しかし、きょうだいの子育てをしているお父さんやお母さんの中には、「下の子よりも上の子ばかりをかわいがってしまう」「上の子がどうも苦手で扱いにくい」など、子ども全員に対して平等に愛情を注ぐことが難しいと感じている人もいます。
親も子どもも人間なので、いくら親子でも「合う」「合わない」があるのも無理はありません。性別による違いもあれば、素直に言うことを聞く子をかわいがって反抗ばかりする子どもをかわいいと思えないという場合もあるでしょう。しかし、親の気持ちを前面に出して子どもによってあからさまに態度や言動に出してしまうと、子どもの心は深く傷つき、親子の関係が悪化してしまうこともあります。
今回は子育てにおける「平等」と「公平」を考え、きょうだい全員同じように愛情を注ぐ方法を解説します。
子育てにおける「平等」と「公平」とは?
初めに、子育てにおける「平等」と「公平」について考えてみましょう。きょうだいには分け隔てなく平等に、そして公平にしたいと思うでしょう。しかし、平等や公平に子育てすることはとても難しいことです。
たとえば、お姉ちゃんと弟の2人きょうだいがいたとして、お姉ちゃんは小さい頃からあまり手がかかりませんでしたが、弟は上の子とは違ってとても手がかかります。お姉ちゃんにはしてあげなくても済んだことが、弟には必要かもしれません。「お姉ちゃんにはしてあげなかった援助を弟にするのは不公平だからしてあげない」としたら、援助が必要な弟は困ってしまいます。発達にも影響する可能性があるので、適切な援助は必要です。しかし、お姉ちゃんにしてみれば自分が小さいときにはしてもらえなかったことを弟がしてもらっている様子を見たら、「私のときにはしてくれなかったのに、どうして弟だけ?」と拗ねてしまうかもしれません。
つまり、きょうだいも一人ひとり違うので全て同じようにすることは困難です。親がする行為自体は、どうしても不平等や不公平になるでしょう。しかし、愛情は「不平等」で「不公平」になってはいけません。
子どもに愛情を伝える方法
子ども一人ひとりに対する行為は違っても愛情は平等に注ぎ、公平に接しなくてはなりません。子どもはすぐに理解できないかもしれませんが、「子ども達はみんな、親にとっては大切な存在」「同じように愛しているよ」ということを伝えましょう。愛情を伝える方法を紹介します。
子どもに愛情を伝える方法① 言葉で伝える
言葉で伝えるのが、1番わかりやすい方法です。先ほどは上の子より下の子に手がかかる例でしたが、その逆もあります。手がかかる子にイライラして、叱ってしまうというケースもあるでしょう。3人以上の子どもがいると、さらに大変です。しかし、「大好きだよ」「愛しているよ」「あなたはお母さんの宝物だよ」と一言伝えるのは、ほんの数秒でできます。朝送り出すときや寝る前など、1日1回は愛情が伝わる一言を子ども全員にかけましょう。
子どもに愛情を伝える方法② 態度で伝える
言葉で伝えるのも必要ですが、態度や行為で伝えることも大切です。「ぎゅっと抱きしめる」「頭をなでる」などの行為も時間をかけずに愛情が伝わります。手が空いたときには子どもの話に耳を傾けるだけで、子どもはとても嬉しい気持ちになります。
子どもに愛情を伝える方法③ 兄弟げんかは年齢で区別しない
兄弟げんかは年齢で区別せず、善悪で判断するようにしましょう。きょうだいの場合、どうしても「お兄ちゃんだから我慢しなさい」「お姉ちゃんなんだから、譲ってあげなさい」など、年齢が上の子に我慢させるような言葉をかけてしまいがちです。いくら年齢が上でも弟や妹におもちゃを取られたり勉強の邪魔をされたりしたら、困ったり怒ったりするのも無理はありません。そこで「年齢が上だから我慢しなさい」と言われたら、不満は募るばかりです。
しかし、下の子が小さければ言い聞かせようとしても難しく、大泣きして手が付けられなくなることもあります。言い聞かせたり叱ったりしても理解できず、泣いて手が付けられなくなることも多いでしょう。下の子の気持ちも受け止めてなだめたり、ほかのことに気が向くように誘ったりしましょう。
きょうだい全員同じように愛するための4つのポイント
きょうだい全員を同じように愛していても平等、公平に接することは難しいものですが、同じように愛情を感じることができなければますます接し方は難しくなります。しかし、態度や表情には出さず、平等に愛情を注がなければなりません。そのためのポイントを4つ紹介します。
きょうだい全員同じように愛するためのポイント① 子ども一人ひとり別々に見る
きょうだいのほかの子と比べると「かわいくない」「どうもイライラしてしまう」などの感情が起こるかもしれませんが、大事な子どもであることには変わりがないはずです。きょうだい一緒にいるときには難しいですが、その子1人だけと接するときにはほかの子と比べるのをやめて、その子1人だけを考えるようにしましょう。
きょうだい全員同じように愛するためのポイント② よいところ探しをする
きょうだいで比較せず一人ひとり別々に見ることで、よいところもたくさん見えてくるはずです。よいところに気づいたら、言葉にしてその子自身にすぐに伝えましょう。きょうだいでいると叱られることが多かったとしても、お父さん、お母さんと1対1だと優しくしてもらえるとわかれば、愛情を実感することができるでしょう。
きょうだい全員同じように愛するためのポイント③ 自分に置き換える
「自分が親から愛情を注がれていないと感じたらどう思うか?」「えこひいきされているとしたらどんな気持ちになるか?」、自分の気持ちに置き換えて考えてみましょう。悲しいと感じるなら「やめなくちゃいけない」と思い、努力できるはずです。
きょうだい全員同じように愛するためのポイント④ 家族でフォローし合う
夫婦や親など一緒に子育てしている家族がいるなら、お互いにフォローし合いましょう。お父さんがかわいがれないならその分お母さんがフォローするなど、うまく連携できることが望ましいです。もし、お父さんもお母さんも同じ子がかわいがれないという場合も、2人とも同じように接するのではなく、意識してフォローし合うことが大切です。
まとめ
子どもを同じように愛せないことを悩んでいる人は、「同じように愛したい」「愛さなければいけない」という気持ちがある人です。その気持ちを忘れず、愛情を伝える方法を意識して実践してください。自分の感情を否定したり責めたりする必要はありませんが、子どもに愛情の不平等や不公平が伝わらない努力や工夫を重ね、愛情を伝える努力を日々続けましょう。