「トイ・ストーリー4」の新キャラ、フォーキーはどのように生まれたか
この3連休、「トイ・ストーリー4」が、日本でも公開となった。アメリカでは、公開から4回目の週末を迎えた今も、2位に君臨。これからもまだまだ伸びることが期待されるが、今の段階ですでに「アベンジャーズ/エンドゲーム」「キャプテン・マーベル」に次ぐ、今年3番目のヒットとなっている。
今回もまたたくさんのおもちゃが登場するが、中でも個性が際立つのがフォーキーだ。ウッディの持ち主ボニーが、幼稚園の教室で、使い捨ての先割れスプーン、モール、粘土などを使って作ったのが、この素朴な人形。そもそもが教室のゴミ箱の中に捨てられていた素材でできていることから、ゴミ箱を見つけるたびに入りたがり、先輩のウッディを困らせる。そんなフォーキーに、ウッディは、おもちゃであるとはどういうことか、ボニーのためにいてあげることがどんなに大切かを、繰り返し説くことになるのだ。
この斬新なキャラクターが生まれたのは、ジョシュ・クーリー監督と脚本家たちのミーティングの場だった。いつものようにいろいろなアイデアが自由に飛び交う中、わが子の話が出てきたのがきっかけだったらしい。
「クリスマスにプレゼントをあげた時、子供は肝心のおもちゃより先に、それが入っていた箱で遊んだりすることがある。それで僕らは、『もし箱が息吹を持ったらどうなるだろう?』と考えてみた。それが『ボニーが、僕らが見たことのないおもちゃを手作りしたらどうなるか』につながったわけさ。このシリーズももう4本目。これまでにさまざまなことをやってきた。このアイデアはクレイジーだったが、クレイジーすぎて逆に試さずにはいられなかったんだよ。そして、その価値はあった」(クーリー)。
しかし、プラスチックの胴体と短い木の足をもつこのキャラクターを、柔らかな素材でできたウッディと同じようにのびのび動かすわけにはいかない。「制限の多い中で感情表現をさせていくのは、すごく難しかった」と、フォーキーを担当したアニメーターのクラウディオ・デ・オリヴェイラは認める。重さ、バランス、動きなどを知るために彼がまずやったのは、自分で作ってみること。先割れスプーンを見つけるのは思ったより結構大変で、「ピザ屋にわざわざピザを買いに行くことになった」そうだが、スプーンの裏に目をくっつけた瞬間、早くもひらめきを感じた。
「彼が僕の顔を見たとたん、アイデアがどんどん湧いていったんだよ。僕はこれを家で作り、会社に持っていったんだが、後から妻に、娘が、フォーキーがいなくなったと悲しんでいたと聞かされた。あの短い期間に、わが子もフォーキーとのコネクションを築いていたということだよね」(オリヴェイラ)。
フォーキーは飛んだり跳ねたりできるのか、歩く時はどう歩くのか。デスクの上で実際に触りながら、オリヴェイラは工夫を重ねていく。だが、出来上がった動きは、監督の目から見て、ちょっと美しすぎた。「最初の2、3回のテストで、僕は、『フォーキーはこんなにしなやかに動いてはいけない』と、やり直しをお願いしている。ほかのおもちゃと違って手作りなんだから、もっとかっこ悪くないといけないんだ。まばたきをさせるなとも言った。制作過程でアニメーターたちに『もっと下手に見せてくれ』と言うことになるとはと、自分でも笑ったね」(クーリー)。
映画にとっての完璧を目指し、フォーキーと向き合っていく中で、オリヴェイラはますます彼への愛着を深めていった。ハロウィンの仮装までフォーキーにしてしまうほどはまってしまったのは、自分の手で作ったからなのだと気付いたオリヴェイラは、最近の週末、わが子に、「今度は一緒にフォーキーを作ろう」と提案したという。3歳の娘さんが楽しそうにフォーキーを作るビデオを誇らしげに見せてくれながら、オリヴェイラは、「この映画を観た人も、自分で作ってみようかなと思うかもしれないよね」と言った。「自分で作ったフォーキーは、映画で見たのと同じにはならないかもしれない。でも、それは、あなた自身が作ったもの。そのおもちゃで遊ぶ時、あなたはきっと特別な何かを感じるはずだ。僕はそれを経験したし、娘がそれを経験しているのも見たから、わかるよ」(オリヴェイラ)。
これから始まる夏休み、家族みんなでフォーキー作りを楽しんでみてはいかがだろうか。
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