会社員でも確定申告が必要な3つのパターン
今年も確定申告の季節が近づきました。令和元年分の確定申告の相談及び申告の受付は、令和2年2月17日(月)から3月16日(金)までです。
会社員だから確定申告は関係ないと思っている人も多いかもしれません。しかし、会社員でも申告をしなければならないケースがあるのをご存知でしょうか。
実際に、会社員で不動産所得を申告するのを忘れて税務署に指摘されたという話も聞いたことがあります。副業ブームから、会社員でも確定申告の「落とし穴」にハマってしまう可能性があるので、注意が必要なのです。
会社員でも確定申告をしなければいけない代表的な3つのケース
会社員の場合、一般に年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了するので確定申告の必要はありません。会社員でも確定申告が必要になるのは、主に次の3つのケースです。
パターン1:給与の年間収入金額が2000万円を超える人
パターン2:1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得(退職所得)以外の所得の合計額が20万円を超える人
パターン3:2か所以上の給与の支払いを受けている人で、メインの給与以外の給与(収入金額)とその他の所得(給与・退職所得以外)の金額の合計額が20万円を超える人
副業・兼業を行い、20万円を超える副収入がある場合は、企業による年末調整だけではなく、個人による確定申告が必要になります。ちなみに20万円は所得ベースなので必要経費を引いた後の所得になります。
例えば、不動産所得、株の売買で得た利益(譲渡所得)、仮想通貨の所得(雑所得)などがよくあるパターンです。また、会社員だけど著述業をしていて副収入があるというケースだと、一般に雑所得もしくは事業所得となります。
株式の売買も申告不要の口座(源泉徴収される)に入れていないために、一カ所で申告漏れをして呼び出しを受けたという話も身近で聞いたことがあります。
ネットオークションやフリマでの収入は?
ネットオークションやフリマで得た収入も雑所得となる場合もあります。売上から仕入れや経費を除いて得た所得が20万円を超えると申告が必要になるからです。業者のように安く仕入れて高く売るなどの売買をして利益を得ているという人は注意が必要になります。
販売した物が、洋服、家具、食器など自宅にあって使わなくなった物の場合には、生活用動産として所得が20万円を超えても確定申告の必要がない場合もあります。他方で、宝石、貴金属、アートなどの場合で1点が30万円を超えると、経費を引いた後の所得は原則として課税対象となります。
その他、パートの掛け持ちをしているという人も、パターン3に当てはまる場合は確定申告が必要になってきます。例えば、メインの会社で80万円の収入があって、もう一つの会社でも50万円収入があるといったケースなど。サブの会社の収入が少ない場合も、その他の所得(例えば、不動産所得など)を合わせると20万円以上になる場合は申告がいります。パートだからと言って済まない場合も出てくるのです。
仮想通貨取引は雑所得
仮想通貨での取引には税金がかからないと勘違いしている人も多いようです。仮想通貨の取引で得た利益は雑所得に分類され、会社員で利益が20万円を超える場合は確定申告の必要があります。
雑所得は総合課税の対象で、給与所得などほかの収入と合算した額に応じて税率が決まります。所得税は収入に応じて課税率が上がっていく累進課税で最高税率は45%です。利益が多額となれば、累進課税によって所得税の税率は最大45%までアップして、住民税10%と合計して最大55%になるからです。仮想通貨の取引は業者を通じて行うので国税がデータを入手することも容易なので申告漏れのないようにしましょう。
例年、確定申告シーズンには各地で確定申告の相談会が開催されます。分からないことがあれば税務署職員や相談員に質問をして申告をするようにしましょう。
関連記事