会社員も納め過ぎた税金を取り戻せる、還付申告とは
還付申告とは、確定申告書をする義務のない人が、 申告をすることによって、納め過ぎた所得税の還付を受けることができる制度です。
源泉徴収で事前に納付した所得税が、実際の所得税額よりも多いときは、還付申告をすることで税金を還付してもらえる場合もあります。還付申告をする主なケースは、以下のようなケースです。
医療費控除
1月1日から12月31日までの1年間で医療費にかかった合計金額が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超える場合に医療費控除を申告できます。お財布を1つにしている家族の分もまとめることができます。
医療機関に支払った診療費や病気やケガの治療薬代などの領収書を集め、通院にかかった交通費(公共機関の交通費やタクシー代)なども控除の対象になるために交通費を家計簿などに控えておきましょう。
寄付金控除
国や地方自治体などに対して寄付金を支払ったときには、所得控除を受けることができます。控除額は「寄附金(その年の総所得金額の40%を限度)-2000円」です。なかでも、都道府県・市町村に対する寄付金(ふるさと納税)は住民税の「特例控除」があり、さらに税金の軽減が大きくなります。所得税・住民税の範囲内であれば概ね2000円を超えた納税金額は戻ってくるイメージです。
寄付した団体などから交付された寄付金の受領書などを確定申告の際に提出する必要があるために保管しておきましょう。
雑損控除
災害や盗難などで資産に損害を受けたとき、所得控除を受けることができます。控除額は「損失額−所得の10%」なので給与所得200万円の人が、現金30万円を落とした場合10万円の雑損控除を受けることができます。ちなみに、災害の場合は5万円超で控除を受けることができます。
給与所得者で通勤費や転居費や研修費など会社の経費にならずに一定の要件を満たした場合に受けることができます。
特定支出の合計額が給与所得控除額の1/2を超えれば対象になります。
特定支出控除の対象は通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費の6種類です。
「特定支出控除」の対象となる支出
通勤費 通勤のために必要な交通機関の利用等のための支出
転居費 転勤に伴う転居のための支出
研修費 職務の遂行に直接必要な知識等を習得するための研修に要する支出
資格取得費 資格を取得するための支出でその者の職務に直接必要なもの。2013年分以降は、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も対象
帰宅旅費 単身赴任などの場合で、勤務場所と配偶者が居住する場所との間の旅費に要する支出
勤務必要経費(上限65万円) 職務に関連する書籍などの図書費、勤務場所において着用することが必要とされる衣服費、得意先との接待などの交際費等
令和2年以降は、勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅行で給与の支払者により証明された通常必要な支出(職務上の旅費)も特定支出になります。
※特定支出のうち、会社から支給される分があり、かつ、その部分に所得税が課されない場合は、特定支出に含めることはできない
注意点として、いずれも会社が証明した支出に限られます。また、確定申告の際に、業務に関する経費であるという会社の証明書や支出を証明する領収書などが必要になります。
通勤手当のように、会社から支給があり、支給されている部分が非課税の場合は、特定支出に含めることはできません。細かいところは勤務先の担当部署や管轄の税務署などに確認をしてみてください。
この他にも、住宅ローン控除を初めて受ける人や年の途中で退職をして年末調整を受けずに源泉所得税が納めすぎになっている人なども申告をすることで税金が戻る可能性もあります。
還付申告の場合は翌年の1月1日から5年間行うことができます。確定申告義務のある人は確定申告の期間中(2月17日から3月16日)に行う必要があります。
関連記事