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13年目のベテランが記録した、2つの「キャリア初」。6829打席目と6830打席目

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ) Apr 11, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メジャーリーグ13年目のジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)が、立て続けに2つの「キャリア初」を記録した。

 4月17日、ボトーは3打数0安打(1四球)に終わり、最後の打席ではポップ・フライを打ち上げた。この打球は、一塁手がファウル・エリアで捕った。ボトーがポップ・フライを打つことは、極めて珍しい。MLB.comのアンドルー・サイモンによると、ポップ・フライは4456打球の2%、6829打席の1.3%しかなく、これが89本目だという。それまでの88本のなかに、フェアかファウルかを問わず、一塁手に捕球されたポップ・フライはなかった。

 ファングラフスのデータ(2002年以降)も、ボトーが打ったフライ全体に占める内野フライの割合を1.1%としている。これは、1500打席以上では誰よりも低い。ボトーに次ぐライアン・ハワードは1.6%だ。この時点で270本のホームランを記録していることからもわかるように、ボトーはフライ自体が少ないグラウンドボール・ヒッターではない。

 その翌日、ボトーは1回表にホームランを打った。6829打席目に初めて打った一塁フライに続き、こちらはキャリア初の先頭打者ホームランだ。先発出場1552試合のうち、リードオフを務めるのは、前々日が11年ぶり2試合目、前日が3試合目、この日は4試合目だ。4度目の機会で初の先頭打者ホームランは、決して遅くない。

 ただ、前の打席の一塁フライとは、どちらもキャリア初ながら、鮮やかな対比となった。まだ開幕から1ヵ月足らずとはいえ、過去10シーズンで最も出塁率が低かった2014年でも.390を記録し、他の9シーズンは.410を超えていたことからすると、今シーズンのボトーは低調だ。4月18日時点の出塁率は.319に過ぎない。年齢は35歳。このまま調子が上がらなければ、初の一塁フライも――現時点ではデビューから6828打席も打っていなかったことが驚嘆&称賛されているものの――衰えの始まりと看做されかねない。

 そうなることを拒むかのようなホームランが、復調の狼煙となるかどうかは、まだわからない。続く3打席はヒットも四球もなかった。もっとも、そこにポップ・フライは含まれていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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