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本塁打王2人がワールドシリーズでホームランを打ち合ったことはあるのか。今年はジャッジと大谷が!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホアン・ソト(左)とアーロン・ジャッジ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースとロサンゼルス・ドジャースは、両チームとも、ワールドシリーズ進出まで、あと1勝に迫っている。

 ヤンキースは、10月18日の白星により、クリーブランド・ガーディアンズとのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズを3勝1敗とした。ドジャースは、同じ日に敗れたものの、3勝2敗なので、ニューヨーク・メッツより優位に立っている。

 ヤンキースとドジャースは、どちらも、今シーズンの本塁打王を擁する。58本塁打のアーロン・ジャッジと54本塁打の大谷翔平だ。彼らは、それぞれのリーグ2位に10本以上の差をつけた。

 昨年のワールドシリーズは、テキサス・レンジャーズとアリゾナ・ダイヤモンドバックスが対戦した。昨シーズンの本塁打王は、44本塁打の大谷(当時ロサンゼルス・エンジェルス)と54本塁打のマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)が獲得した。

 2022年の本塁打王、62本塁打のジャッジと46本塁打のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、2人とも、チームがポストシーズンに進み、シュワーバーはワールドシリーズに出場した。だが、ジャッジがプレーしたのは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズまでだ。ヤンキースは、そこで、ヒューストン・アストロズにスウィープされた。

 いずれも、その年の本塁打王を擁するチームが対戦したワールドシリーズは、見落としがなければ、5度しかない。

筆者作成
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 この5シリーズとも、地区制がスタートする前だ。レギュラーシーズンに続く、他のシリーズはなく、その次はワールドシリーズだった。

 ヤンキース対ナ・リーグのチームという点も、共通する。1928年を除く4シリーズは、ニューヨークの2チームが対戦した。1921年、1936年、1937年は、ヤンキース対ニューヨーク・ジャイアンツ。1956年は、ヤンキース対ブルックリン・ドジャースだ。

 いずれも、ヤンキースの本塁打王のほうが本数は多く、1921年以外は、ヤンキースがワールドシリーズ優勝を飾っている。1921年のシリーズは、ベーブ・ルースが第2戦に左腕を負傷した。最後の3試合、第6~8戦の出場は、代打の1打席にとどまった。

 5シリーズ中、本塁打王の2人が同じ試合でホームランを打ち合ったのは、1937年の第5戦だけ。ヤンキースは、3回表にジョー・ディマジオのホームランで1対0から2対0とした。その裏、ニューヨーク・ジャイアンツは、メル・オットのホームランにより、同点に追いついた。その後、ヤンキースは、5回表に2得点。4対2のまま、逃げ切った。

 ちなみに、この5シリーズに出場した計8人の本塁打王――ルースとオットは2シリーズずつ――のうち、半数の4人は、ワールドシリーズ通算本塁打のトップ5にランクインしている。18本塁打のミッキー・マントルが1位、15本塁打のルースが2位、11本塁打のデューク・スナイダーが4位、10本塁打のルー・ゲーリッグは5位タイだ。3位は、12本塁打のヨギ・ベラ。ゲーリッグは、レジー・ジャクソンと並んでいる。現役最多は、7本塁打のジョージ・スプリンガー(トロント・ブルージェイズ)だ。すべて、ヒューストン・アストロズ時代の2017年(5本)と2019年(2本)に打った。

 なお、ジャッジと大谷は、今年のポストシーズンで、ここまでに2本塁打と3本塁打を記録している。ポストシーズン初出場の大谷だけでなく、ジャッジも、ワールドシリーズはまだ未出場だ。ヤンキースは、2009年を最後にワールドシリーズから遠ざかっている。

 ワールドシリーズのマッチアップについては、こちらで書いた。

「ワールドシリーズの対戦は4通り。ヤンキース対ドジャース、ヤンキース対メッツ、ガーディアンズ対…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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