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サッカー五輪代表 ブラジルで声を枯らす同世代サポーターの肖像

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
試合前に円陣を組む選手たちを見つめる同世代のサポーターたち(撮影者:齋藤鉄平)

4年に1度のオリンピックにおける男子サッカー競技は、23歳以下という年齢制限が設けられている。同じく4年に1度行われるワールドカップとの差別化をはかるためだ。

選手と同じように、サッカー五輪日本代表の応援を先導するサポーターも、23歳以下の世代が中心となって構成されている。

その世代ではないが、私もサポーターとしてブラジルに入っている。現地でともに応援していて感じるのは、五輪代表に選ばれた選手たちと同じ世代で結束して応援するからこそ生まれるまとまりだ。同世代の選手とサポーターの一体感が手倉森ジャパンを作り上げていると言っても過言ではない。

サポーターにとっても集大成

当然、現地まで来ている日本代表サポーターは老若男女さまざまだ。しかし、その中でも応援を積極的にリードするグループに、五輪代表メンバーと同級生の学生(もしくは社会人1年目)が多いことは、意外と知られていない。

30代、40代の百戦錬磨のサポーターたちも、U-23日本代表の応援に限っては彼ら若手にコールをリードする役目を譲るしきたりがあるのだ。前回のロンドン五輪でも清武選手らと同世代のサポーターが応援の中心を担っていた。

同じリオ五輪世代のサポーターたちは、4年前にUAEで開催されたAFC U-19選手権の頃から現地に参戦し、2014年のアジア大会、今年のAFC U-23選手権と年齢を重ねる同世代の選手たちとともに海外での経験を積んできた。

彼らはもともとFC東京、湘南、広島、C大阪、栃木など、地域もカテゴリーもバラバラなJリーグの若手サポーターたちだ。普段はライバルチームのサポーターだが、海外アウェイでの厳しい戦いをともに戦い抜き、結束を深めてきた。

その集大成がリオ五輪というわけだ。

世代別の日本代表はU-23まで。少年の頃から同世代の日本選抜としてしのぎを削ってきた選手たちは、このオリンピックが終われば解散となり、残るはフル代表のみとなる。

その境遇はサポーターにとっても同じだ。選手たちと運命共同体としてアジア、世界を舞台に戦ってきた若手サポーターにとって、U-23世代で一致団結して戦えるのもこのブラジルの地が最後となる。

五輪代表のコールリーダー「ひとつでも多く試合がしたい」

このリオ五輪世代を4年前からずっと追いかけ続けてきたコールリーダーにブラジルで話が聞けた。

コールリーダーと言えば、血気盛んなイメージを持つかもしれないが、非常に謙虚で礼儀正しい素顔を持つ22歳の彼は、冷静に過去の試合を分析し、今の想いを語ってくれた。

「第2戦のコロンビア戦では、2-2に追い付いた終盤にスタジアム全体から自然とジャポンコールが巻き起こった。ブラジル人には親日家が多いので、ひとりでも多く日本の応援に巻き込みたい。ここまで来たからには、ひとつでも多く試合がしたい。ここ、サルヴァドールで絶対に終わらせない――」

落ち着いた口調の中でも、まさに「背水の陣」に対する決意が節々に感じられた。

「日の丸ハチマキ大作戦」でホームの雰囲気に

僕ら世代が違うサポーターも、若手がリードする応援に少しでも貢献するために、日の丸ハチマキ合計1,000本を日本で購入し、現地入りするサポーターで分担してブラジルに持ち込んだ。

日本代表サポーターが陣取る席の近くにいるブラジル人に無料で配って、日本の応援に巻き込むことで、少しでもスタジアムをホームの雰囲気にするための作戦だ。

日の丸ハチマキを巻いて意気揚々なブラジル人(撮影者:村上アシシ)
日の丸ハチマキを巻いて意気揚々なブラジル人(撮影者:村上アシシ)

この作戦は2013年にブラジルで開催されたコンフェデレーションズカップ、2014年のブラジルワールドカップと継続して行っているが、ブラジル人には大好評だ。

U-23日本代表は、日本時間で8月11日朝7時からグループステージ第3戦スウェーデン戦に挑む。ここサルヴァドールで終焉を迎えるか、準々決勝の開催地サンパウロに望みを繋げるか――。

同時刻に行われるナイジェリア対コロンビアの結果次第だが、日本がスウェーデンに勝利すれば決勝トーナメント進出の可能性が高まる大一番だ。

人生を賭して手倉森ジャパンと歩み、決戦の地・ブラジルまで乗り込んできた若者たちの応援にもぜひ注目して試合を見てほしい。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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