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【札幌市中央区】このオムライスは衝撃的だった!「北菓楼 札幌本館」

ゆべーる地域クリエイター(札幌市)

抜群においしいオムライス!

今回はあるものが食べたくて、「北菓楼 札幌本館」に行ってきました。

あるもの、とはその名も「北菓楼自慢のオムライス」(1,100円 税込)です。

実は今月頭にも一度行ってみたのですが、大人気のオムライスは早々に完売していました。

しかし私の周りの、このオムライスを食べたことのある数人は「あれは本当に美味しかった!」と口をそろえて私に言います。

そう言われると、やはりどうしても食べてみたくなり、今回は2階のカフェの開店と同時に行き、無事に食べることができました。

オムライスの卵の焼き方は「両面をしっかり焼いたもの」「半熟焼きなもの」のどちらかを選べるというこだわりよう。今回、私は「半熟」をオーダーしました。

やって来ました!バックの書棚とのコントラストが美しい。白に映える黄色。ケチャップをかけると、さらに美味しそう。

いただきます。あ、これは確かに抜群の美味しさ!

卵のコクに、バターの濃厚な風味がしっかり溶けていて、口の中で香ります。ケチャップにも何か特別な工夫があるようですよ。さわやかな酸味のアクセントが効いています。

それを受けとめるライスの側には、キノコやアクセント野菜の風味がしっかりとなじんでいますが、これもどうやら使っているお米に秘密がありそうです。しっかりした醤油味のライスは半熟の卵と見事に絡み合いますが、食べ応えある食感はきっちりと残っています。そして国産ビーフとキノコが本当に噛めば噛むほど濃厚でとても美味しいのです。

なるほど、これは絶対また食べたくなる味です。リピート確定。

このカフェの「いちごパフェ」も札幌最強パフェのひとつ。

そして、「いちごパフェ」(917円 税込)も食後にオーダー。オムライスとパフェを食べるために前日の食事を軽くしていたので完食できました。

その到着を待っている間、隣のテーブルのお友達同士と思われるお二人が、「北海道では北菓楼のソフトクリームが一番美味しいかもしれない」と話しているのが聞こえました。私も少なくともベストなソフトクリームのひとつであると思っています。口当たりが本当になめらかでミルクの味がストレートに活かされた傑作です。

このパフェでは、その北菓楼のソフトクリーム同様に高品質なアイスクリームと生クリーム、そこにシリアルやシフォンがマッチしていて満足度がとても高いと感じました。

良質なミルクベースのアイスクリームと、そのミルクの濃厚で甘い脂肪分から作った生クリームをきっちり絡ませることで、そのふたつのクリームが渾然一体となったコクを楽しめるのです。

ベリーはストロベリー、ラズベリー、ブルーベリーの3種類です。軽く凍っている程度なので、硬さや気になる冷たさはなく、それぞれのベリーの生に近い感触と、凝縮された果実本来の味を強く感じ取ることができました。そしていちごピューレが良いつなぎをしています。

最近食べたパフェの中では最強です。しかも素晴らしい素材を丹念に使って余計なテイストをつけていないので、ミルキーだけどあっさり、意外と簡単に完食できました!

ホタテ・カレーも、美味しかった!

先日食べた「北海道産ホタテ・カレー」(1,223円 税込)も美味しかったです。

ホタテや野菜の甘さと、スパイスのアンサンブルが効いて、素材のごろごろした充実感が嬉しいものでした。

同行の通訳ガイド仲間が頼んだ「野付のホタテのスパゲティ」(1,100円 税込)も美味しそうでしたが、これは私は食べていないので、また食べに来なくては。

札幌の歴史を見つめてきた建物。

さてお腹も満たされたところで、この貴重な建物の歴史にも少し触れてみたいですね。

2階のカフェの奥の小さな別室「メモリアルルーム」には、この建物をめぐる歴史や当時の札幌の資料が展示されています。これは結構貴重なものがいくつかありました。また、三岸好太郎の美術館だった時代もありますので、その代表作のひとつ「オーケストラ」の写真もありました。ちょうどフランスのフォービズムと呼応するかのような、素敵な作品だなと思いました。

ちなみに1階には3か月ごとに三岸好太郎の作品が架け替えられる「ミギシ・サテライト」という展示がありますので、こちらもぜひお見逃しなく。

セセッションという名の、誘惑。

この「北菓楼 札幌本館」は、北海道庁立図書館として1926年に開館しました。札幌市の中心である北1条通りに面した南正面には、セセッション様式を取り入れ、ジャイアントオーダー(複数階の高さにまたがる柱)や、エントランスの階段などに大きな特徴があります。

セセッションとは「分離派」という意味です。アートの伝統が柔軟に変化してきたフランスとは違い保守的な考えが強かったウィーンにおいて、思い切って伝統を離れるために、かなり意識的に幾何学的でモダンなデザインなどを採用したものです。

日本におけるセセッション建築の代表例の一つが、現在は北菓楼札幌本館となっている、この旧北海道庁立図書館の建物なのです。

北海道でこの様式を採用したということには、新しい時代を切り開くシンボルたらんとした、当時の意気込みを感じます。図書館として1967年まで活躍した後、道立美術館、道立三岸好太郎美術館、道立文書館別館などを経て、2016年に安藤忠雄氏のデザインにより、北一条通り側と西側の外壁と旧玄関ホールは当時のままに残しながらも、建物本体は新築するという特殊な工事が行われました。その結果、3層にわたる吹き抜けの開放的な空間の建物となりました。

カフェはまるで空中に浮遊しているような2階にあり、天まで届かんばかりの本棚を見ながら落ち着いた時間を過ごすことができます。

札幌の歴史を見つめてきた巨木も、あった。

絵/ゆべーる
絵/ゆべーる

かつてこの建物の前には、それはそれは大きな「チャチャニレ」という樹齢500年と言われる巨大なハルニレの木が立っていました。1935年の写真を見ますと、旧図書館(現在の北菓楼 札幌本館)の建物よりもかなり背丈が高い巨木だったということがわかります。1956年には観光協会によって、おじいさんニレの木という意味で「チャチャニレ」と名付けられましたが、天寿を全うして1967年に静かに息を引き取りました。

私は残念ながらこの木を撮影することができないので、昔の写真からイラストを書き起こしてみました。こんなに大きかったのですね!

その後を継ぐように現在、店の前には樹齢150年のハリギリの木が引き続き立っています。

この木は、この通りが北海道神宮の表参道であることを象徴するように、札幌の市街地の創建当時からあります。

「炭鉄港」にもつながる歴史。

北菓楼のルーツをたどっていくと、砂川周辺の炭鉱産業に従事する人を支えた水あめやせんべいなどを販売する店に行き着きます。

やがて炭鉱産業の衰退に伴い、フレンチの技法や北海道の素材と対話しながら大きくなってきたようです。日本遺産「炭鉄港」のガイドとしては、このストーリーにはとても興味があります。

色々重なる札幌や北海道の歴史を感じながら、両面しっかり焼きのオムライスを今度は食べてみたいと思います。野付ホタテのスパゲティと共に!

北菓楼 札幌本館

住所:札幌市中央区北1条西5-1-2

電話番号:0800-500-0318

営業時間

1F 店舗:10:00~18:00

2F カフェ:11:00~17:00(ラストオーダー 16:30)

※お食事は11:00~14:00  ※デザート、ドリンクは11:00~17:00

定休日:なし(元旦をのぞく)

公式サイトは、こちら。 

地域クリエイター(札幌市)

通訳案内士(全国&札幌)、そしてライターや日本遺産炭鉄港、日本遺産候補小樽、サッポロコンシェルジュのガイドとして、いつも札幌市内の出来事やおすすめ情報を探しに歩いてます。最近、少し鉄気味。交通ネタや都市インフラに興味が行きつつあります。サイダー(シードル)大好き。ホルン(フランス式ピストン)とテナーホーン吹き。

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