46億年前の銀河を撮影したNASAジェームズウェッブ宇宙望遠鏡、太陽系外惑星に生命の兆候を探索中
本記事では、史上最大の宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ」をご紹介します。46億年前の銀河団の撮影や、大量の太陽系外惑星の発見など、多くの成果を挙げている宇宙望遠鏡に迫ります。
■宇宙天文学を支えたハッブル宇宙望遠鏡
まず、宇宙望遠鏡として最大の「ハッブル宇宙望遠鏡」は、1990年にスペースシャトル・ディスカバリーによって地球低軌道に打ち上げられました。ハッブルの使命は、時をさかのぼり宇宙の秘密を解明することが目的です。しかし、完ぺきな精度で作られたはずの集光ミラーに不具合が発生しており、3年後にスペースシャトルが直接ハッブルの修理に向かったのです。その後、ハッブルは世界クラスの革新的な観測結果を送るようになり、壮大な画像に多くの地球人が魅了されました。しかし、そんなハッブルも設計寿命15年に対し、既に30才を超えています。
■新型のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が2021年に打ち上げ
そして、2021年にはNASAが開発したジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられました。元々は2007年に打ち上げられる計画でしたが、開発の遅れやトラブルなどがありましたが、打ち上げに成功します。
ジェームズ・ウェッブは、六角形のベリリウム製セグメントの鏡を18枚組み合わせた直径6.5mの主鏡を持ち、赤外線の波長で天体を観測する宇宙望遠鏡です。ハッブルの主鏡の口径は2.4mですので、いかにジェームズウェッブが巨大かということが良くわかりますね。ちなみに、ジェームズ・ウェッブの主鏡の下には、太陽光を遮断するための幅11m、長さ19mのサンシールドも搭載されています。NASAではジェームズウェッブを「オリガミ望遠鏡」とも呼んでいるようです。
■宇宙誕生直後の世界を見ることができる驚異の性能
ジェームズ・ウェッブはハッブルの後継として知られているものの、仕様的には低周波観測、特に中間赤外線での観測に重点をおいたことで、ハッブルでは発見できなかった宇宙誕生からわずか2億年後の光を集めることができます。
宇宙誕生2億年といえば、初期の恒星や銀河が形つくられつつあった時代です。ビッグバンから約2億年後に輝き始めたとされる宇宙第1世代の恒星である「ファーストスター」や、最初の世代の銀河、太陽系内の惑星・衛星や太陽系外惑星などの観測を通して、宇宙の未解決の謎を解く鍵を得ることがジェームズ・ウェッブには期待されています。
膨張する宇宙では、何10億光年の距離を伝播するうちに光の波長が伸び、可視光はやがて見える範囲から外れて赤外線になります。その赤外線を捕らえることができるジェームズ・ウェッブは、史上最強のタイムマシンになれるのです。ドラえもんもビックリですね。
ちなみに、ジェームズ・ウェッブという名前の由来は、アポロ計画で重要な役割を果たしたNASAの長官にちなんで名付けられています。
■私たちが住む太陽系がどのように形成されたのかの謎に迫る
そして、更に期待されているのは原始惑星系円盤の観測です。原始惑星系円盤とは、若い恒星の周りに存在するチリやガスの円盤です。惑星はこの原始惑星系円盤のなかで数百万年をかけてつくられます。そして、特に太陽の周りに存在した原始惑星系円盤を原始太陽系円盤といいます。
私達の太陽系がどのようにして形成されたのかについては、まだよく解っていないことも多く、他の恒星の原始惑星系円盤について理解を深めることは、私達の太陽系がどのようにして形成されたのか、その謎を解明していくために、とても重要なのです。
この観測によって円盤のこの部分に含まれる「水、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、アンモニア」などの量を算定することが期待できるといいます。原始惑星系円盤の内側は、太陽系なら、私達の地球などの岩石惑星が形成された領域です。この領域について詳しく解明されていくことは、私たちが何者であるかを解明する重要な研究になるんですね。なお、研究チームではこのような特に水などの観測によって、生命が存在しうるハビタブルゾーンについての理解を深めることにもつながると考えられています。
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