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台湾・花蓮沖で大地震 日本のSNSに「今こそ恩返しを」「台湾加油!」など励ましの投稿が相次ぐ

中島恵ジャーナリスト
(提供:Haote Zhang/ロイター/アフロ)

4月3日、午前7時58分(現地時間)、台湾の東部、花蓮沖を震源とするM7.2、震度6強の地震が発生した。4日午前の時点で花蓮県などで9人が死亡、1000人以上が負傷、建物の倒壊、山の崩落、落石などが発生する事態となっている。

花蓮の有名な景勝地、タロコ(太魯閣)国家公園や鉱山、ビルなどに閉じ込められている人が多数いるとみられ、まだ全容は明らかになっていない。日本のSNSでは、「台湾加油」(台湾がんばれ)、「天祐台湾」(台湾にご加護を)などの励ましと祈りの言葉が相次いで投稿されており、改めて日台の深い絆を感じさせられる。

地震が起きるたびに支援し合ってきた

台湾はこれまでも何度も大地震に見舞われてきた。1999年9月に発生した台湾大地震の際は、2400人以上の死者が出る大惨事となった。しかし、このときから日台の絆は深まったといえる。

日本政府は地震が発生したその日に、国際緊急援助隊を現地に派遣。支援規模は110人で、各国に先駆けて、最初に現地入りした。このことが台湾の人々を感動させ、深く感謝された。

それから、支援の交流が始まった。2011年、東日本大震災が発生した際、台湾では、政府はもちろん、一般の人々がコンビニなどに募金箱をもうけて寄付を募った。幼い子どもも、高齢者も、お小遣いの中から少しずつ寄付をしてくれた。その金額は約250億円に上り、米国に次いで2番目の多さだった。台湾の人口はわずか2300万人であることを考えると、驚異的な金額だ。

当時、筆者は何かのメディアで、中国に遠慮する日本から台湾への感謝が足りないのでは、という報道を読んだ記憶があるが、台湾の人々は「私たちは身内のような関係。親戚にわざわざお礼は要らないよ」と応え、その台湾人の温かい気持ちに涙が出たことがあった。

今こそ恩返しするとき

以来、震災のたびに双方は、どこよりも早く支援し合うという交流を続けてきた。

2016年2月に台湾南部で地震が発生したとき、日本政府は台湾赤十字に1億円以上の支援を発表。その2カ月後の2016年4月に熊本県で地震が発生した際は、台湾政府も6000万円以上の支援を申し出た。当初、馬英九総統(当時)が発表した支援金は1000万円ほどだったが、市民からの「少なすぎる」との不満の声が出て、増額されたという経緯もあった。

今年1月、能登半島地震が発生した際も、発生から約2週間という短期間で、台湾の人々から約25億円という寄付が寄せられた。そうした縁もあり、東北地方、石川県、熊本県などの人々も台湾の震災を心配している。熊本県には今年、台湾の半導体受託生産最大手、TSMCの工場が完成、2月に開所式が行われたばかりというつながりもある。

岸田文雄首相は今回の地震に対し「心からお見舞いを申し上げるとともに、要請に応じて、台湾に対し、早急に支援を行う」と発表した。

日本のX(旧ツイッター)などのSNSには「台湾加油」(台湾がんばれ)、「今こそ台湾に恩返しをするとき」「台湾大丈夫」などの言葉が飛び交っている。台湾には在留邦人が約2万人住んでおり、彼らもSNSで現地情報を発信している。

台湾の蔡英文総統もSNSに「日本の方々が台湾を応援するメッセージを書き込んでいるのを目にし、改めて台湾と日本の友好を感じた」と日本語で投稿した。今こそ、政府の動きとは別に、日本人一人ひとりもできることを、支援の手を差し伸べるべきときだろう。

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ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP新書)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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