【子育て思春期親子関係】子どもが心の傷を返しにくる「トラウマ返し」を受けとった時
こんにちは、保健師・料理研究家の茨木くみ子です。
今日は「思春期の親子関係」をテーマに書かせていただきます。
我が家には娘が二人います。
一人は就職し独立。もう一人も高校三年生になります。
よく皆様から「保健師さんだから子育てや育児はお手の物ですね」と言われることが多いのですが、わたしは子育てはあまり上手にできませんでした。
赤ちゃんの沐浴や新生児のお世話はうまくできましたが
その反面、頭でっかちの知識に押しつぶされ、不安を増長させ、「愛着形成の大切な時期」と泣かせられず疲労困憊し、しまいには育児ノイローゼに。
たくさんたくさん、保育園の先生や両親に助けてもらいました。
「人生、無駄な経験はひとつもない」とはよく言ったものですが
そんな経験も今、保健師として「子育て相談」で大いに役立っているところです。
トラウマ返しはいつも突然投げられる
さて先日、家族でごはんを食べながらニュースを見ていた時のこと
テレビの話題は「夏休みの自由研究」でした。
わたしは、「子どもが大きくなると、宿題の心配をしなくすむので助かるなあ」
とまるで他人事のような顔をしてテレビを見ていました。
すると高校生の次女が突然
子どものころに受けた読書感想文の指導がつらかったこと
その体験がトラウマとなって文章を書くことがしばらくできなかったこと。
トラウマを乗り越えることに大変苦労したことを話し始めました。
確かに、わたしは娘の原稿用紙を赤色のボールペンで直し、新しい原稿用紙に書き直してもらい、また私が直す。これを三回くらい繰り返しました。
ふと気づくと小学生の娘の目には涙がたくさんあふれていました。
「本当、ごめんね・・・・・悪かった・・・・」
あの時のわたしは親としてただ当たり前のことをしただけのつもりになっていました。
次女は今、文芸部の部長で、今風にいうと「文字書きさん」。
大人顔負けの短編小説を書き、語彙力も高い。
「この漢字なんて読むの?」「この言葉どういう意味?」と私が彼女に教えてもらうことのほど。
「トラウマ返しはいつも突然」忘れたころに来ます。
突然投げられるトラウマ返しを、わたしは「冷静に受け取れたことはありません。
「何言ってんの、私が読書感想文の書き方をしっかり教えたから、今があるんじゃない?」
「トラウマにさせたくてそんなことしたんじゃないわよ」などなど
大抵そんな言い訳をしてしまう私です。
「トラウマ返し」とは
小野修先生は本の中で「トラウマ返し」のことを
「子どもが命をはって人生をかけて送ってくるメッセージ」で
「親や教師に傷つけられてきた子どもたちが、大人になって、その傷を返しにくる。そして
傷ついた思い出を列挙し問題点を非難・攻撃してくること」と言っています。
子はトラウマ返しを大人がキャッチして受け取ることで、元気に自分の人生を歩むことができるとのこと。
もしかして、自身の摂食障害の原因もこの辺りにもあったのかもしれません。
返しきれなかった自身のトラウマ
私も高校から大学生のころ、親にトラウマ返しを何度か試みました。
わたしは次女よりもっときつい言葉を親に投げました。
(次女はいつもかなりオブラートに包んでくれています)
母はとても傷ついたことでしょう。
「親になんてこと言うの」「あなたのため思って言ってあげたことよ」
「親に対する感謝が足りないからそんなことが言える」と
毎回、母と大喧嘩をしました。
そのたびに、わたしは親に気持ちを伝えたことを後悔したものでした。
最後は
「もうそんなに責めないでよ、どうしてあげたらいいかわからない」と母が泣きだし、終結。
私はトラウマを受け取ってくれる人を失ったまま
「自分で何とかするのが大人」と自身のトラウマ返しは終わりました。
あの時のわたしのイラついた感情の奥底にはどんな気持ちがあったのか・・・・
多分
小さかったころ感じた悲しさ、絶望感を「知って」欲しかった。
傷ついていたことを「理解して」ほしかった。
私を傷つけた言葉は本心ではなかったと「謝って」ほしかったのだと思います。
やっと理解できた母の気持ち
あの頃の母の気持ちを想像することはできませんでしたが、
今、自分も年頃の子をもつ親になり、やっと想像ができるようになりました。
母はさぞ、もやもやした気持ちだったでしょう。
そして母の発した言葉は、母自身が親に言われた言葉だったのではないかと思いました。
トラウマ返しの受け取り方
トラウマ返しの受け取り方は、是非、本を読んでいただきたいのですが
「反論しない」「話を聞き切る」「受け取る」「必要なら謝罪する」が大切なポイントになります。
理屈は頭で理解できていても、トラウマ返しは、いつも突然来るので
わたしは毎回受け取り方を失敗しています。
それでもトラウマ返しの意味が理解できると、進歩もあり
最近は「反論しない」は少しできるようになりました。
しかし心の中で、もやもやする気持ちは、確実に娘に伝わっていることでしょう。
今回も最後まで「話を聞き切る」ことはできていたのでしょうか、冷静さを失っていて覚えていないありさまでした。
今回は「そうだ一度ちゃんと謝罪しよう。反省の気持ちがあることを伝えたい」と思いました。
一段落して娘の部屋に行き
小さかったころの娘の心を傷つけトラウマにさせてしまったことを詫びました。
詫びながら
幼い娘が、必死に涙をこらえる顔を思い出し、自分の指導が、娘のガラスの心にナイフを突き刺すようなことだったかと落胆し
「ダメ出しせずに、のびのび書かせてあげたらよかったのに」と後悔しました。
「トラウマ返し」を受け取ることは自身を癒すきっかけに
今回わたしはこの記事を書くことで、少し心の中を整理することができました。
そして
子と親の双方の気持ちが理解できるようになった今なら
子のトラウマをちゃんと受け取ることができるように感じています。
そしてそのことが自身のトラウマの癒しにもつながるように感じています。
今回は子供のころのトラウマを抱えて生きずらい思いをする人が、少なくなることを願ってこのテーマで記事を書かせていただきました。
さて、今回この記事を書くにあたり娘に相談したところ
「どうぞ!いいよ!」と快く了承をいただきました。
もし、娘がこの記事を読むことがあれば、
「こんな不器用な母ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。」
最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも保健師・ノンオイル料理研究家として健康情報や身体に優しいノンオイルレシピや食べ方などをご紹介していきますのでどうぞよろしくお願いします。
茨木くみ子