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メジャーリーグでも日本プロ野球でも「シーズン30本塁打以上」は、ボブ・ホーナーと松井秀喜と…

宇根夏樹ベースボール・ライター
松井秀喜 July 7, 2004(写真:ロイター/アフロ)

 松井秀喜は、1996年から2002年まで、読売ジャイアンツで7シーズン続けて30本以上のホームランを打った。そして、ニューヨーク・ヤンキースでも、2004年に31本塁打を記録した。

 日本プロ野球とメジャーリーグの両方でシーズン30本塁打以上は、松井が初めてではないものの、その人数は多くない。見落としがなければ、松井を含め、5人しかいない。

 彼らが30本以上のホームランを打ったシーズンは、それぞれ、以下のとおり。

筆者作成
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 ディック・スチュアートボブ・ホーナーラリー・パリッシュのシーズン30本塁打以上は、メジャーリーグが先だ。一方、セシル・フィルダーと松井は、3人とは順序が逆。フィルダーが阪神タイガースに入団したのは、1985~88年にトロント・ブルージェイズでプレーした後だが、その時点のメジャーリーグ通算本塁打は、出場220試合で31本。4シーズン中、1987年の14本塁打が最も多かった。

 松井以外の4人は、日本プロ野球の1年目に、30本以上のホームランを打った。ホーナーとフィルダーは、そのオフに退団し、メジャーリーグへ戻った。スチュアートとパリッシュは、翌年も日本プロ野球でプレーしたが、30本塁打には届かなかった。1968年のスチュアートは、83試合で16本塁打に終わった。

 ただ、1989年に本塁打王を獲得したパリッシュは、そのオフ、フィルダーが退団した阪神に入団し、1990年もパワーを発揮した。膝の状態が悪化し、9月を迎える前に引退したものの、8月18日に最後のホームランを打った時点では、30本塁打まであと2本に迫っていたのみならず、セ・リーグ本塁打ランキングのトップに立っていた。

 ちなみに、パリッシュを追い抜いた3人は、落合博満(34本)と池山隆寛(31本)に、バンスローの登録名でプレーしたバンス・ロー(29本)だ。8月18日を終えた時点のホームランは、落合が25本、池山とバンスローは22本だった。

 現在、日本プロ野球の球団に在籍している選手のうち、ドミンゴ・サンタナ(東京ヤクルト・スワローズ)、ヘスス・アギラー(埼玉西武ライオンズ)、フランミル・レイエス(北海道日本ハムファイターズ)は、メジャーリーグで1シーズンに30本以上のホームランを打ったことがある。彼らについては、こちらで書いた。

「アギラーとレイエスのようにMLBでシーズン30本塁打以上の選手はNPBでもパワーを発揮したのか」

 また、メジャーリーグには、筒香嘉智(サンフランシスコ・ジャイアンツ)と鈴木誠也(シカゴ・カブス)がいる。どちらも、日本プロ野球では、シーズン30本塁打以上が2度。筒香は、2016年に44本のホームランを打ち、2018年は38本塁打を記録した。鈴木は、2018年が30本塁打、2021年は38本塁打だ。

 筒香はマイナーリーグ契約なので、今年、メジャーリーグで30本塁打以上を記録するのは難しいだろう。メジャーリーグに昇格しても、そこから、レギュラーにならないと、打席に立つ機会は多くない。

 だが、鈴木は違う。2023年は20本塁打ながら、8月以降の50試合で12本のホームランを打った。1ヵ月に5本以上のホームランは、5本の8月と7本の9月だけでなく、5月も5本だ。1ヵ月の平均本塁打が5本なら、シーズン全体では30本塁打となる。メジャーリーグ1年目の2022年は、月4本が最も多かった。

 なお、大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)と吉田正尚(ボストン・レッドソックス)は、日本プロ野球でシーズン30本塁打以上を記録していない。日本プロ野球時代のシーズン最多は、大谷が2016年の22本塁打、吉田は2019年の29本塁打だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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