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準々決勝の相手はサッカー王国ブラジル。ノックアウトステージで「負けない」ために必要なこととは?

松原渓スポーツジャーナリスト
PK戦の練習も行った(C)松原渓

11月13日にパプアニューギニアで開幕したU-20女子ワールドカップは、ベスト8が出揃い、いよいよ決勝トーナメントに突入する。

グループBを首位で勝ち上がった日本は、今日、ベスト4をかけてU-20ブラジル代表と対戦する。(※)

試合はこれまでの3試合よりも遅い、19:30(日本時間18:30)キックオフとなる。

【U-20ブラジル代表とは?】

準々決勝で対戦するブラジルと日本の、ここまでの戦いぶりを比較してみたい。

日本はグループリーグ3試合で、21人中17人が先発に名を連ね、20人がピッチに立った。フィールドプレイヤーは18人全員が出場し、5人がゴールを決めた。グループリーグで対戦した3か国(ナイジェリア、スペイン、カナダ)はどの国も確立したスタイルを持ち、日本にとって侮れない相手ばかりだった。第2戦のスペイン戦に敗れたこともあり、厳しい戦いを強いられたが、その中で選手層の厚さを見せつけた。中2日、中3日の連戦というタフな日程の中で、試合ごとにメンバーを入れ替え、疲労を抑えてここまで来られたのは大きい。

一方、ブラジルはグループリーグでは先発メンバーをほぼ固定しており、11人中10人が3試合連続で先発している。3試合目はDFのGIOVANNA(背番号3)が2試合目でレッドカードを受け出場停止だったための変更であり、主力11人は固定されていると考えて良さそうだ。

サッカーのスタイルは、年齢制限のないA代表同様に攻撃力が魅力で、前線には個人技とスピードを兼ね備えた選手が複数いる。中でも3試合で4ゴールを決めているFWのGabi Nunes(背番号8)は、個人技があり、チャンスメイクもシュートも質が高い。

また、球際の強さも特徴だ。北朝鮮戦ではファウル数19で、退場者も出している。

FWの籾木結花は言う。

「海外の選手の球際の強さは、日本とはまた違った意味合いの強さだと思います。たとえば、試合をしてあざができたり、足を踏む勢いで(球際で)寄せてくることがあります。その辺はイメージしながら、練習から厳しさを出していこうと高め合っています。」

日本は球際の戦いに持ち込まれる前に、判断スピードを上げ、パスの精度を高めることで、前半から主導権を持ってゲームを進めることは十分に可能であり、攻め急がずとも結果は自ずとついてくるはずだ。

グループリーグ第2戦で敗れたスペイン戦のように、相手のプレッシャーに気持ちの面で圧(お)されることなく、試合の流れを相手に渡さないことが重要だ。ゴールが入らなくても焦ることなく、90分間でしっかりと仕留めるイメージを持ちたい。

【「負けない」ために必要なこととは?】

負ければ後がないノックアウトステージの戦いは、グループリーグとは違った難しさがある。だが、このステージの難しさを知っている選手の存在も、日本にとって追い風となる。

気持ちを切り替えて臨む第3戦。チームを支えるリーダーの共通点とは?

出典:http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/20161119-00064592/

日本は2012年にアゼルバイジャンで行われたU-17女子ワールドカップで、グループリーグを17得点無失点という圧倒的な内容で勝ち上がったが、準々決勝で対戦したガーナに少ないチャンスを決められ、敗退を余儀なくされた。

その時にピッチに立ち、悔しさを噛み締めたひとりが、当時16歳だった籾木だ。

「準々決勝は、自分にとって越えなければいけない壁だと思います。ここ(準々決勝)での戦い方を一度経験していることを踏まえて、負けないように何をすればいいのかを下の世代にも伝えて、いいモチベーションで試合に臨みたいです。」

勝つために日本のサッカーを貫くことはもちろん大切だが、一発勝負の試合では負けないためのリスクマネージメントもより重要になる。籾木と同じく、2012年のU-17ワールドカップで悔し涙を飲んだ乗松瑠華は言う。

「悪い流れをどうやって断ち切るかというところが重要ですし、ブラジルもそう簡単に勝利できる相手ではないと思っています。難しい時間帯が来た時に、『自分が流れを変えてやるんだ』という気持ちをプレーで表すことが大事だと思います。」

日本のベンチには、燃えるような闘志をたぎらせた選手たちが、いつ呼ばれてもいいようにと、万全を期して待ち構えている。「我こそは」という強い気持ちを持った選手が、このチームには多い。そして、21人がそれぞれの個性と強みを熟知し、お互いの判断を尊重して活かし合える。サッカー王国ブラジル相手に、どんなサッカーを見せてくれるのか楽しみだ。

試合前日の練習で、選手たちの表情からは試合が待ち遠しくて仕方がない、という高揚感も感じられた。U-20ブラジル相手に90分間の激闘の末に、彼女たちの最高の笑顔が見られることを願う。

※U-20ブラジル戦は本日(24日)、日本時間18:20〜21:30 に、フジテレビNEXTで生中継。

ブラジルとの準々決勝に臨むヤングなでしこ(1)(【準々決勝前の監督・選手コメント】)

ブラジルとの準々決勝に臨むヤングなでしこ(2)(【準々決勝前の選手コメント】) に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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