気持ちを切り替えて臨む第3戦。チームを支えるリーダーの共通点とは?
【特別な経験を持つ6人のリーダー】
パプアニューギニアで行われているU-20女子ワールドカップで、黒星を喫したスペイン戦から一夜明けた17日、トレーニングの雰囲気は活気に溢れ、選手たちは敗戦の痛手を引きずることなく、気持ちを切り替えていた。
普段はおとなしい選手たちも練習では積極的に声を出し、雰囲気を盛り上げようとする姿が頼もしい。
今大会のメンバーは、18歳〜20歳までの年齢幅で構成されている。その中で、年上である20歳の選手たちのリーダーシップが特に光る。
乗松瑠華、隅田凜、籾木結花、平尾知佳、長谷川唯、杉田妃和の6人は、ここまでの2試合に先発し、チームを牽引している(長谷川と杉田は早生まれのため、来年1月に20歳を迎える)。
6人には、共通点がある。
一つは、若い頃から育成年代の代表に継続的に選ばれてきたということ。そしてもう一つが、2012年のU-17女子ワールドカップ(アゼルバイジャン大会)に出場した経験があることだ。同大会で、日本はベスト8で敗退し、悔し涙を飲んだ。
また、6人のうち杉田を除く5人は、2013年にU-19日本女子代表に飛び級で選出され、同年のAFCU-19女子選手権に出場した。この大会で日本は4位に終わり、アジアの上位3位までが出場できる2014年のU-20女子ワールドカップ本大会に出場できなかった。2年越しの、世界への夢を叶える機会は失われた。
翌2014年のU-17女子ワールドカップ(コスタリカ大会)は、出場資格の規定(誕生日が1997年1月1日以降)により、早生まれ(1997年1月)の杉田と長谷川は出場し、チームは世界一に輝いた。しかし、96年生まれの乗松、隅田、平尾、籾木の4人はこの大会に出場していない。
4人は今大会のU-20日本女子代表が、2年前にU-18日本女子代表として新たなスタートを切った時点から、最年長の代としてチームを支えてきた。そして、今大会は4年越しで世界の舞台に立った。
【気持ちを切り替えて臨む第3戦】
悔しい思いを重ねてきた彼女たちの経験は、このチームに、プレーでも精神面でも厚みをもたらしている。
GKの平尾は言う。
「19歳の年代は、U-17(女子ワールドカップ)も、U-19のアジア(AFC U-19女子選手権)も、一回も負けたことがない状態で来ていますが、自分たちの年はどちらの大会でも負けた経験を持っていて、この4年間で切り替えの必要性を学びました。このチームでは年上の立場なので、引っ張っていかなければと感じています。」
0-1で敗れたスペイン戦の後、チーム全体で気持ちを切り替えることができているのも、その経験がもたらすものが大きいようだ。「負け知らず」だった19歳年代の一人である、DFの北川ひかるは言う。
「自分達の年代は、こういう経験(敗戦)をしていなかったので、どうしたら良いのか、試合後は戸惑っていましたが、年上の人たちはすごく冷静でした。落ち込んでいる時に声をかけてくれたり、行動で見せてくれるので、雰囲気は立て直せています。まだグループリーグですし、スペイン戦をいいきっかけに、これからの試合は勝とうと意識を切り替えました。」
チームは今日、第3戦のカナダ戦が行われる会場で公式練習を行い、明日の試合に備える。短期間だが心身ともに切り替え、自分たちのサッカーを存分に表現してほしい。