Yahoo!ニュース

エンジェルスにもうすぐ新クローザーが誕生する!? 104.5マイルは今シーズンの全投手最速

宇根夏樹ベースボール・ライター
ベン・ジョイス(ロサンゼルス・エンジェルス)Feb 21, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月12日、ベン・ジョイス(ロサンゼルス・エンジェルス)は、同点の7回表に登板し、16球を投げた。スタットキャストによると、その12球目の4シームの球速は104.5マイル(約168.2km)を記録した。前日までの今シーズン最速は、6月5日にアロルディス・チャップマン(ピッツバーグ・パイレーツ)が投げた、シンカーの104.0マイル(約167.4km)だった。

 ジョイスは、メジャーリーグ2年目の23歳だ。昨シーズンは、12登板の10.0イニングで奪三振率9.00と与四球率8.10、防御率5.40。今シーズンは、13登板の15.1イニングで奪三振率7.63と与四球率3.52、防御率2.93を記録している。

 6月14日以降の10登板は、計13.1イニングを投げ、失点はない。直近の5登板は、与四球もゼロだ。

 この夏、エンジェルスは、トレード市場で売り手に回る。借金16を抱え、地区首位との差は12.0ゲーム。ワイルドカードの3番手とは、12.5ゲーム離れている。

 エンジェルスは、来シーズンあるいは数年後のポストシーズン進出、どちらをめざすにせよ、今オフにFAの選手に関しては、トレードで放出し、何らかの見返りを得ようとするはずだ。

 来シーズンのチームに必要と考えているにしても、オフに再び契約を交わせばいい。トレードではないものの、マット・ムーアは、このパターンだ。昨シーズンの途中にエンジェルスから他球団へ移り、オフにFAとなって、エンジェルスと契約した。それについては、こちらで書いた。

「2度のウェーバー移籍を経て、昨年チーム最多の20ホールドを挙げた左腕がエンジェルスへ戻る」

 クローザーのカルロス・エステベスは、2年1350万ドルの契約2年目だ。今シーズン、5ホールド以上を記録している4人、ルイス・ガルシア、ムーア、アダム・シンバーハンター・ストリックランドも、今オフにFAとなる。

 エステベスを欲しがる球団は、きっとある。今シーズンは、30登板で30.0イニングを投げ、奪三振率9.00と与四球率1.20、防御率2.70を記録している。エステベスのトレードをまとめられないようであれば、ペリー・ミナシアンGMの手腕には、さらなる疑問符がつく。

 他のリリーバーが売れ残ったとしても、エステベスに代わるクローザーの筆頭候補は、ジョイスだろう。昨オフに3年3300万ドルの契約で入団したロバート・スティーブンソンは、メジャーリーグで一度も登板することなく――4月中旬にAAAで1登板も0.0イニングで降板――シーズン序盤にトミー・ジョン手術を受けた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事