台湾通必見!!宴席料理がぎっしりのグルメコメディが日本襲来!?
台湾と言えば、B級グルメ王国。台北に着くや否や、荷物を解くのも早々に夜市に繰り出して、わらじ唐揚げや牡蠣のオムレツを一気食いし、マンゴーアイスで締め括らないと旅は始まらないという台北リピーターは多いはず。屋台でピーナッツヌガーも欠かせません。ところで、その夜市は勿論、そもそも台湾の食文化は路上に根ざしていることが分かるのが、秋公開なのに早くも台湾通の間で話題沸騰の宴席映画「祝宴!シェフ」。「熱帯魚」(95年)や「ラブゴーゴー」(97年)で知られるヒットメーカー、チェン・ユーシュン監督の最新コメディだ。
主役は台湾伝統のバンド料理
映画のテーマは台湾伝統の美食文化を代表する台湾語でバンド(中国語ではバンゾウ)料理。バンドとは、古くから、結婚式等の祝い事がある度にホテルとか自宅のリビングではなく、野外にいくつもの円卓を並べ、お客を招いて催す盛大な宴会のことで、そこで振る舞われるのがバンド料理。料理するのは総舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれる出張料理人で、彼らは会場に調理器具のみを持参し、限られた空間と設備、時間内で、与えられた食材を使って宴会のテーマに合わせてたメニューを考案し、調理する仕組み。ゲストを満足させられれば、その料理人は伝説の総舗師として認められる。
ヒロインは亡き父の思いを胸に料理大会へ
さて、総舗師となって究極のバンド料理に挑戦するのが、映画のヒロイン、シャオワン(キミ・シア)。総舗師の中でも"神"と崇められた亡き父親が、レシピノートに残した料理への熱い思いに心を突き動かされた彼女は、時代の流れに取り残されつつある宴席料理の返り咲きを賭け、初心者にも関わらず全国宴席料理大会への出場を決意する。
目と舌を直撃する究極のメニュー
劇中には、当然、よだれが出そうなバンド料理が次々登場。ベーシックな焼きビーフンやトマトの卵炒めに始まり、造形美が美しすぎて箸が付けられない" 菊花貝柱蒸し"や野菜がカラフルな"五色の煙"、そして、ナント、もやしの中に1本1本フカヒレを差し込んだもったいなさ過ぎる炒め物や、蒸し鶏の中にスッポンが隠れた"布袋鶏"等、目と舌を刺激する料理の競演は、まるでスクリーンと客席が合体した宴席パーティのよう。
バンド料理を体験したいなら台南へGO!
時代と共に今や台北ではほとんど見られなくなったバンド料理を実体験したいなら、美食の宝庫として知られる台南へ行こう。そこでは今も、即席屋外レストランで宴席が行われていて、通りすがりの人も参加OK。一緒に食べながらお祝いして、食べ残したらテイクアウトもできる。台湾政府は観光局主催で海外から観光客を招待し、バンド料理を楽しんでもらうことで伝統の食文化のPRに余念がない。
今年の夏の台湾は60年ぶりの猛暑とか。とりあえず、涼しくなったら、映画経由台南へ足を運んでみてはいかがだろう!?
「祝宴!シェフ」11月1日(土)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
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■Stylist:伊豫利恵(so-planning)
■Photographer:山下裕司(CRACKER-STUDIO)