カイロスロケットに何が起こったのか?ロケットの進行方向が大きくずれ、自律的に飛行中断措置を実行
12月18日、スペースワンの新型国産ロケット「カイロス」が打ち上げられましたが、残念ながら、ミッション達成が困難と判断され、飛行中断措置が行われることとなりました。本記事では、カイロスロケットに何が起きたかにつてい時系列に沿ってご説明します。
■燃焼ガスが噴き出る「ノズル部」で異常が発生
スペースワンは2018年に設立された企業で、小型衛星打ち上げ用の「カイロスロケット」を開発しています。その目的は、契約から打ち上げまでを1年以内という短期間で実現し、「世界最短」・「世界最高頻度」の人工衛星打ち上げサービスを構築することです。
そして、12月18日(水)11時にカイロスロケット2号機が打ち上げられました。今回の目的は、搭載した5個の小型衛星を地球軌道上に投入することです。カイロスは3段ロケットであり、打ち上げのフェーズが進むごとに機体を軽くして宇宙に到達するため、燃焼が終わったロケット1段目、2段目のエンジンを順次切り離していきます。
まず、打ち上げから1分20秒後、1段目のエンジン燃焼中にガスを噴き出す「ノズル部」で異常が起こったことが確認されています。この異常により、ロケットの姿勢も崩れたため、進行方向に大きなずれが発生しました。このノズル部の異常についての詳細は、現在原因を調査中とのことです。
■ロケットの進行方向が大きくずれ、設定飛行領域を逸脱
続いて2分28秒後、姿勢と飛行経路にはずれが発生していますが、ロケット1段目の燃焼が終了します。そして、機体からのロケット1段目の切り離しが行われ、ロケット2段目のエンジン燃焼が開始されました。なお、2分55秒後には人工衛星を覆っているカバーである「フェアリング」の切り離しにも成功します。しかし、3分7秒後に飛行経路が当初の設定領域より外れてしまったため、自律的に飛行中断措置が行われたとのことです。
スペースワンによると、今回発生したノズル部の異常に関する原因究明を急ぎ、3号機の打ち上げに臨んでいくとのことです。
もしカイロスロケットの打ち上げが成功した場合、民間企業が主導して開発したロケットによる、日本で初めての人工衛星の軌道投入となるはずでしたが、やはりロケット開発には様々な困難が待ち受けていますね。
次の3号機の打ち上げ成功することを心よりお祈りしています。
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