【中国の宇宙船が地球に落下】鹿児島県で発光体を観測、有人宇宙船「神舟17号」の一部が地球に落下か
12月19日、中国の宇宙船「神舟17号」と推定される物体が地球に落下し、大気圏で燃え尽きる様子が鹿児島県などで観測されました。本記事では、数十秒にわたって観測された光の破片をはじめ、中国の宇宙船の詳細まで解説していきます。
■地球に落下したのは中国の宇宙船「神舟17号」か
2023年10月、中国の宇宙船「神舟17号」は宇宙飛行士3人を乗せて打ち上げられ、中国の宇宙ステーション「天宮」へドッキングしました。その後、2024年5月には宇宙飛行士たちは神舟17号の帰還モジュールで地球帰還にも成功しています。
この神舟という宇宙船は、3つのモジュールから構成されています。一つは宇宙空間で自由に航行するための機能を搭載した軌道モジュール、地球に帰還するために使用する帰還モジュール、そしてエンジンを搭載した推進モジュールがあります。地球に帰還するのは真ん中の帰還モジュールのみで、推進モジュールは使い捨てですが、軌道モジュールは使い捨てではなく周回衛星とすることができるほか、次回の有人打ち上げの際に宇宙空間で回収しドッキングできるように設計されています。
そして2024年12月19日、中国の宇宙船「神舟17号」の軌道モジュールと推定される物体が地球に落下し、数十秒にわたって発光しながら大気圏で燃え尽きる様子が鹿児島県で観測されました。これは、神舟17号の軌道モジュールがミッション終了後も宇宙を周回しており、何らかの理由で地球の大気圏に突入した可能性が考えられています。
■中国の宇宙開発と有人宇宙船
中国が2003年に有人宇宙船として開発した神舟は、ロシアのソユーズ宇宙船を基本としています。構造は非常に似ているのですがソユーズより全長が長く大型化が図られており、居住スペースも広くなっています。神舟の開発により、軌道モジュールを使用した長期の無人宇宙実験ができ、また将来の宇宙ステーション建設の際の技術習得につなげられると考えられています。
そして、2003年に中国は神舟5号で有人宇宙飛行を成功させました。なんと、有人宇宙飛行に自力で成功したのは世界でもソビエト連邦、アメリカ合衆国に次ぐ3番目で、42年ぶりなのです。また、2008年には神舟7号によって宇宙遊泳も成功させています。この頃から、かつてのアメリカのスカイラブ計画、ソ連のサリュート計画と同様に中国独自の宇宙ステーション保有を目指すようになったのです。これが後の中国の宇宙ステーションである天宮計画に繋がっていきました。
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