チェルノブイリ原発で「放射線を食べるカビ」を発見、宇宙飛行士の宇宙線防護にも使用可能?ISSで実験
人間が近づくことができなかったチェルノブイリ原子力発電所。しかし、その中では新たな生命たちが繁栄していることが発見されました。本記事では、原発事故あとの思わぬ生存者と、宇宙開発への応用についてご紹介します。
■史上最悪の原発事故「チェルノブイリ」
1986年、ソ連のチェルノブイリで最大の原発事故が発生しました。当時の原子炉は、低出力では自己制御が効かないという特性があるにも関わらず、外部からの電力供給を試験的に停止している最中に爆発が発生しました。 ヨーロッパ全土に放射線が拡散し、日本の雨水の中にも放射性物質が確認されています。 当初、ソ連は原発事故を発表しませんでしたが、放射線レベルが急上昇した国々からの抗議により事故の発生を認めました。
原発周辺の森は大量の放射線により枯死して変色し、赤い森と呼ばれています。また、周辺の村では頭が二つある子牛や、足が8本あるポニーなどの奇形動物が生まれたことが報告されています。チェルノブイリ原発は廃炉に100年以上かかるとも言われており、事故直後に原発をコンクリートの建造物で覆う事で応急処置を施しました。そして、2016年には鋼鉄製のシェルターで新たに覆い、問題解決は先延ばしにされています。
■放射線を食べるカビが宇宙開発に役立つ!?
そして、1986年に発生したチェルノブイリ原発事故から40年が経とうとしていますが、放射性物質に覆われたその内部では思わぬ生物が繁殖していました。 その生物は「黒カビ」です。植物が太陽の光で光合成をするのと同様に、この黒カビは放射線をエネルギー源として生息しています。 そして、致死量の放射線レベルである原発内部の環境に適応し、徐々にその生息範囲を広げています。
この予想外の発見から、黒カビは宇宙開発分野での応用が注目されています。そして、既に黒カビは国際宇宙ステーションに送り込まれ、様々な実験が行われています。 宇宙空間は強力な放射線で満ちており、宇宙飛行士は自身を宇宙服で防護する必要があります。
しかし、この黒カビの特性を利用できれば、宇宙での持続的な活動をはじめ、月や火星への安全な宇宙旅行も実現できると考えられているのです。
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