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「PTAに入りません」と言わなければいけないのはなぜ? 保護者の個人情報の取扱いを適切に

大塚玲子ライター
一般的な団体では、入りたい人が「入ります」と言うものですが……(写真:アフロ)

新学期が近づき、新聞や雑誌などでもPTAの話題が増えてきました。PTAは非常に幅の広いテーマですが、今年の春とくに注目を集めているのが、「PTAに入らないという選択」でしょう。

PTA退会をめぐる裁判や、PTAに入らない女性を取り上げたネット記事(*1)などが話題になり、「PTA非加入」という選択が知られ、波紋を呼んでいるのです。

PTAは本来、保護者が任意で加入する、つまり入りたい人が入る団体です。ところが現状は多くの場合、保護者は子どもの入学と同時に自動的にPTA会員となり、会費を徴収されます。「加入するかどうか」という意思を問われないのです。

そのため、PTAが学校と別の団体であることを知らない人や、「入らない」という選択肢があることを知らないまま、会費を払っている人も、少なからず存在します。

いやな言い方になってしまいますが、これはある種、詐欺のようなところがあります。どんなに素晴らしい活動をするPTAでも、この点ばかりは残念ながら、問題と言わざるを得ないはずです。

保護者の加入意思確認が求められているのですが、なかなか進みません。加入届を配る(=加入意思を確認する)PTAも少しずつ増えてはいるものの、相変わらず保護者に無断で学校の名簿を流用し、自動加入を継続していることが多いのです。

そのため現状としては、PTAをできない人・やりたくない人は、「退会する」あるいは「入らない」という意思を自ら表明しなければなりません。

*個人情報保護の観点から、首長や教育長に改善を求める

ではPTAに加入しない人は、具体的に何をする必要があるのでしょうか。

先日話題になったネット記事「#PTAやめたの私だ 『入会しません』 ひとりの主婦の静かなる抵抗」では、このような方法がとられていました。

1・PTA会長・役員さん宛てに、手紙を書く

2・PTA会長・副会長、副校長(教頭)先生と話し合い

この女性は、これで非加入が認められたということです。

ほかには、個人情報保護という観点から、学校や教育委員会、自治体に連絡を入れるという方法もあります。

たとえば、民間企業のコンプライアンス部門で部長を務め、非加入の方法や経験を電子書籍(*2)にまとめた神宮寺ぴこさんは、このような手順を踏んだそうです。

「わたしは子どもが入学する前に、自治体の首長と、教育長と、学校長の三者に対して、内容・配達証明付きで、同一の書面を送りました。

内容は『わたしの個人情報を、学校とは別団体であるPTAに勝手に渡さないでください』というお願いです。

公立の小中学校は、自治体の個人情報保護条例によって、本人の許可なく第三者機関に個人情報を渡してはいけないことになっています。学校がこの条例を守れば、PTAの自動加入は不可能になるので、そのようにお願いしました」

神宮寺さんはこの方法でPTA非会員となり、さらに交渉の末、そのPTAで加入届を配るようにしてもらえたそうです(詳しい経緯は神宮寺さんが書いた電子書籍『ただいま個人情報漏洩中! -学校での個人情報漏洩とPTA-』をご参照ください)。

「この方法は、子どもが学校に通っていなくても、もしくはPTAに入ったままでも可能です。一般市民として、首長や教育長に『学校における個人情報の取り扱いを正してほしい』とお願いすることは、誰にでもできます。興味がある人は、ぜひやってみてほしいです」(神宮寺さん)

なお、今年の5月30日からは改正個人情報保護法が施行され、PTAも個人情報取扱事業者としての義務を負うことになります。そうなると、学校の名簿を保護者に無断で流用することは、学校側だけでなく、PTA側でも義務違反となります。

PTAは、なるべく早く、加入意思を確認する形を整えていく必要があるでしょう。

*1「#PTAやめたの私だ 『入会しません』 ひとりの主婦の静かなる抵抗」BuzzFeed

*2 電子書籍 神宮寺ぴこ著『ただいま個人情報漏洩中! -学校での個人情報漏洩とPTA-』

ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

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