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見事な終活…「細木数子先生」を偲ぶ

山田美保子放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー
(写真:hichako/イメージマート)

 10日の午後4時前、4月から出演しているYouTube『吉田照美のフルモチ』の配信スタジオに向かう車中で、細木数子先生の訃報を知った。

 娘の細木かおりさんがInstagramに、母娘の2ショット写真をアップし、「母・細木数子が呼吸不全で8日に満83歳で永眠しました。突然のことでした」と綴ったことがYahoo!ニュースに上がったのだ。

私が「細木数子先生」と呼ぶ理由

 私が「細木数子先生」と呼ぶ理由は、細木先生が出演していた『幸せって何だっけ~カズカズの宝話』(フジテレビ系、2004年11月~2008年3月)の放送作家をしていたから。近年は、娘のかおりさんに度々『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出ていただいており、スタジオで披露される細木先生の豪快でゴージャスなエピソードに触れるにつけ、改めて懐かしさを覚えていた。

 今も私は、ケータイに入れてある「六星占術」のサイトで、運勢を確認している。ちなみに私は「金星人(-)霊合星人」で、『幸せって何だっけ~』全制作陣のスタッフロールには、名前の後に、何星人であるかが記されていた。

 なお同サイトでは、細木先生の訃報と「お別れ会」のインフォメーションが掲示されると共に、「六星占術を編み出してから40年超が経過いたしました」との一文があった。

 年末になると、各星の翌年の運勢を1冊毎にまとめた単行本が、手帳やカレンダーなどと共に書店に並ぶのが恒例となっており、それらは娘のかおりさんに受け継がれ、すでに4年が経っている。女性週刊誌の巻末で話題の芸能人の運勢をズバリ占う連載も、かおりさんに引き継がれているのだ。

かおりさんに与えたセレブすぎる日々

 かおりさんは細木先生と“瓜二つ”だが、実際は妹さんの娘さん、つまり養女だ。が、小さい頃から先生と同居していたので、曰く、子供らしくはないセレブすぎる日々を送っていたそうだ。

 細木先生はグルメとしても有名だったので、かおりさんの誕生日をはじめとするお祝いは、ホテルや高級レストランなどで盛大に行われたと聞く。本当は学校のお友達と同じようなお菓子を食べたり、子供らしい遊びをしたりしたかったそうだが、細木先生は大人の嗜(たしな)みを小さなかおりさんに一つずつ教えていらしたのだと思う。

強い女性ゆえ…強い男性を求めていた?

 『幸せって何だっけ~』での思い出は、まさに“カズカズ”あるが、細木先生が愛してやまない有名人の一人として、まずは魔裟斗さんを挙げたいと思う。

 細木先生自身が何かと強い方なので、それ以上に強い男性を求めていらしたのだろう。魔裟斗さんにはずいぶんゲストに来ていただいたし、細木先生は、魔裟斗さんが当時から交際していた矢沢心さんにも、魔裟斗さんを通じてアドバイスをされていた。

 男性スタッフをはじめ、一緒に司会を務めたお笑いトリオ「ネプチューン」のことも可愛がってくださったし、進行役の徳光和夫さんには、年齢が近いなりの対応をしていたと見受ける。

 細木先生はサービス精神が旺盛で、企画にも参加してくださる方だった。特番や年末年始などには、細木先生の伝手(つて)で、高級レストランや京都の豪邸を“収録先”として紹介してくださった。

 強い男性と言えば、大相撲の元横綱・朝青龍さんのことも思い出す。現役時代、色々あった朝青龍さんだが、細木先生はずっと味方についていたし、番組ゲストに呼んでくださることもあった。

 『幸せって何だっけ~』で細木先生は度々、御先祖様・家系・親子関係などについて、ゲストの家系図を指しながら説いていらした。それを嫌がるゲストは少なくなく、キャスティングは困難を極めた。今から思うと、家族の反対を押し切って物事を無理に前へ進めたり、家族が別れたり離れ離れになったりすることを、細木先生は強く非難していらしたと記憶する。

独特のショートヘアは“時短スタイル”

 「くりぃむしちゅー」と共演していた『ズバリ言うわよ!』(TBS系、2004年8月~2008年3月)をもって、テレビ出演を自ら卒業。その後、テレビでの露出は極端に減ったが、時折お見かけする細木先生は、いつもキラキラの糸で織られた高級服地のスーツをお召しで、数え切れないほどのゴージャスなジュエリーを身に着けていらした。

 お顔に髪の毛が一本もかからない独特なショートヘアは、洋装にも和装にも似合うという意味では、黒柳徹子さんの“玉ねぎヘア”と同じだった。忙しい女性ならではの時短スタイルでもあったのだろう。

見事な終活、立派な生涯

 紙媒体では女性週刊誌との親和性が高く、仕事をかおりさんに引き継いでいる途中、何度か週刊誌に直撃されたこともあった。「体調不良」とか「激やせ」といった報道もあったが、細木先生は、否定。

 しかし、いわゆる“終活”は5年程前から始めており、事務所の体制を整え、さらに、かおりさんとは戸籍上でも正式に母と娘になっていた。

 御自身の寿命も判っていらして、それに向けて見事に終活をし、「六星占術」をキチンと遺した細木数子先生。立派な生涯でした。ありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。

放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー

1957年、東京生まれ。初等部から16年間、青山学院に学ぶ。青山学院大学文学部日本文学科卒業後、TBSラジオ954キャスタードライバー、リポーターを経て、放送作家・コラムニストになる。日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」、フジテレビ系「ノンストップ!」などの構成のほか、「女性セブン」「サンデー毎日」「デイリースポーツ」「日経MJ」「sippo」「25ans」などでコラムを連載。「ドデスカ+(プラス)ドデプラ」(名古屋テレビ)などに、コメンテーターとしてレギュラー出演している。

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