子どもの安全を守るために親ができる6つのこと(1歳児編)~元保育士パパが教える【子どもの安全】
人間は生きていると、絶対に安全ということはありません。誰でもケガをする可能性やリスクを抱えていますが、小さい子どもはより危険度が増します。大人以上に転倒や落下、誤飲、窒息、交通事故などさまざまな危険が身の回りにあるため、親が子どもの安全を守らなければなりません。
今回は、1歳の子どもをもつ親が、子どもの安全を守るために必要な注意事項や心掛けるべきポイントを解説します。
(0歳児については「子どもの安全を守るために親ができる5つのこと(0歳児編)~元保育士パパが教える【子どもの安全】」をお読みください。)
1歳児の特徴
最初に、一般的な1歳児の特徴を紹介します。子どもの成長・発達には個人差がありますので、お子さんとは少し発達の度合いが異なるかもしれません。参考としてお読みください。
1歳児の特徴① 身体の発達
0歳の頃に比べると、1歳児は身体機能や足腰の力が大きく発達します。歩き始めは個人差がありますが、1歳前後が歩き始める目安なので足腰の発達とともに“つかまり立ち”から“伝い歩き”と段階を踏んで少しずつ自力で歩けるようになる時期です。歩行が発達すると、走ったり階段の昇り降りをしたりなどスムーズに動けるようになり、1歳後半頃になるとしゃがんだり立ったりする全身運動や、低い段差に乗ったり飛び降りたりすることもできるようになるでしょう。腕の力も付くため、ある程度の重さのものを持ち上げて運ぶこともできるようになります。
1歳児の特徴② 言葉の発達
「ウー」「アー」など言葉にならない“喃語”と呼ばれる言葉が聞かれるようになり、そこから少しずつ「ママ」「パパ」「ブーブー」などの単語や擬音語を話し始めます。言葉を発するだけではなく、大人が話すことを理解できるようにもなってくるのもこの時期です。保育士が言うことをよく聴こうとしたり、話す内容を理解してうなずいたりするなどの反応も見られるようになるでしょう。
1歳後半は話せる言葉の数が増え、「ママだっこ」「ワンワンいた」などの2語文で話すことができるようになります。理解力も増すことで徐々に会話ができるようになり、大人が言ったことを理解して行動することが少しずつできるようになるのも1歳児の特徴です。自分の名前を認識し、呼ばれたら反応したり名前を言おうとしたりするようにもなるでしょう。
1歳児の特徴③ 気持ちの発達
歩いたり運動したりすることで、行動範囲が大きく広がります。それまでとは目に入る景色が変わるため、周りのありとあらゆるものに興味を示し、好奇心が旺盛になるでしょう。自我の芽生えも進み、好きなことを積極的にやろうとしたり、やりたくないことを態度で示したりするなどの自己主張をするようにもなる時期です。やりたいこと、行きたい場所、食べたいもの、嫌なことなどがはっきりし、それを動作や表情、言葉で激しく主張するようになり、行動範囲も広がるでしょう。
1歳児の特徴④ 食事の発達
離乳食の後期〜完了期を経て、幼児食に移行して1日3回食べるようになります。柔らかい離乳食から、大人と同じものを食べるようになる時期と並行し、前歯が生えそろったり奥歯も生えてきたりすることでよく噛んで食べることができるようになるのも1歳頃です。
幼児食になり、ほとんどのものが食べられるようになると同時に、食べ物の好き嫌いも出てきます。食べさせてもらうことが少なくなり、1人で食べられるようになることで遊び食べをしたり好きなものだけ食べたりして、食事に時間がかかることもあるでしょう。
1歳児の安全面で留意すべき6つのこと
一般的な1歳児の特徴を踏まえて、安全面において注意すべきことを6つ紹介します。
1歳児の安全面で注意すべきこと① 転倒
1歳頃になると段々歩けるようになりますが、歩き始めの頃はまだ歩行が安定しないのでよろけて転ぶこともよくあります。歩き始めの頃、子どもは歩けることが嬉しくてたくさん歩いたりいろいろな所に行こうとしたりもするでしょう。したがって、外出先では絶対に子どもから目を離さず、近くにいることが非常に大切です。
家の中では、万が一転んでもケガをしないよう「カーペットやマットを敷く」「滑らないよう裸足で過ごす」「転んだ拍子にテーブルや棚の角などにぶつからないようできるだけ環境を広くしたり柔らかい素材のもので覆ったりする」などの配慮をしましょう。
1歳児の安全面で注意すべきこと② 衝突
歩行が安定すると、次は走ることもできるようになります。走り始めると転倒に加えて衝突する危険性も高まります。公園や屋内の遊び場、商業施設などに出かけた際、子どもは楽しくなってつい走ってしまうことが多くありますが、手をつないだり走らないよう声をかけたりすることが必要です。
広い場所では走って遊ぶこともできますが、遊具や壁に衝突したり子ども同士でぶつかったりすることもあるので要注意。特に子ども同士がお互い走っていて正面衝突をすると、打撲以外にも骨折や歯が折れるなどの大けがにつながることもあります。相手もいることなので、トラブルにもなりかねません。十分注意してください。
1歳児の安全面で注意すべきこと③ 落下
行動範囲が広くなるとますます好奇心旺盛になりますが、まだ危険なことを理解することができません。そのため、家の中でテーブルの上に上ったり外出先ではよそ見をしていて側溝に落ちたりなど、落下する事故も起きやすくなります。
階段の上り下りも、非常に危険です。階段の上り下りでは親と手をつないだり家の階段に開閉式の柵を設置したり、階段からの落下による事故を防ぎましょう。
1歳児の安全面で注意すべきこと④ 飛び出し
1歳は危険なことがまだよく理解できませんが、行動範囲が広がり好奇心旺盛になり、興味を惹かれるものを見つけるとすぐ近くに行こうとします。ふとした瞬間に走り出したりするため、大人がちょっとよそ見をしている間に道路に飛び出そうとすることもあるでしょう。自分の行きたい所に行けるように大人と手をつなぐのを嫌がることもありますが、特に外を歩いているときは「手を離さない」「何かあったときにすぐ助けられる体制を保つ」などの配慮をしましょう。
1歳児の安全面で注意すべきこと⑤ 喧嘩
自我の発達とともに、子ども同士のけんかやトラブルも頻繁に起こるようになります。きょうだいがいる家庭では、きょうだい喧嘩になったときに言葉でうまく話せないため、引っかいたり嚙みついたりすることもあるでしょう。公園や遊び場で遊んでいてほかの子どもとおもちゃや場所の取り合いになり、手や口を出してケガをさせてしまうケースもあります。
まだ言葉で言い聞かせたり叱ったりしても理解することや我慢することが難しい年齢なので、仲良く楽しそうに遊んでいるからと過信せず、近くで見守りながら手や口が出そうになったらすぐに止められるように心構えをしておくことも必要です。
1歳児の安全面で注意すべきこと⑤ 誤飲・誤嚥
1歳になっても手でつかんだものをなんでも口に入れてしまうことがあるので、「飲み込めるほどの小さいものを子どもの手が届く場所に置かない」「片付ける」などの配慮をしましょう。
大人と同じ食事を食べるようになり、食べることが上手になりますが、食べ物が誤って器官に入ってしまう誤嚥(ごえん)の危険性もまだあります。特にピーナッツなどの豆やナッツ類のように硬くてかみ砕かなければならない食品を5歳以下の小さい子どもが食べると器官や咽頭に詰まって窒息する危険性があるので食べさせるのは避けましょう。ミニトマトやブドウなどの小さいものも、子どもは喉に詰まる危険性があります。食事中にふざけたり、箸を口にくわえたまま立ったり走ったりしてのどに刺さるなどの事例もありますので、食事中も目が離せません。
まとめ
行動範囲や好奇心が広がる分危険な場面も多くなり、ますます目が離せなくなる1歳児は、0歳児以上にケガをするリスクが高いと言えます。子どもにケガをさせないように安全対策をすることは親の務めですが、ケガを恐れてあまりにも子どもの動きを制限してしまうのは成長や発達の妨げにもなるのでバランスが必要です。安全確保は最優先ですが、子どもの成長や発達のためにあまりにも行動や経験を制限することがないよう心掛けましょう。