家長、松木、優磨、J3など。全サポが見逃せない!Jリーグ終盤戦の注目ポイント7
2022シーズンのJリーグも最終局面に入ってきました。残留争いについては「J1残留争いのキーマン7人」で取り上げましたが、特定クラブのサポーターに限らず、終盤戦の見逃せないポイントを紹介します。
■家長昭博がJ1の得点王に!?
週末の試合で札幌に敗れて、三連覇がかなり厳しくなった川崎フロンターレ。すでにカップ戦も全て敗退しており、6年ぶりの無冠が濃厚となっている。しかし、ここまで11得点を記録している家長昭博は12得点のチアゴ・サンタナ(清水エスパルス)を1得点差で追っており、得点ランキングで十分に逆転は可能だ。
右ウイングの得点王と言えば、2019年の仲川輝人(横浜F・マリノス)を思い浮かべるが、家長の場合はチャンスメークの中心であり、相手の厳しいマークの中で、味方に点を取らせるプレーもこなしながら、この結果を出しいる事実に驚きと尊敬しかない。
チームの勝利が第一ではあるが、個人としてはもしかしたらMVPを獲得した2018年を超えるパフォーマンスであり、過去に二度の11得点を記録しているが、36歳にして数字的にもキャリアハイまであと一歩に迫っている。
■松木玖生が高卒ルーキーでB Y P獲得か
ここまで高卒ルーキーながらリーグ戦27試合、時間にして2000分以上もプレーしており、同世代では飛び抜けた存在になっている。アルベル監督は松木が成長過程にあることを認めながら、長い目で起用している部分はあるようだが、それにしても素晴らしい成績だ。
飛び級でU-21代表に選ばれるなど、“03ジャパン”の選手たちにとっても良き目標となっている松木。今年の4月2日時点で21歳以下の選手が対象になるので、2001年生まれで現在8得点の細谷真大(柏レイソル)をはじめ2002年生まれの藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)や同じ2003年生まれの中野伸哉(サガン鳥栖)など有力候補は複数いるが、松木はかなり有力だろう。
昨年の荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)も19歳での受賞だが、早生まれであるため高卒2年目だった。森本貴幸、宇佐美貴史、南野拓実などユースからの昇格選手を除けば、小野伸二以来の高卒ルーキーとしての受賞になる。
■ACL出場権の行方
来シーズンから秋春制としてスタートするACLの出場権は混沌としている。Jリーグからは4枠が与えられるが、浦和レッズが来年2月のファイナルで優勝するとプレーオフからの出場権が与えられるため、リーグ戦は2位以内が条件になってくる。
そこで気になるのは優勝クラブにACLの権利が与えられる天皇杯。鹿島、広島、京都、甲府が勝ち残っているが、もし鹿島か広島が優勝して、なおかつJ1の2位でフィニッシュした場合は3位チームが繰り上がり、4位でも浦和の結果によっては可能性が残る。
ただ、浦和の結果待ちとなるクラブは多少時期に余裕があるにしてもやはりACLに出る出ないでメンバー編成も変わりうるため、強化部はかなり大変だろう。
■アシスト王は鹿島の鈴木優磨か
アウォーズの個人賞ではないが、アシストランキングも重要な評価のバロメータだ。現在9アシストでJ1のトップを走るのは鹿島の鈴木優磨。前体制では上田綺世(セルクル・ブルージュ)との強力2トップが注目されたが、上田が移籍してからも獅子奮迅の働きで鹿島を引っ張っている。
岩政大樹監督が率いてからも幅広くチャンスメイクに関わり、大事なところではボックス内に入っていく。いわば9.5番の仕事をこなしている。2位には同胞の樋口雄太、そして広島勢の野津田岳人と満田誠が追う展開になっているが、ゴリゴリのストライカーだったかつてのスタイルから変貌を遂げて、チームの勝利のために献身する姿勢を象徴する結果だ。
本人はアシスト数を増やすためにプレーしているわけではないはずだが、残りの試合でも勝利につながるゴールをアシストできるか。自身のゴールも現在7得点で、10ゴール10アシストという記録も可能な状況にある。
■大迫勇也が大復活でカタールへ!?
残留争いに巻き込まれているヴィッセル神戸。「J1残留争いのキーマン7人」では武藤嘉紀を取り上げたが、やはり注目は大迫勇也がさらに救世主的な活躍で神戸を残留に導き、カタールW杯のメンバー入りも果たせるかどうか。
Jリーグと代表の国際試合ではまた強度が求められるとは言え、そうした経験は十分にある大迫だけに、コンディションの改善を日本代表の森保一監督に示せるかどうかが、ほぼ全てと言ってもいいかもしれない。まずは神戸の残留が第一で、ゴールはもちろん、複数の怪我人が出ているチームを引っ張っていく活躍が期待される。
■J2のプレーオフ争い
J1の自動昇格はアルビレックス新潟と横浜FCが王手をかけており、次節の結果次第では二枠同時に決まる可能性もある。しかし、3-6位まで与えられるが昇格プレーオフは未だ混沌としており、7位以下でも逆転滑り込みは可能な状況だ。
4枠のうち1つはほぼ確定している。現在3位のファジアーノ岡山は仮に自動昇格に届かなくても、プレーオフから悲願のJ1昇格を目指すことができる。残りは現在の順位から行けばロアッソ熊本、大分トリニータ、ベガルタ仙台となるが、7位のモンテディオ山形は1試合少ない。得失点差も+16で熊本、大分、仙台よりアドバンテージがある。
現実的には8位の徳島ヴォルティス、9位のジェフ千葉、10位のV・ファーレン長崎までか。山形は大分との“6ポイントマッチ”を残している。徳島はプレーオフ圏内のチームとの直接対決は無いが、最終節が山形戦であるため、そこまで上位が崩れるのを期待しながら勝ち点を積み上げていくしかない。
10月16日にユアスタで行われる4位の熊本と6位の仙台の試合もプレー戦線を左右する大一番になりそうで、大木武監督と伊藤彰監督という独自路線の戦術対決も見応えがありそうだ。
■群雄割拠のJ3上位戦線
今Jリーグで最も面白いのがJ3の昇格レースだ。残り7試合で6クラブが十分に可能性を残している。首位のいわきFCは2位の鹿児島と勝ち点5差で、頭ひとつ出ている。ただ、やはり新興クラブではあるので、ここままJ3優勝まで突っ走るのが理想だが、ひとつ躓いた時の経験面でのリスクはある。
3位の藤枝MYFCは現在最も勢いに乗っている。一方でここに来て足踏み状態にある4位の松本山雅は次の週末、その藤枝とアウェーゲームに臨む。さらに山雅は5位のカターレ富山、6位のFC今治、僅かながら昇格の可能性を残す7位の長野パルセイロとの“クラシコ”も残しており、昇格争いの鍵を握るクラブであることは間違いない。
2位の鹿児島は首位いわきとのアウェーゲーム、そして最後に富山戦がある。逆に6クラブの中でも一番厳しい立場にある富山としても藤枝、今治、松本という昇格争いのライバルを叩きながら残りの試合も勝ち点をおとすことなく、最後に鹿児島を直接逆転する流れに持ち込みたいところだ。