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松阪牛は霜降りもいいけど、ホルモンが安くて旨いです:三重を観光しよう

遠藤司皇學館大学特別招聘教授 SPEC&Company パートナー
(ペイレスイメージズ/アフロ)

11月27日付、中日新聞に「最高松阪牛は2580万円 三重で品評会」と題する記事が掲載された。筆者は昨年から、三重県伊勢市の皇學館大学准教授として教鞭を採っている。

知らない人が少なくないようだが、松阪は三重にある。ほかにも三重には、伊勢のほかに、志摩、熊野、伊賀など、よく知られている観光地がたくさんある。しかも旨いものばかりなので、人を呼んだときには何を食べてもらおうかと、とても悩む。だから筆者は、うざったいくらいにその人の好みを質問する。

何というべきか、三重という名称でひとくくりにされているせいで、これら地域ごとの魅力が伝わらない。外から来た人間の目からみて、三重はマーケティングがうまくないと思う。ポスターとか、スローガンとか、やり方とか、いろいろ。戦略を構築し直したほうがよい。三重というものは行政単位にすぎないということを認識し、個別個別のマーケティングへと切り替えるべきである。

最高高値で松阪牛を落札したのは、津市にある朝日屋だ。筆者の自宅から自転車で5分とかからないところに店を構えている。よい肉を安く売ってくれるので、非常に重宝している。

三重に来たら、多くの人は松阪牛の肉の部分を食うのだろう。それもいい。旨い。しかし筆者は、せっかくなので、ホルモンを食べに来ないかと提案したい。

ホルモンは日本の誇るべき文化

松阪牛はブランドである。ブランドにはブランドの約束というものがある。ブランドの約束とは、ブランドが顧客に対して保証する価値のことである。松阪牛は、この約束を守ることによって、松阪牛たりうる。

約束しているものは、基本的に肉を食すことにおける満足である。松阪牛の凄みは、肉に入るサシ、アブラにある。よって松阪牛というブランドは、アブラのある肉にかかるブランド、約束である。

したがって、ホルモンにはかかっていない。よって松阪牛のホルモンは、安く食すことができる。しかも松阪牛のホルモンは、臭みが少なく、その脂には甘さがある。一度食べたら他のホルモンは食べられないと言う人までいる。

ところで、焼肉やホルモン焼きは朝鮮の文化だという人がいるが、とんでもない。これらは日本の文化である。そもそも肉を焼くということは人間の歴史であって、かねて日本人のうちでも行われていた。逆に朝鮮では、儒教の強い影響から、肉を火で焼くことはよくないこととされていた。だいたい、韓国の焼肉はおもに豚肉である。牛肉は高級だから、たまにしか食べない。

ホルモン料理についても同様である。牛だけでなく、鳥や猪、鹿などのモツは、我が国では昔から食べられていた。それらのモツ焼きが、ホルモン焼きと呼ばれるようになったのである。かつては内臓料理だけでなく、スタミナ料理全般をホルモン料理と呼んだ。動物体内の生理的物質であるホルモン物質が、滋養によいという理由からである。これが戦後になって、朝鮮の一部の人たちが行っていた内臓の焼肉もまた、ホルモン料理と呼ばれるようになったのである。

なお、ホルモンとは「放るもん」という言葉から来ているという説があるが、これは大阪人のダジャレから始まったもので、事実とは異なる。

ホルモンはおいしくて体によい、我が国の文化なのである。そのホルモンが、高級和牛のうちに発展してきたものが、松阪牛のホルモンであるといえよう。三重の人は、普段から食べている。オススメできる庶民の味なのである。

東京でも食べられる、三重発のお店

そうはいっても、たとえば東京から三重にまで来るというのは結構大変だ。よって東京でも食べられる店を紹介したい。蒲田にある「松阪牛ホルモン まつや」である。これは津市駅から数分の場所にある「ホルモンまつや 津駅前店」の蒲田支店の位置づけだ。少し値段が高くなるが、津店と同じく評判がよい。

こっちに来れば、他にもたくさんのホルモン焼き屋がある。松阪牛ホルモン、是非食べてほしい。三重には旨いものがたくさんだ。

皇學館大学特別招聘教授 SPEC&Company パートナー

1981年、山梨県生まれ。MITテクノロジーレビューのアンバサダー歴任。富士ゼロックス、ガートナー、皇學館大学准教授、経営コンサル会社の執行役員を経て、現在。複数の団体の理事や役員等を務めつつ、実践的な経営手法の開発に勤しむ。また、複数回に渡り政府機関等に政策提言を実施。主な専門は事業創造、経営思想。著書に『正統のドラッカー イノベーションと保守主義』『正統のドラッカー 古来の自由とマネジメント』『創造力はこうやって鍛える』『ビビリ改善ハンドブック』『「日本的経営」の誤解』など。同志社大学大学院法学研究科博士前期課程修了。

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