【河内長野市】なぜ市役所が地域猫のクラウドファンディングをするの?意外すぎる施策は猫の命を守るため
人間の場合は、河内長野に限らず、全国的に少子高齢化の問題がクローズアップされていますが、動物の場合は逆に増えてしまうことで問題になっています。例えばいちばん身近な猫も、放置しておくとあっという間に増えます。対策せずに放置すると、いくらでも野良猫が増えてしまう恐れがあります。
なお今回の記事の画像は、河内長野市ではなく、多くの地域猫がいたある瀬戸内の島で、筆者が2021年に撮影したものをイメージ画像として使っています。
もちろん、そんな野良猫を放置するのではなく保護しようという活動をしている地域猫の団体や組織は、河内長野も含めて各自治体に存在します。あくまで一例ですが、以前ご紹介したにしきんちさんもそうです。
そんななか、河内長野市の環境政策課が地域猫活動に対して、新たな取り組みを始めました。その内容に驚きました。なんと、クラウドファンディングで300万円を集めようというのです。実施期間は2025年1月28日までとのこと。
さらに、関連動画までありました。それにしても自治体がクラウドファンディングとはあまりにも意外な施策です。いったいどういうことでしょうか。
「なぜ市役所が地域猫のクラウドファンディングをするの?」
とても気になった私は、市役所に行き、環境政策課の担当の方に問い合わせ、お話を伺う機会を得ました。
市の担当者の方は、初めにこちらの冊子を手渡してくださり、河内長野市としての地域猫活動への対応について、説明を始めました。
最初に地域猫活動についての大まかな説明から入りました。画像の図で示した通り、主に三つの活動の総称が地域猫活動です。
- 地域の理解と協力
- 適切な管理
- 不妊・去勢手術
前提として、地域の理解と協力がないと行政だけで地域猫問題に取り組めないとのこと。地域猫活動を積極的に行う必要があるのは、猫は繁殖力がとても強い動物だからです。調べると猫は人間や犬のような自然排卵ではなく交尾排卵を行う動物のため、交尾をすると確実に妊娠するとのこと。
猫は生後6ヵ月から年中いつでも妊娠が可能で、一度妊娠すると2か月ほどで子どもが生まれます。一度に4~8頭生んでしまうため、野良猫を放置するとあっという間に猫の子どもが増えてしまうとのこと。環境省による試算では、1匹のメス猫が3年後には2,000頭以上に増えるという結果が出ているほどなのです。
猫の数が増えるだけではありません。猫の特性として素早く走れますが、体の構造上、後ろ歩きや後ずさりが苦手です。そのため猫が車などに衝突して事故に遭う確率も高く、ロードキルと呼ばれる不幸な最期を迎えることが多いのが現状です。そのような不幸なケースが増えないために、猫の数を適切に管理し、必要に応じて不妊・去勢手術を施す必要があるのです。
次に行政と地域猫との関係について、本来地域猫に関する対応や指導は大阪府の管轄になるそうで、猫の捕獲機は羽曳野市内の施設にあって、個人がそこに取りに行って対応するものでした。河内長野市の立場としては、町の環境を美化するという視点から地域猫活動を支援しており、環境政策課が担当になっています。
市の予算(税金)を地域猫活動に投入することについても、市民の間で賛否があり、そのためかけられる予算がどうしても限られてしまうそうです。そこでクラウドファンディングという手段で地域猫活動に賛同できる方に、市の内外を問わずに寄付を募ろうとなったそうです。
自治体がクラファンというのにとても驚きましたが、そういう理由だったのですね。
市として地域の保護猫活動とのつながりについては、このようになっています。ひとつは自治会等とのつながり、もうひとつは地域猫活動の民間団体の登録制度です。
まず市内にある各自治会に地域猫活動に取り組んでいただくことで、自治会でないとわからない地域内での理解を進めていきます。具体的には自治会内に住んでいる各住民への同意を得る、回覧板等を用いての地域猫活動の周知徹底を行ってもらいます。
次に地域猫活動を行なっている団体に登録制度を設けていて、そこに登録して頂きます。現状では2団体が登録しているとのこと。少ないと思ったら条件があります。家族を除く3人以上の構成員がいる場合に団体として認定して登録できるとのこと。個人の場合に登録できないのは、その人が万一活動できなくなった時の後継者問題があるからです。
そして自治体と登録団体に対して以下の3点を市が支援します。
- 地域猫用捕獲機の貸出
- さくらねこ無料不妊手術チケットの交付
- 地域猫不妊手術費用補助金の交付
こうして、地域猫活動に関心があっても技術的な問題なノウハウがない自治会等と、技術やノウハウがあっても地域の理解を得るにに苦労している地域猫活動団体を市がマッチングさせることで、お互いの強み、弱みを補完しあいながら、最終的に地域猫活動を活性化しようという狙いがあるそうです。
「まだまだ地域猫活動を知らない人も多い」と担当の方がいいます。情報の周知は徹底が必要ですが、クラウドファンディングという意外性のある寄付を求める活動も、根底では地域猫活動を多くの人に知ってもらう目的もあるのかなと感じました。
「地域猫の団体に今から訪問しますので、よろしければご一緒しませんか」担当の方がそう言ってくださったので、付いていくことにしました。場所は市内の某所です。
案内してくださった団体は「小さな命を守る会(旧FLF)さん」。前のFLF時代から数えると20年以上続いている老舗の地域猫団体だそうです。シェルターはないので、あくまで猫を保護して不妊手術等をし、引き取ってくれる人を探す活動を行っているとのこと。
小さな命を守る会の特徴として、無償で様々な活動を行っています。理由として、会の代表のお父さまが「命に金をとってはいけない」と言っていたからとのこと。そのため道の駅くろまろの郷などでバザーを定期的に行って資金を集めています。次の日曜日17日にもくろまろの郷で地域猫活動のためのバザー(保護猫の資金集め)(外部リンク)を行います。
団体の代表の方は、地域猫活動を一緒にやってくれる人がなかなかいないことを嘆きつつも、その可能性のある若者もわずかにいる話をされました。また地域猫の問題は市の単位ではなく、南河内全体の問題ということで、富田林や大阪狭山にある地域猫のボランティア団体と連絡を取り合いながら取り組んでいるとのこと。
「団体もいろいろあって、考え方が真逆的なことも多いんです」これは市の担当者も小さな命を守る会の方も言われていました。猫の命を守ろう、地域が保護猫に寄り添えて、不幸な最期にならないようにしようという共通の目標があるのですが、細かい見解ではどうしても考え方が違う場合が多く、それを取りまとめるのはなかなか大変なのだそうです。
「私たちだけではここまでできない。市役所の人には本当にお世話になっています」と団体の方々が口々にそう言っていることが印象的でした。市が準備している捕獲機の性能が良く、「多く捕獲できる」と、とても好評とのこと。市では16台の捕獲機を持っているそうです。
条件はありますが、市が用意した団体登録を行うこことで、支援をうけながら地域猫活動をするという方法があることを知りました。そして、今回の記事を読んで地域猫の支援をしたいと感じた方は、ぜひクラウドファンディングを検討してみてはいかがでしょう。
また環境政策課は、猫以外にもブルーマナーというワンちゃんとともにいる人たちへの啓蒙活動も行っています。
ブルーマナーとは、ワンちゃんが散歩する際に出てしまう排泄物(糞)を持ち帰る、あるいは尿であれば、水を持参してそれを流すという「当たり前のマナー」を、みんなで広げていこうという取り組みです。ちなみに上記のモックルのポーズ、一説には万博のポーズを真似たともいわれています。
市が用意しているブルーマナーのバッジをつけて、ブルーマナーをみんなで広げていこうという活動を行っているんですね。
さらに、現在、桜の木の大量伐採につながっている「クビアカカミキリムシ」の問題も環境政策課の担当です。猫、犬、カミキリムシと桜への対応。河内長野市の数多くある部署でも、とても大変な問題を担当しているところなんだと感じました。
河内長野市役所(河内長野市環境政策課)
住所:大阪府河内長野市原町1丁目1-1
TEL:0721-53-1111(内線412)
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 河内長野市役所前下車すぐ
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