【河内長野市】猫ちゃんに幸せを!保護猫活動に情熱を注ぐ「にしきんち」と保護猫ちゃんたちをご紹介
犬派と猫派という言葉があるように、古代から「ペット」として愛されてきましたね。しかし、今の時代はペットのさらに上を行く「家族」としてのポジションを築きつつあり、ペットショップでの売買行為そのものにも異議を唱える人が増えてきています。
そのため「里親」を探すという位置づけで、譲渡会が頻繁に行なわれるようになりました。ペットを飼うのではなく、里親として子どもと養子縁組をするような印象です。先日も大阪府立花の文化園で猫の譲渡会が行われていました。
猫の譲渡会の定義を確認すると、何らかの理由で猫を保護した人と猫の里親を希望する人をつなげるためのイベントです。 動物愛護団体や動物愛護相談センターなどが実施するもので、里親募集中の保護猫たちの様子を見ながら、里親が迎えいれたい猫を選びます。
会場で見学するだけでもOKだったので、私も部屋に入ってみることにしました。猫の譲渡会を主催しているのは、河内長野市内在住の「にしきんち」さんです。
会場には多くの猫ちゃんがいました。
譲渡会は知らない場所で多くの見知らぬ人が来ることもあり、猫ちゃんは目の表情を見ても少し警戒しているのがわかりますね。
横には名前とその猫ちゃんの説明が書かれています。
保護されているきっかけや生年月日、性格の特徴や病気の有無、ワクチン接種を行っているかどうかのデータが示されています。
こちらには譲渡の流れが書かれています。ペットショップで売買されていた時代であれば、お金さえ出せばすぐに譲渡が成立しますが、譲渡会の場合は保護主との面談やトライアルなどの段階を経ないと譲渡につながりません。猫の気持ちも人の気持ちも、両方が家族として一致するまで、いくつもの段階があるわけですね。
そして、申込みにも条件があります。
- ペット可能な住宅であること
- 脱走防止などの理由により、完全室内飼育ができる環境であること
- 単身者や70歳以上の高齢者の場合は保証人、もしくは信託提携が必要
- それまでにかかった医療費などの譲渡費用が必要(17,000円~30,000円)
素人目からしたら少し厳しい気がしますが、猫ちゃんのその後の幸せのために、やはりそのくらいの条件や覚悟が持って里親になってほしいとの思いが伝わります。
ほかにもいろんなグッズやチラシ類が置いてありました。
そのうちのひとつです。とても気になった私は、実際に保護猫の家にしきんちさんに訪問して、お話を伺うことにしました。
保護猫の家にしきんちは市内某所にあります。
動物避難所と書いてあります。動物避難所を調べると、①動物を預かる避難所、②飼い主と動物が一緒に避難できる避難所とのことで、にしきんちさんは、①に該当します。
保護猫の家にしきんちの代表は、池田ひとみさんです。一般社団法人全国ペット協会の家庭動物管理士の資格を持っているとのこと。
また日本ペットシッター協会のペットシッター士でもあります。
池田さんは、複数の認定証を持っている動物愛護のプロフェッショナルなわけですね。
中に入ると、猫ちゃんの部屋ともいえるスペースがあります。にしきんちさんには現在70匹前後の猫ちゃんがいますが、それぞれカテゴリー別に4つの部屋に分けているとのこと。その中の1部屋に、1時間1家族500円で中に入って猫ちゃんと遊ぶことができます。
ここからは実際に猫ちゃんの部屋に入らせていただきました。注意点は「嫌がる子には近づかない、けっして触らない。向こうから来て甘える子には触っても問題ない。それでも嫌がる様子が見えたら、すぐにやめる」とのこと。ここからは猫ちゃんの写真を紹介しながら、池田さんのインタビューの模様をご紹介しましょう。
池田さんはお手伝いの方といっしょに保護猫活動の運営を行っています。
池田さんが猫が好きなのは間違いないようですが、それにしても70匹もの猫ちゃん!すごくたくさんいるわけです。いったいどこからこんなに多く猫ちゃんがという素朴な疑問がわきました。
池田さんによれば、もともとお嬢さんのために猫を飼い始めたのがきっかけとのこと。
いちばん最初に飼った猫の名前が「にしき」と「ぺこり」。そういうことから「にしきんち」という名前になったそうです。
もともとは集合住宅に住んでいましたが、猫ちゃんが増えてきたので一軒家に引っ越すことになり、2016年ごろに河内長野に移住したそうです。
当初は市内でも別の地域だったそうですが、そこに野良猫ちゃんが多くいました。何とかしたいと思ったものの、その頃は外猫の保護活動に対して、行政等も理解が乏しかったとのこと。とはいえ、この5年ほどで良い方向に対応が変わっていったそうです。
そこで、池田さんは獣医さんから捕獲機を借りて野良を保護したのち、避妊手術の活動を始めたそうです。ちなみにこれらはすべて自腹で行ったとのこと。
ひとりでは保護できる数に限界があると感じた池田さんは、グループを作ることとなり、こうして「にしきんち」を立ち上げたそうです。
協力者は少ないものの、それでもみんなと力を合わせながら、2017年には20匹の避妊手術を行なったそうです。
その一方で、池田さんは2018年から猫の譲渡会も始めました。
保護猫の家にしきんちさんには、2人のお手伝いの方が来てくれます。それぞれ1週間に2・3回来てくれるそうですが、それ以外の時間はやはり池田さんが基本的にひとりで面倒を見ているそうです。
池田さんは昼間はフルタイムで仕事をしていることから、猫ちゃんの面倒は朝の5時から行ない、ご飯や掃除・点滴、出勤する7時30分までの間に行うそうです。
そして18時に戻ってきてからは夜のお世話をするので、個人でゆっくりできる時間はほとんどないとのこと。
新しく入ってくる猫ちゃんは、健康状態などもあるため、最初の1か月は隔離するそうです。寄生虫や病気の問題を獣医さんに相談しながら経過を見たのち、4つのうち最も適した部屋に移動するとのこと。
また、今年に入って能登地震で放置されてしまった猫ちゃんを助けてほしいと連絡があったそうで、10匹の猫ちゃんを引き取りました。
すでに飽和状態ではあるものの、池田さんは現地の悲惨な状況を見てしまうと断れなかったそうです。
フードは1日7・8Kg使用するなど、毎月合計で20万円程度の諸経費が掛かります。池田さんがフルタイムで働いた収入からその経費を出してはいますが、お話を聞くだけでも大変なことは想像できます。
そのため、現在、一般の方々からの寄付金や支援物資を募っています。また将来的には、一般社団法人を立ち上げることも考えているそうです。
猫ちゃんは生後4~12か月で妊娠し、1回で最大8頭出産。年に2~3回妊娠可能といいますから、去勢手術をしていないとあっという間に増えてしまいます。そのため、池田さんは、市民に対して去勢の証であるTNR(耳カット)に対する理解が深まってほしいと願っていました。
「去勢が可哀そうという人がいるが、猫ちゃんの増殖の速度は想像以上に早く、放置するとあっという間に増えてしまいます。だから猫のためにも人のためにも、共存するために去勢手術が必要であることを理解してほしい」と言います。
また外猫にごはんをあげている人に向けては、猫ちゃんは片付けができないので、ごはんの残りや排泄物が放置されてしまうと、問題が起こる場合も。そのお掃除や片付けをちゃんとして、近隣からのクレームにならないように注意してほしいと言います。
にしきんちさんでは、猫ちゃんが最後まで幸せにと、高齢や病気などで命を落とした猫ちゃんもきちんと葬儀をし手厚く葬っていました。年に何回かお坊さんに来ていただき、供養もしているそうです。
そして、お庭に猫ちゃんの慰霊碑もありました。
お話をお伺いしながら、池田さんの猫ちゃんへの温かく強い思いが伝わりましたし、これからも同じ思いを持つ多くの協力者が現れたら良いなと思いました。
さて、にしきんちさんでは毎週第4日曜日に大阪府立花の文化園で保護猫譲渡会が行っています。直近では5月26日日曜日の10時からです。
その次は6月23日日曜日の10時からを予定しているとのこと。原則毎月行われているので、新しい家族を迎えたいと思っている方はぜひ保護猫譲渡会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
また、にしきんちさんの場所は非公開ですが、池田さんに連絡すると、1組1時間500円で猫ちゃんと遊ぶことができます。たくさんの猫ちゃんがいるため、なかなか1匹1匹としっかり遊んであげられないことを残念に思っているそうで、こうして遊んでくれる人が来ることを猫ちゃんたちがとても喜ぶのです。
興味のある方はにしきんちの池田さん(pekorin_8@yahoo.co.jp、080-5365-5996)までお問い合わせください。
自分で働いたお金も時間もすべて保護猫活動に捧げている池田さん。すべては1匹1匹の猫ちゃんの幸せのためだと語ります。もし彼女に何かあったらと心配にもなりますが、その先のことも考えて対策をきちんとされていることを伺い、さすがと思いました。
大阪府立花の文化園(にしきんち保護猫譲渡会)
住所:大阪府河内長野市高向2292-1 花の文化園センター棟1F第二研修室
連絡先:080-5365-5996
開催日時:毎月第4日曜日 10:00~13:00
譲渡会見学は無料 ※花の文化園の入場料が別途必要
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 道の駅奥河内くろまろの郷バス停下車徒歩5分
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