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この打線では「ノーヒッター」を達成されるのも仕方ない!? 快挙にケチをつける気はないけれど…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルーカス・ジオリトとチームメイト Aug 25, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月25日、ルーカス・ジオリト(シカゴ・ホワイトソックス)は、13三振を奪って四球による1人しか出塁させず、ノーヒッターを達成した。

 ジオリトは、メジャーリーグ5年目の26歳だ。ドラフト順位は、2012年の全体16位。メジャーデビューした年のオフに、アダム・イートンの交換相手として、他2投手とともにワシントン・ナショナルズからホワイトソックスへ移った。台頭したのは昨シーズン。リーグ5位の防御率3.41、3位の奪三振率11.62、7位のK/BB4.00などを記録した。オールスター・ゲームに選ばれ、サイ・ヤング勝の投票では6位タイに入った。

 ドラフト順位や昨シーズンの成績からも、今回のノーヒッターがフロックではないことは窺える。

 ただ、ノーヒッターを達成されたピッツバーグ・パイレーツのラインナップで、試合前のシーズン打率が.250を超えていたのは、1番のエリック・ゴンザレス(.273)だけだ。打率.220以上でさえ、ゴンザレスの他には7番のコール・タッカー(.244)しかいなかった。3番のブライアン・レイノルズは打率.220だったが、.21951…なので、厳密には.220未満だ。

筆者作成
筆者作成

 ジオリトに封じられ、打率.200未満の人数は、試合前の9人中3人から、9人中6人に増えた(代打のホゼ・オスーナも含めれば、4人→7人)。アダム・フレイジャージョシュ・ベルJT・リドルの3人が、打率2割台から1割台となった。

 なお、4回表にゴンザレスが四球で出塁したのも、粘った結果ではなかった。打席の初球から、ボールが4球続いた。今シーズン、ゴンザレスの四球は、それまで一つもなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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