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台風8号が御前崎付近を通過し伊豆半島に上陸 関東南部を通って伊豆諸島北部で線状降水帯

饒村曜気象予報士
台風8号の雨雲の分布(8月13日19時00分)

台風の上陸

 気象庁では、台風の上陸を「台風の気圧が一番低い場所が、九州、四国、本州、北海道の陸地に達した時」と定義しています。

 ただし、小さい島や半島を横切って短時間で再び海に出る場合は「通過」としています。

 このため、沖縄本島など島の上を通過したときは上陸とはしていません。

 令和4年(2022年)の台風4号も、沖縄本島の上を7月2日23時頃に通過しましたが、上陸とはせず、「通過しました」という情報を発表しています。

 そして、台風4号は、7月5日6時前に、長崎県佐世保市付近に上陸しました。

 台風統計のある昭和26年(1951年)以降で、長崎県では18個目の上陸となります。

 また、8月12日3時に日本の南海上で発生した台風8号は、次第に東寄りに進路を変えながら北上し、8月13日15時前に御前崎付近を通過し、17時半頃に伊豆半島に上陸しました。

 そして関東南部を通過し、三陸沖を北東進して北海道の東海上で温帯低気圧に変わる見込みです(図1)。

図1 台風8号の経路と進路予報(8月14日0時)
図1 台風8号の経路と進路予報(8月14日0時)

 気象庁では、御前崎付近では、短時間で再び海に出たという判断で「通過」としたのですが、御前崎付近上陸でも伊豆半島上陸でも、静岡県に上陸です。

 静岡県には、昭和26年(1951年)以降で22個目の上陸となりました。

 都道府県別上陸数をみると、鹿児島県が一番多く上陸しており、静岡県が4位、長崎県が5位となっています(表)。

表 台風の都道府県別上陸数(昭和26年(1951年)~令和3年(2021年))
表 台風の都道府県別上陸数(昭和26年(1951年)~令和3年(2021年))

 令和3年(2021年)は、これまで台風上陸がなかった宮城県と福岡県に初めて台風が上陸しましたが、これまでのところ令和4年(2022年)は、比較的台風の上陸が多い長崎県と静岡県への上陸です。

線状降水帯

 台風8号は、中心付近に発達した雨雲がない台風です。

 強い雨雲は台風の南側にあり、多くは海上でした(図2)。

図2 地上天気図と衛星画像(8月13日21時)
図2 地上天気図と衛星画像(8月13日21時)

 このため、当初想定していた記録的な量の雨が広い範囲で降りませんでした(図3)。

図3 24時間降水量(8月14日1時までの24時間)
図3 24時間降水量(8月14日1時までの24時間)

 東海地方に線状降水帯が発生するとの半日前予報が発表されましたが、実際に線状降水帯が発生したのは、台風8号が関東南部を通過中の8月13日夜遅くなってからで、しかも伊豆諸島北部でした(図4)。

図4 伊豆諸島で発生した線状降水帯(8月13日22時50分)
図4 伊豆諸島で発生した線状降水帯(8月13日22時50分)

 令和12年(2030年)が、線状降水帯予報の実施10年計画の最終年です。

 従って、現時点では10年計画の2年目で、まだまだ精度が悪い線状降水帯の予報ですが、場所がずれたとはいえ、線状降水帯の発生の可能性を発表できたのは大きいと思います。

タイトル画像、図1、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

表の出典:気象庁資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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