大学受験「センター試験直後」をどう過ごすか?
2018年度センター試験が終了した。今年は雪による開始時間の遅れのほか、試験官のミスによる試験時間の不足や受験生が試験の開始終了時間を守らないなどの不正行為、また体調を崩した受験生の周囲への影響に対する対応などの問題が報じられ、内容面では地理の「ムーミン」や国語の「アフォーダンス」などが話題に上る出題になった。
大手予備校を中心に解答速報も出され、自己採点の結果「思ったよりもできた」あるいは「思ったよりもできなかった」という受験生の中には、以降の受験計画を変更すべきか悩んでいる姿も散見する。今回は、センター直後に切り替えができず悩んでいる受験生に向けたアドバイスをまとめてみた。
●センター試験の結果で志望校を変えても良いか
まず大事なのは、そもそも自分がなぜその大学・学部を選んだのかをもう一度確認することだ。師事したい教授がいる場合や、他大学にはない特殊な学科を選択している場合は初志貫徹で問題ないが、興味のある分野が他大学でも学べる場合や、将来やりたいことを実現するために他の選択肢がある場合は再考の価値がある。
偏差値やよく学校名を目にするかどうかで大学を評価してしまっている受験生はことのほか多い。具体的に将来の目標が決まっていない受験生が大半なのでそういう情報が入り口になるのは仕方がない部分もあるが、それでも志望校として選んだのであれば、どんな講師がどんな講義を持っているのかくらいは知っておいた方が良い。具体的な大学生活がイメージできなければ、モチベーションは上がりにくく、真剣になれない。焦って闇雲に机に向かうのではなく、深呼吸をしてもう一度学校情報を整理する時間を作りたいところだ。
●改めて自分と向き合う
受験生の中には、「本当は別に行きたい学校があるが親が認めてくれない」というケースも少なくない。この場合も保護者の学校の評価が偏差値や自分が受験した時代の印象に引っ張られてしまっていることは多いが、同時に、なぜその学校に行きたいのかをしっかりと保護者に説得できる準備ができていないことも大きな問題だ。志望校を変えるにせよ変えないにせよ、改めて自分の興味関心と向き合い、覚悟を持って臨む準備をしたい。
また、得手不得手と向き合うことも重要である。特に目先に迫った入試に対応するためには、センターの結果は1つの指針になる。そもそも出題範囲が苦手なのか、出題形式が合わなかったのか、あるいはど忘れやケアレスミスなのか、間違いを分析することで今後の対策がしやすくなる。私立大一般入試や国公立大二次試験は傾向に個性がある。入試問題との相性も偏差値だけでは測れないことも考慮するべきだろう。相性が良い問題を出題する大学とは、大学での学びの相性が良い可能性もある。今一度、受験候補校の過去問の「解きやすさと正答率」を確認してみて欲しい。
●覚悟を決めたら切り替える
特に文系教科に顕著な傾向として、センター試験ではそれほど紛らわしい選択肢は入らないが、私立大一般入試では消去法を駆使しなければ正解を導き出すのが難しい選択問題も出題される。もちろん、記述や論述など解答形式も変わるので、マーク式とは問題を解く段取りも変わってくる。多くの受験生は選択問題の方が解きやすいと思っているが、記述論述の方が得点できているケースは意外に多い。苦手意識が先入観による可能性もあるので、気持ちを切り替えて過去問と向き合う必要がある。
実際センターで失敗してから一般入試で挽回する受験生も少なくない。特に現役の場合、センター後にようやくエンジンがかかって、急激に伸びる受験生をたくさん見てきた。そのためには、覚悟を決めて目標を明確化したうえで改めて2月の受験までの計画を立て、冷静に淡々と進めていく必要がある。本気になっていなかったと自覚している受験生は、是非一念発起して集中してやりきって欲しい。教科内容よりも、その経験自体が将来の糧になるはずだ。(矢萩邦彦/知窓学舎・教養の未来研究所)
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