【藤沢市】市役所の担当者も中を見たことがないと話す、60年に一度しか開かない謎の仏堂
【プライスレス藤沢】
~藤沢の魅力を再発見~
藤沢市内で見つけたプライスレスな情報シリーズ。31カ所目は、JR藤沢駅から徒歩3分『御菓子司 松月(しょうげつ)』の近くにある『庚申堂(こうしんどう)』。
なかには怒りの形相をした神が祀られているようなのですが…その姿は、60年に一度『庚申堂』が御開帳になる時しか見られないというのです。
『庚申堂』は駅前の通りにあります。柵で囲われているので、参拝することもできず...なんだかちょっと不思議な場所ですよね。正面に本堂、その横に朱色の鳥居があります。
そもそもこの『庚申堂』とは、庚申信仰(こうしんしんこう)に基づいて建てられた仏堂のひとつ。お堂の中には、庚申青面(青面金剛)が祀られています。その庚申青面は、眼は3つで牙をむき出し、頭に髑髏(どくろ)を頂き、蛇をまとい、手は6本、邪鬼を踏みつけ、悪鬼を払う怒りの形相なのだとか(いろいろと怖すぎます…汗)。
そんな容姿の神が、なぜ60年に1度しか御開帳されない仏堂の中にいるのでしょうか?
それは...
江戸時代、庶民の間に広まった中国道教や仏教、神道、民間信仰などが結びついて生まれた庚申信仰。その教えのなかでは、人の身中には「三尸蟲(さんしのむし)」という三匹の虫が住んでいると考えられていました。この虫は、人が眠っている間に体の中からこっそり抜け出し、その人の犯した罪を天にいる帝釈天に報告。帝釈天はその罪の大きさによって人の寿命を縮めると信じられていたのです。そのため、六十日に一度めぐってくる庚(かのえ)申(さる)の日は、一晩中寝ないで「三尸蟲」が抜け出さないように見張る信仰が生まれました。この「三尸蟲」を押さえる力を持った金剛童子が、庚申青面というわけです。
この風習は、江戸から明治に時代が移り変わるとともに「夜通し飲んで楽しむ」風習に少しずつ形を変えたのだとか。
またこちらの『庚申堂』は、新聞記者で小説家でもある小泉八雲が訪れたことで、その名を日本中に知らしめたと言われています。
ちなみに、藤沢市・郷土歴史課の担当者さんにお話をうかがうと、在籍される職員の方で庚申青面の実物を見た方はいないとのこと。ですが、昭和55年(1980年)の御開帳時(7回目)に撮られた、庚申青面のモノクロ写真は残っているそうですよ。
現在は、近隣の町内会の方が管理されているとのことで、清掃時などは柵があいている時もあるのだとか(ただし、本堂の庚申青面は見ることができません)。
やはり一般の方は、御開帳時以外、柵の外から見るだけとなっています。
最後に…
やはり60年に1度と言われても、その姿が気になりますよね。実は藤沢市の電子博物館「みゆネットふじさわ」で庚申青面の姿が閲覧ができるようになっています。
資料番号/90067
資料名/木造青面金剛及び両脇侍立像 (もくぞう・しょうめんこんごう・および・りょうわきじ・りゅうぞう)
実物を拝みたい方は、どうか2040年までお待ちくださいませ…!
基本情報
『庚申堂』
住所:藤沢市藤沢
※駐車場は無いため、行かれる際は公共交通機関をご利用ください。
※柵の中への立ち入りは禁じられています。
※記事内の写真は、一眼レフ(焦点距離200mm)にて柵の外より撮影しています。
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