外国籍やハーフの子が保育園に入園「名前読めない」入園までの舞台裏を幼保英検1級現役保育士が報告
現役保育士(幼保英検1級)です。
日本人とのハーフ、両親とも外国籍、日本語が全く話せない子どもなど、外国籍または海外にルーツを持つ保育園児もたくさんいます。
日本国籍・日本語話者の園児と保護者が大勢を占めていた筆者の勤務園(インターナショナルスクールではない)でもここ数年、ハーフや外国籍の園児が増えてきました。
ハーフや外国籍の園児たちが、日本の保育園に入園するとどうなるのか。
今回は、受け入れ側の保育士の対応や心の動きを踏まえながら、外国籍の園児受け入れの裏側を紹介していきます。
外国籍やハーフの子どもの入園が決定すると
市区町村が入園可否を決定する認可園の場合、保育園の先生たちがどのような園児が入園するのかを知るのは入園児が確定した後です。
市区町村による入園可否の審査が終了すると、保育園側には行政から新年度入園児のリストが”はいどうぞ”と渡されます。
リストは園児1名について紙1枚で、保護者が市区町村に申し込みをしたときに記入した保育園利用申込書の一部です。
※市区町村と保育園の連携方法は各市区町村により異なります。
リストをパラパラとめくっていく園長を囲む先生たち。
「テレサ・・デラ?クル?」
「アハド・・ハセン?ハサン?」
※すべて仮名
漢字・他の園児の日本語名に交じるカタカナ表記の見慣れない名字のお名前。
「カタカナだけど読めない・・」
「アハド君と呼べば良いのか?」
「どれが名字でどれが名前なんだ?」
「どこの国の方?何語?日本語話せるのかな?」
「申込書を自分で書いているのだから話せるのでは?」
「日本にはどのくらい住んでいるのかな?」
行政から提供される入園児に関する情報は紙一枚なので、国籍すら分からない状況のまま、新入園児説明会での初対面となります。
新入園児説明会で初対面
筆者は英語が話せるという理由で外国籍やハーフの子どものご家族との面談対応をすることが多いです。
本年度は両親共に外国籍のロイ君の入園が決定、新入園児説明会で初めてお話しすることになりました。
(いや、母国語が英語以外だったら私、話せませんから・・)
と思いつつ席に案内します。
まずはご挨拶から。
お話してみるとロイ君のパパは日本語がネイティブレベルで上手。
ママは英語が得意で、日本語も概要は理解できるという状況でした。
説明会にはロイ君も同席してくれたので、おもちゃなどを渡しつつ、話しかけて様子を観察します。
子どもへの対応は日本国籍の新入園児の場合と同じですよ。
筆者のこれまでの経験では、外国にルーツのある家庭でも、両親のどちらかは日本語が話せるというご家庭ばかりでした。
今後、筆者が分からない言語のみを話すご家庭が入園する場合は、翻訳アプリなども駆使してコミュニケーションを取ろうと考えています。
外国籍の家庭の大変さ”山本医院”が検索できない
外国籍の子の保育園入園面談では、言語の問題よりも母国と異なる仕組みや土地勘がないことで保護者の方も迷いが生じたようです。
ロイ君の面談では、入園前健康診断を受ける病院の場所や保育料を振り込む銀行の振込依頼用紙の記入方法などに関する質問がありました。
銀行の仕組みは国によって異なるので、いくら日本語がネイティブレベルに上手でも、銀行に提出する書類の書き方は迷いますよね。
また、「入園前の健康診断は山本医院で受診してください」と言われれば、日本国籍の人なら山本医院の場所が分からなくても、”山本医院”と検索でもして調べることができます。
ロイ君の両親の場合は、日本では良くある名字”山本”がそもそも名字ということが分かりにくいため、口頭で山本医院と言われても「やまほと いん?」「やまとい ーん?」と混乱してしまったようでした。
結果、「yamamoto iin(yamamoto clinic) 」とアルファベットで書き直したメモに電話番号を添えてお渡しすると、場所を調べることができていましたよ。
ロイ君の入園面談は、他の日本国籍の入園児より10分程度長くかかったものの、書類の記入方法や家庭養育の状況の聞き取りを終えました。
そして入園後も、元気に毎日登園してくれていますよ。
まとめ
外国籍の園児の保育園入園について、受け入れる保育園側の様子をお伝えしてきました。
さて、保育園での保育1日目はどうなるのでしょうか。
次回は、「外国籍やハーフの子が保育園に入園!保育園生活1日目の裏側を幼保英検1級現役保育士が報告」と題して、外国籍園児の入園初日の様子を紹介します。
プロフィール欄やフォローリストから「+(フォロー)」していただくと続編記事が見つけやすくなりますよ。