韓国、中国、北朝鮮が「慰安婦問題」で対日非難合唱!
日本政府は「従軍慰安婦」という表現は誤解を招く恐れがあるとして「従軍」を外して、今後は単に「慰安婦」と表現することにしたようだ。「軍による強制連行」を連想しかねないとの危惧が背景にあったようだ。
元徴用工についても日本政府はすでに「徴用による労務、強制労働ではない」として「朝鮮半島出身労働者」として表現しているが、韓国政府は日本政府の一連の用語変更に反応し、早速、外交部の崔泳杉(チェ・ヨンサム)報道官が昨日、定例記者会見の場で日本政府に遺憾の意を表明していた。しかし、意外にもその内容は大方の予想に反し、それほど強烈なものではなかった。
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崔報道官は「日本軍慰安婦の動員、募集、移送の強制性は否定できない歴史的事実である」と前置きしたうえで「被害者おばあさんらの生々しい証言こそが日本軍による慰安婦動員の強制性を立証しており、どの文献よりも強力で、明らかな証拠である」と述べ、この点は「日本も自ら認めており、国際社会もまた明白に判定を下した事案である」との韓国政府のこれまでの立場を伝えていた。
そして最後に「日本政府が自ら明らかにした歴史認識を変わることなく維持し、これを覆そうとする試みやこれに逆行する言動を控え、過去史問題解決に誠意を見せる必要がある」と日本に注文を付けたものの激しい非難の言葉を浴びせることはなかった。ところが、同じ日に発表された中国外交部の汪文斌副報道局長の対日批判は痛烈で、韓国外交部の談話とは実に好対照だった。
「歴史的事実を回避しようとする試みである」と断じた汪副報道局長は「日本は言葉遊びで歴史的事実を曖昧にし、犯罪責任を逃れようとしている。これこそが侵略歴史を否定し、歪曲しようとするもう一つの試みである。日本は侵略歴史に対して長い間、不誠実で誤った態度を取ってきた」と手厳しかった。
汪氏はさらに続けて「日本の軍国主義が行った侵略戦争で中国を含む多くのアジアの国家が深刻な被害を受けた」として「慰安婦を強制に徴用した日本軍国主義者が行った反人類犯罪で、国際的に公認された歴史的事実である」と追い打ちをかけた。
さらに最後は「日本は責任ある態度で慰安婦問題など歴史的問題を処理し、実際の行動でアジア隣国と国際社会に信用を得るべきで、侵略歴史を直視し、再度反省することを促す」と釘を刺して、談話を締めていた。
先月に「『韓国の次は日本』! 予想される中国の『報復措置』 経済制裁と歴史問題で圧力?」の見出しの記事(3月24日付)で「中国は今後、日本に対してしばらく鳴りを潜めていた歴史問題を持ち出し、圧力を掛ける可能性も想定される」と予測したが、そのとおりの展開となった。
(参考資料:「韓国の次は日本!」 予想される中国の「報復措置」 経済制裁と歴史問題で圧力?)
興味深いのは韓国のメディアが韓国外交部の談話と同じぐらいの比重で中国外交部の談話を取り上げていたことだ。
韓国外務部の談話はケーブルテレビ「YTN」(日本「『従軍慰安婦の代わりに慰安婦が適切』・・・責任回避戦略」)、経済紙の「ファイナンシャルニュース」(「強制性を外した日本『慰安婦』表現に外交部『強制動員は歴史的事実』」)と「韓国経済」(「『従軍慰安ではなく慰安婦が適切』日本の主張に・・・外交部『遺憾』」)をはじめ「ソウル経済」、さらには大手紙の「東亜日報」や「世界日報」などが取り上げていたが、一方、中国外務省の談話は「KBS」(「中国、日本の慰安婦表記採択に歴史事実を回避」)、「聯合ニュース」(「中国、日本の慰安婦表記採択に『歴史的事実を回避しようとしている』」)が伝えていた。この他に経済紙の「韓国経済」や「ニューシース」、「イーデイリー」などのインターネットメディアもこぞって中国の談話を掲載していた。
中韓に足並みを合わせるかのように北朝鮮も昨日、「日本軍性奴隷・強制連行被害者問題対策委員会」の代弁人が談話を発表し、日本に対して「日本がどのように出ようと、日本軍性奴隷犯罪をはじめ、国際法と人倫道徳を乱暴に違反した特大型国家犯罪に対する責任から絶対に逃れられず、それを回避しようとすればするほど日本を追及して責める世界の声はさらに高まるであろう」と批判していたが、「KBS」、「ソウル新聞」、朝鮮日報系の「朝鮮Biz」、「毎日新聞」などのメディアが北朝鮮の談話を取り上げていたことも目が離せない。
加藤勝信官房長官は今回の措置について植民地下の朝鮮半島から日本本土への労働者の動員を「強制連行」とひとくくりにする表現は適切でないと説明にあたっていたが、中国、韓国、北朝鮮は日本が軍の関与を薄めるため「従軍」という表現を意図して外したと受け止めているようだ。
日本が韓国に順守を求めている2015年の日韓慰安婦合意では政府代表の岸田文雄外相(当時)が「慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している」と発言している。
また、この日韓合意の中で安倍晋三総理(当時)は「日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からお詫びと反省の気持ちを表明する」としているが、文脈からして韓国人女性が日本軍の慰安婦にされたことへのお詫びであることは明白である。
韓国人慰安婦が内地の日本で日本軍の慰安婦になったのではなく、外地,戦地で慰安婦にされていたわけだから「従軍慰安婦」との表現は決して誤解を生むような表現とはならない。
戦時下戦地での記者は「従軍記者」、看護師は「従軍看護婦」と呼ばれていたわけだから、慰安婦らが「従軍慰安婦」と呼ばれていたとしても不自然ではない。
どちらにしても日本政府は宮沢喜一総理以降、細川護煕、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、小泉純一郎と歴代総理が韓国向けの談話や韓国大統領との首脳会談の場で言及した「従軍慰安婦」との矛盾を今後、韓国側から突かれることになるだろう。