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「慰安婦像」 ベルリンの次はドレスデン!欧州の博物館では初の展示!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
ドイツドのドレスデンの民俗博物館に展示される「慰安婦像」(「コリア協議会」配信)

 ドイツの国立博物館に「少女像」と称される「慰安婦像」が設置される。欧州の博物館で「慰安婦像」が展示されるのはドイツが初めてだ。

 ドイツと言えば、昨年9月にブランデンブルク門や中央駅などがあるベルリンの中心地・ミッテ区の公共の場に「慰安婦像」が設置されたばかりである。

 今回、設置するのはドイツ東部のドレスデンの国立博物館関連の民俗博物館。ベルリンに「慰安婦像」が設置される以前の昨年5月に民族博物館が企画展示の一環として計画。これにミッテ区に「慰安婦像」を設置した在独韓国人団体「コリア協議会」が協力して実現の運びとなったようだ。

 「慰安婦像」は移動式になっており、明日16日から8月1日まで戦争犯罪と人種暴力をテーマに開かれる特別展示会の会場に「言いたいことが言えない 大きな声の沈黙」との説明付きで設置される。会場の外にはもう1体、青銅で造られた像が置かれることになっている。像はとりあえず1年の期限で設置されるとのことだ。

 特別展示会はナチ時代のドレスデンでのユダヤ人虐殺、ドイツ帝国時代のナミビア虐殺、トルコのアルメニア人集団虐殺、ユーゴスラビアの戦争犯罪、さらにはオーストラリア原住民・カウルナ族の植民地支配被害などと共に慰安婦問題を取り上げるようだ。

 「コリア協議会」の関係者が明らかにしたところでは、展示会には1991年8月14日に韓国人慰安婦として初めて口を開いた金学順さんの「証言映像」が上映されるほか、ソウルの日本大使館前での1500回に及ぶ支援団体による水曜集会の模様も紹介される。日本の写真家が取った6人の慰安婦の写真も展示され、また、韓国人慰安婦だけでなく、フィリピン人慰安婦がつくった手芸品なども同時に展示されるようだ。

 ドイツの公共の場に慰安婦像が設置されるのは前述したように昨年のベルリンに続き2件目だ。

 昨年、日韓両国は江原道・平昌の植物園に設置された慰安婦を象徴する「少女像」の前で跪き、謝罪する安倍晋三前首相に酷似した像(謝罪像)や韓国第2の都市,釜山市の日本総領事館付近に設置されている「慰安婦像」の撤去問題で火花を散らしたが、特にベルリンの像を巡っては外交戦にまで発展したことは記憶に新しい。

 何が何でも阻止したい日本は加藤勝信官房長官が9月29日の記者会見で慰安婦像の設置について「政府としては撤去に向けてさまざまな関係者にアプローチしていきたい」と発言し、また茂木敏充外相も10月1日、ハイコ・マース・ドイツ外相とのテレビ会談で撤去への協力を要請した。

 さらに自民党の有志議員82人(衆議院議員64人、参議院議員18人)が市民団体の執行停止仮処分申請で像の撤去手続きが中断状態にあった11月18日にミッテ区の全議員に手紙を送り、撤去を求めていた。

(参考資料:遅すぎる「ベルリン慰安婦像」撤去要請の自民党有志議員の声明文 効果はあるのか?)

 日本政府は駐独日本大使館を通じて働きかける一方、10月21日には外務省のホームページに「慰安婦問題に関する我が国の対応」のドイツ語版を載せ、慰安婦問題に関する日本の立場、対応を伝えていた。

 また、地方自治体も連動し、ミッテ区と姉妹関係を結んでいる新宿区の区長をはじめ名古屋市長などがミッテ区長に撤去を求める書簡を送り、さらに「新しい歴史教科書をつくる会」などの学者らもドイツの日本研究学者らに書簡を送り、支援を要請していた。

 ベルリン市は東京都と姉妹都市の関係を結んでいることから友好を損なえば2018年にサンフランシスコが慰安婦像の設置を認めたことに大阪市が抗議し、61年間続いていたサンフランシスコとの姉妹都市を解消したようなことが起こりなりかねないと「警告」を発する都民からの抗議の手紙もあった。

 しかし、日本の外交努力も虚しく、ミッテ区議会は11月5日に全体会議を開き、「コリア協議会」の申請どおり今年8月14日までの設置を認める決議を賛成28人、反対9人で可決してしまった。それどころか、騒動を起こしたことでドイツ人の関心を呼び、40近いドイツの女性、市民団体が「コリア協議会」に加勢したこともあってミッテ区議会は昨年12月に1年の期限付き設置どころか永久保存を求める決議案を採択してしまった。

(参考資料:「ベルリンの慰安婦像」が撤去保留へ! 日本のロビー外交が裏目?

 今回の「慰安婦像」の博物館での展示では不思議なことに日本からの抗議の声は全く聞かれない。明日オープンとなれば、時すでに遅しかもしれない。

(参考資料:未解決の「日韓紛争」ランキング「ワースト10」)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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