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北朝鮮で国連制裁の最中5年ぶりに「国際見本市」開催 経済も中国からロシア重視へ

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
平壌で開催された第16回「平壌国際商品展覧会」(朝鮮中央通信)

 国際社会から経済制裁を受けている真っただ中、北朝鮮は昨日(11月19日)、国際見本市にあたる「平壌国際商品展覧会」を平壌で開いていた。

 「平壌国際商品展覧会」はスタート当初は春の1回だけだったが、2005年からは秋にも開催され、年に2回行われる恒例行事となっている。しかし、「新型コロナウイルス」の蔓延で世界中がパンデミックになったことへの警戒心から国境を封鎖し、鎖国政策を取ったことから2019年以降は中止されていた。

 今回は5年ぶりの開催となったが、前回(2019年)の秋季展覧会には外国から中国、ベトナム、モンゴル、インドネシア、イタリアなどの国から350余社が参加し、電気・電子、建材および機械、軽工業製品などが出品されていた。

 また、前々回の展覧会(2018年)には中国の他にニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、香港、台湾、タイ、バングラデシュ、イタリア、ロシアの企業も少数ながら出展していた。

 秋の開催としては16回目の開催となる博覧会は今年は「自主と親善、共同の発展と繁栄のため」の看板を掲げ、「我が国とロシアを含む160余の企業体と会社が生産した電子、機械、健在、医学、食料など先進科学技術が導入された国際競争力を持った製品が出品された」(朝鮮中央通信)とだけ報じられ、ロシア以外の外国の参加国については言及されてなかった

 国連安保理制裁は国連加盟国に対して北朝鮮との経済交流は核とミサイルの開発資金に転用される恐れがあるとして、貿易の自粛を求めており、国連制裁委員会が金融取引しないよう釘を刺し、目を光らせていた。しかし、今年3月に国連常任理事国のロシアが制裁委員会の調査活動延長に拒否権を発動したため制裁委員会は活動を終了している。

 北朝鮮の商品展覧会への外国の参加が商談や投資を目的としたものか、あるいは平壌駐在の大使館が外交儀礼上、お付き合いしているだけのことか、定かではないが、どちらにしてもこれまでは「孤立していない」との北朝鮮の内外向けのPRに使われていた。

 なお、今年も中国の企業が出品していることから北朝鮮駐在の中国の王○○大使が大使館員らを連れて展覧会を訪れたが、北朝鮮はそのことについては一切触れず、労働新聞は1面でロシアのブースだけを写真入りで紹介していた。北朝鮮の中露に対する距離を測り知ることができる。

 中朝は先月6日に修交75周年を迎えたばかりだが、どうやら巷間囁かれているように隙間風が吹いているようだ。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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