ウクライナ戦争は「ウvs露」から「米英vs北朝鮮」の助っ人の戦いへ
「ウクライナ戦争」はウクライナとロシアの2国間戦争から多国間戦争に拡大しつつある。
ウクライナを支える最大の支援国・米国からはすでに120mm迫撃砲など砲弾やジャベリン対戦車ミサイル、ロケットランチャーからM1エイブラムス戦車、さらには対艦ミサイルなど様々の兵器や軍需品がウクライナに供給されている。
また、米国は昨年、ウクライナに地対地戦術弾道ミサイル「ATACMS」(マッハ3、射程300km)をウクライナに納入していたが、ロシアの反発を和らげるため「最大射程が170kmしかならない旧型であり、ロシア本土攻撃を規制している」と説明していた。しかし今回、その規制を解除した。北朝鮮の派兵が主な理由だ。
一方、北朝鮮はこれまでにロシアに152mm砲弾、122mmロケット弾など数百万発の他に170mm自走砲、240mm放射砲、そして保有している2種類の地対地戦術誘導ミサイルのうち「火星―11タ」(KN-23)を許与してきた。ロシア軍が2月7日と8日にウクライナ北東部のハルキウに向け発射した5発のミサイルのうち2発は「火星ー11ナ」だった。
ウクライナ軍は今回、「ATACMS」を国境からおよそ100km離れたロシア西部ブリャンスク州カラチェフにあるロシア国防省ロケット・砲兵総局弾薬保管庫を狙って6発発射し、その一部が弾薬庫に着弾し、破壊したようだ。ウクライナのメディアによれば、保管庫には北朝鮮製砲弾、対空ミサイル、多連装ロケット(放射砲)が保管されていたとのことである。
今回、米国制「ATACMS」の攻撃でどれだけの被害が発生したかは定かではない。しかし、北朝鮮が「ロシア内にある自国の軍需物資に損害が発生した」ことを理由に北朝鮮版「ATACMS」と称されているもう一つの戦術誘導ミサイル「火星ー11タ」(KNー24)をロシアに持ち込む可能性が高まった。
「火星―11タ」は「火星―11ナ」よりも若干小さいが、マッハ6.1と米国のそれよりも速度は2倍も速く、射程も400kmと100kmも長い。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記は2019年8月、「火星ー11タ」の試射に成功した時「またもう一つ新たな兵器ができた。この兵器の標的にされている勢力にとって我々の試験射撃の結果は払いのけることのできない苦悶となるだろうと」と発言し、上機嫌で発射を成功させた国防科学院幹部や科学者らと記念写真に収まっていた。
直近では2022年1月17日に平壌市順安飛行場一帯から移動式車両を使って日本海に向けて2発を発射していたが、高度42km、飛距離380km、速度マッハ6と推定されいた。
さらに、米国がウクライナに「ATACMS」のロシア本土攻撃を許可したのに続き英国もまたフランスと共同開発した空対地長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」(射程250km)のロシア本土攻撃を解禁したことでウクライナ軍は昨日、「ストームシャドー」を使ってロシア領を攻撃した。
イギリスの新聞「テレグラフ」によると、ウクライナ軍が越境したロシア西部のクルスク州の村で「ストームシャドー」の破片が見つかっており、またクルスク州の知事がSNSを通じて「20日午後、ウクライナ軍のミサイル2発を迎撃した」と投稿していることからクルスク州に集結している約8千人から1万人の北朝鮮兵士らがターゲットにされたことは疑いの余地もない。
死者を含む被害状況の詳細は明らかにされていないが、仮に死者が出ているならば北朝鮮は反撃権を主張し、低い高度で目標物をめがけて飛行し、遠距離の目標物を精密に打撃する北朝鮮版「トマホーク」と称される新型長距離巡航ミサイルを使ってウクライナの基地を叩くことも十分に考えられる。
ウクライナを支援する欧米及びロシアを支援する北朝鮮にとってどちらも「負けられない戦争」だけに「応援団」による「目には目を歯には歯」の武器供与が停戦まで続くことになるであろう。
(参考資料:ウクライナの米国製ミサイルによるロシア本土攻撃で北朝鮮軍に被害が出れば、北朝鮮は本格参戦する!?)