<シリア>反体制派拠点イドリブ 現地記者語る(2)「仲間の記者がロシアの爆撃で」(最新写真8枚)
シリア北西部イドリブ県では反体制諸派が支配、シリア政府軍とロシア軍よる激しい攻撃が続く。イドリブ出身で、現地で取材活動を続けるシリア人記者ジャベール・アル・バクリ氏(30歳)がネット回線を通じて現地の状況を語った。(聞き手:玉本英子・アジアプレス)
<シリア>米ミサイル攻撃の根拠となった化学兵器被害の町 現場で何が(図・写真4枚)
◆「逃げたくても逃げられない」
ジャベール・アル・バクリ記者:
7月21日、私の友人で地元記者のアナス(23)が、ハーン・シェイフンで亡くなりました。彼はイドリブの戦闘や苦境にある市民の日常を記録するかたわら、戦火の中に生きる猫にも目を向け、撮り続けていました。また民間レスキューチーム・ホワイトヘルメットの隊員として住民救助にも奔走していました。ロシア軍機の爆撃で建物は破壊され、その下敷きになって命を落としました。彼はエネルギッシュで、優秀な青年でした。悲しくて、つらくて、涙が止まりませんでした。
<シリア>政府軍によるイドリブ奪還戦迫る 現地記者に聞く(2) 県民のおよそ半分が郊外へ避難か(写真4枚+地図)
地元の住民たちは、イドリブから隣国トルコへ避難したいと思っています。しかし、トルコ国境にはコンクリートの高い壁が設置されていて、乗り越えることはできません。トルコ側にはシリア人の密入国を防ぐための国境警備部隊がいて、国境そばに近づけば射殺されてしまうでしょう。
<シリア>イドリブ県での化学兵器攻撃~現地病院医師が惨状伝える
私が一番心配なのは、現在妊娠8か月になる妻のことです。家から車で20分の場所に病院はあるのですが、設備が整っていません。病院がターゲットにもなっているので不安です。日々の出費や、空爆の心配…。心が安らぐ時はありません。
イドリブ南部では砲撃が続いています。それが、いつイドリブ市内に迫り、総攻撃が始まるか、逃げることができずに政府軍や民兵に捕まった住民は、報復されるのではないかと、おびえるばかりです。
日本の人たちに知ってもらいたいことは、不正義と独裁政権のもとで、子どもや女性ら住民が殺されている現実です。これまでのように世界の無関心が続けば、さらに多くの血が流れることでしょう。