【札幌市中央区】豊水会館にて、かつての学校の再利用のあり方を学ぶ。
一昨日と昨日、イギリスからテナーホーンの名手、Helen Varley(ヘレン・ヴァーレィ)さんが札幌に来ました。
今回はこれからイギリスに修行に出かけようという仲間の通訳として参加しました(最高の評価を受けて本当に良かった!)。
そして、
テナーホーンとピストンホーン(昔のフランスのホルン)奏者である私としても、
できたらイギリス英語に精通した通訳案内士の更なる高みを目指す私としても、
彼女がソロを務めるGrimethorpe Colliery Band グライムソープ・コリアリー(炭鉱の意味)・バンド、映画「ブラス!」Brass off!のバンド)の担う炭鉱バンドとしてのルーツや南ヨークシャーの炭鉱文化などについて知りたい日本遺産炭鉄港ガイドの私としても、
とても勉強になりました。
豊水会館。
一昨日のレッスンの会場となったのが、【豊水会館】。
(昨日は太平百合が原地区センターでした。)
ここは2004年、創成(現在の資生館小学校の場所)、大通(現在の大通高校の場所)、曙(曙アート&コミュニティセンター)各小学校とともに資生館小学校に統合された、【豊水小学校】の校舎をそのまま利用して、現在は吹奏楽やブラスバンド、ダンスやさまざまな活動のスタジオとして使われています。
この建物のあり方、つまり学校としての役目を終えた後も地域の学びや活動拠点として、利用対象年齢を広げて第2の人生を送る姿、にも大きな興味が出てきましたので、簡単に紹介します。
ここは豊水小学校がなくなった後、大幅にリノベーションされて、その一部が豊水まちづくりセンターと豊水会館として使用されています。豊水会館のウェブページはありませんが、建物をシェアしています札幌市公文書館についての札幌市のサイトを、ご参照ください。
簡単な歴史。
建物は1971年建築。それまでは、隣の星園高校(現在の市民活動プラザ星園、こちらは1973年建築)の敷地も含めた広いエリアに、1955年には約2300人にもなった生徒を収容できた大きな木造校舎がありましたが、建て替えの後は、当時の生徒数に合わせたサイズにし、定時制高校である隣の星園高校とグラウンドは共有して、長らくやっていたようです。
豊水小学校が2004年に資生館小学校に統合され、ここは【豊水会館/豊水まちづくりセンター/札幌市公文書館】に生まれ変わり、星園高校は2010年に大通高校に統合され【市民活動プラザ星園】に生まれ変わり、共にまた市民活動の拠点となっているのですね。
ちなみにグラウンドも、バス駐車場として立派にまだ活躍しています。
お邪魔します。
中は大幅に改装されているので、もう小学校の頃の教室の形は一部しか残ってません。
しかし、まだ昔の大きめの教室の形を残すこの大会議室は、ダンスやブラスバンド(金管のみ)、吹奏楽の練習に使われるようでしたが、音響は実に素晴らしいもので、レッスン後に仲間に吹いてもらいました。よく響きますね。
建物自体はまだまだ耐用年数があるので、その間地域のために有効活用しようというコンセプト、良いですね。
今後、どうなるだろう?
この4校統合の背景となった1990-2000年代の札幌都心部の人口減少は本当に深刻で、4つの小学校とも、各学年1クラスを維持できなくなる寸前でした。まだ日本全体としては人口が伸びていた1960年代後半でしたが、この地区では大通やすすきのが家屋からビルに建て替えられ、住民自体が大幅に減った事が大きな原因かなと思います。
一方、1969年にはやはら人口減少で2校統合しながら、最近は創成イーストのマンション激増により生徒数がここ20年で3倍に膨れ上がった中央小学校のエリアと比べると、戦後急増した資生館小学校の元となる4校のエリアは戸建てが多かった、つまり現在のマンション地区に比べて人口密度が低いというのも大きい原因かなと思います。
2004年の段階では後20年程度耐用年数があると言われていたこの建物ですが、20年経った今でも元気ですので、市民活動、地域活動の場を必要とする人たちのためにも、まだまだ頑張って欲しいなあと思います。
かつての豊水小学校の校区の人口は引き続き少ない一方、ホテルが激増し、インバウンドゲストが極めて多い特殊な個性を持つ地域になってきました。またすすきののビルの多くも建て替え時期に来ましたので、それを機会にまたマンションなどが増えて人口が増加するかも知れません。
豊水会館を取り巻く環境の変化に、少し気をつけながら見て行きたいと思います。
★豊水会館★
住所: 札幌市中央区南8西2-5-2