目標を達成したい、問題を解決したい。そう考えたとき、誰かに「答え」を教えてもらいたい――そう考えている人は、コーチングを受けるべきではない。
コーチング対象の条件を満たしていないからだ。
クライアントになるには、自分の中にある「答え」をどう引き出したらいいか、わからない。こんがらがっている頭を、誰かに整理してもらいたい。覚悟を決めさせてもらいたい。背中を押してもらいたい。
こういう人がコーチング対象となるのだ。
もし、このクライアント条件を満たしているのであれば、ChatGPTを自分の専属コーチにすることを、私は強くお勧めする。
有能なビジネスコーチよりは劣っていても、いつでも、どこでも、手軽にコーチングを依頼できる価値は、恐ろしいほどに高い。
「複雑なことを単純に考える研究所」の企画からすれば、これ以上ない研究材料だ。今回は、コーチングの基本プロセスをすべてChatGPTに依頼したら、どうなるのか。全部紹介していこう。
(※ChatGPTを使う最大のメリットは、クライアントが「自己を客観視」できることにこそある。このポイントについては、記事の最後に記す)
それでは、実際にChatGPTを使いながら、コーチングの基本的な流れを、解説していこう。
(1)目的の明確化
(2)目標の設定
(3)現状の把握
(4)ギャップの原因分析
(5)行動計画の作成
(6)フォローアップ(※今回は省略)
■(1)目的の明確化
まず、コーチングの目的を明確にすることだ。
おそらく、この時点でくじけてしまう人もいるだろうが、問題ない。コーチングの目的さえも、ChatGPTにアイデアを出してもらえばいいからだ。
コーチングの目的なんて、似たり寄ったり。パターンは決まっている。個人差があっても、100種類や200種類もないはずだ。
ということは、10個や20個アイデアを出してもらえれば、その中に近いものがあるに違いない。その中から選択すればいいのだから、さっそくChatGPTに質問してみよう。
(※今回はChatGPTの実際の画面を貼り付けず、引用という形で紹介する。スマホで記事を読む際に見づらいからだ)
それでは、さっそく見ていきたい。ChatGPTに「コーチングの目的」についてアイデアを尋ねてみた。
私が書いた質問はこうだ。
すると、以下のような答えが返ってきた。
なるほど。キャリアや現在の仕事のパフォーマンス向上、直面している課題解決。スキルアップ等、いろいろな選択肢を紹介してくれた。
多くの人が、この10種類のアイデアの中にコーチング目的を見つけられるのではないか。私は「キャリア」について考えてみたいと思った。したがってコーチングの目的は、自分のキャリアに関することを選択した。
■(2)目標の設定
目的が明確になったら、次は目標を設定していこう。
目標なきコーチングは意味がない。「悩み相談」や「傾聴による現状承認」がコーチングの目的ではないからだ。
私は「マネジャーとしてのレベルを上げること」を目標にしたいと考えた。しかし、具体的な目標をどう設定したらいいかわからない。だから、またChatGPTに聞いてみることにした。
すると、ChatGPTは、このようなアイデアを出してくれた。
私の期待するようなものがないので困った。そのため、もっと違う視点で質問をしてみた(このように、いろいろな角度で依頼することが重要だ)
すると、次のようなアイデアを出してくれた。
おお! とても具体的だと感じた。自分が目指したい目標も見つけられたので、私は満足だった。今回、「リーダーシップ開発目標」を選びたいと思った。部下のリーダーシップの能力開発である。
■(3)現状の把握
続いて、現状把握である。現状の部下のリーダーシップはどれぐらいのレベルなのか。現状を把握するために、その切り口もChatGPTに聞いてみよう。(現状そのものを聞いても、ChatGPTは答えようがないため)
すると、このようなアイデアを披露してくれた。
なるほど……。
具体的に考えたことがなかったので、とても大きな気付きを得た。目標達成度やコミュニケーションスキル、問題解決能力などは思いつくが、組織文化との一致、知識や経験の共有などについては、これまでに考えたことがなかった。
とてもいい気付きをもらえた。ここでは「組織文化との一致」を取り上げたいと考えた。「組織文化との一致」の項目が、まだ物足りないと仮定したのだ。
■(4)ギャップの原因分析
次に原因分析である。
なぜ「組織文化との一致」という項目に不足分を感じるのか。これもChatGPTに聞いてみよう。
この質問に対しては、素晴らしいアイデアが返ってきた。ChatGPTを使いはじめて、最大の気付きを得たと言ってもいい。(その後に依頼した行動計画のアイデアも、きわめて秀逸だった)