99%の人が知らない!SFA等のセールステックを導入して大失敗する企業の特徴
■セールステック導入企業が急増している
セールステックを導入する企業が急増している。
※セールステックとは、Salesとtechnology(技術)を合わせた造語
実際に「営業DX」「セールステック」がタイトルに入ったカンファレンスやウェビナーは盛況だ。500名や1000名が参加する規模のイベントも珍しくない。
言葉が流行しているだけではない。優れたソリューションが増えているのもSFA、CRM、MAといった「セールステック」を導入する企業が増えた要因だ。
20年以上も前からSFA/CRMの設計開発・導入支援に関わってきた。しかし当時は、営業活動や、その活動のマネジメントをデジタルの力でサポートするという発想は一般的でなかった。だから、なかなか導入企業が増えなかった。だが、もうそんな時代ではない。
生産現場も物流現場もDX(デジタルトランスフォーメーション)で生産性をアップする時代だ。営業現場もデジタルシフトを進めなければ、競争力はドンドン落ちていくと誰もが認識している。
しかし20年ほど前から変わらないことがある。導入して成功している企業も多いが、失敗している企業もまた多いことだ。
これほどテクノロジーが進化しているのに、なぜなのだろうか?
■なぜセールステックは進化したのに失敗企業は増えているのか?
「SFAの機能的問題だ」と主張する営業部長がいる。「MA(マーケティングオートメーション)に問題があるわけではない。当社の営業スタイルが特殊だからだ」と話す社長もいる。
いずれも間違いだ。セールステックの問題、営業スタイルの問題ではない。
最大の理由は「営業の戦闘能力」が足りないことだ。
戦闘能力とは、戦う技術のことだけでない。武器を使いこなすスキル、戦略立案の経験や精度も含まれる。
営業の戦闘能力が低いと、どんなに優れた武器を渡されても使いこなせない。にもかかわらず武器を手に入れたいと思うのは、セールステックを扱うSaaS企業の戦闘能力を知らないからだろう。
SaaS企業には、まだまだ若い営業マネジャーが多い。30代前半で幹部になる人もいるほどだ。とはいえ若いのは年齢だけ。高度情報時代に短期間で戦闘能力を上げたマネジャーの戦闘能力は侮れないのだ。
あるSaaS企業の本部長(32歳)は、40人のマーケティング部隊、200人のインサイドセールス部隊を統制している。もちろんセールステックの恩恵もあるだろうが、相当な試行錯誤を重ねて今にいたっているはずだ。
昔ながらの営業マネジメントしか知らない人は、この本部長がどれほどの苦労を重ねてマネジメントしているかを想像できない。
だから提案された50代の営業部長は、
「こんな若い子でも大部隊をマネジメントできるのだから、昔と違ってずいぶんと技術が進化したのだろう」
と思い込む。
「ベテランの私なら、もっとうまいこと活用できるはずだ」
と勘違いしてしまうのだ。
■セールステックで失敗した企業の末路
戦略立案した経験も十分にない。新しい武器を渡されても使いこなせない。そんな戦闘能力の乏しい営業組織にセールステックを導入したら、どうなるのだろうか。
誰でも想像できるだろう。
SFAを導入したが、日々の活動報告に上司がフィードバックしているだけという企業がある。「投資対効果が出てないどころか、よけいに工数がかかっている」「活用できないなら解約しろ」と役員はご立腹だ。
他にもMAを導入して失敗した企業もある。メールマーケティングのコスト削減にMAを導入したものの、営業がメールマーケティングを理解できていないため、いつまで経っても成果が出ない。システムの維持コストが高くついてしまったため、情報システム部の部長が責任を感じていた。
解決策は、まず戦略に基づいたマネジメントルールを統一すること。その次に、試行錯誤を繰り返しながら営業組織の戦闘能力をアップすることだ。
戦略も戦術もないのに武器だけ渡すのは意味がない。いや、意味がないどころか危険だ。武器を使うことが目的になってしまうからだ。
<参考記事>